【イベント】

WORLD PC EXPO 96レポート

ソフトウェア展示をチェック

TEXT:塩田紳二

'96/9/4~7 幕張メッセにて開催

連絡先:
WORLD PC EXPO事務局 03-5210-8287

 PC Watchの編集部へ遊びにいったら、デジタルカメラを渡されて、ソフトの取材という仕事を依頼されてしまった。それで、朝も早よから、幕張メッセへ行った。するとなんと入り口から人があふれているではないか。Registrationが長蛇の列である。しかし、これは、受付のシステムがとろいためとわかった。列によって、進み方が違う。早い列は、やる気のないねーちゃんが、単に入場票を渡している。進みの悪い列はしっかりとチェックしている。ためしに名刺も付けず、招待券の裏に何もかかないで、出してみたら、何も言わずに入場票をくれた。もし、メッセに来て、列が入り口からはみ出しているようなら、ちょっと待って、進みの早い列に並んだほうがいいみたい。今日は、階段側から遠い方が進みがよかった。
 というわけで中に入ってみたら、これが結構広い。メッセの3つのフロアのうちの2つを使っている(使ってないところでは別の展示会がある)。400社以上が出展しているらしい。ハード関連がもっとも多いが、ハードメーカーでもソフトウェアを展示しているところもある。大変だな、こりゃ。


全体の印象

 さて、全体を見た印象などから先に話しはじめることにしよう。ソフトウェアという点から見ると、そんなにパッとしないというのが本当のところ。だいたい、最近では、やれベータ版だ、評価版だといって、ソフトウェアがInternetなどでばらまかれているので、ソフトウェアを見るためにわざわざ足を運ぶ必要もあまりないのである。もっとも、購入を検討しているソフトウェアがあれば、実際に出向いて、GUIの感じなんかをつかんだり、実際に細かいところを聞いてみるなど、目的がはっきりしていれば、メリットはあると思うがしかし、こうしたイベントでは、小さなソフトハウスが意外におもしろいものを出してたりもするので、変わりもの好きは、いってみたほうがよい。ただし、Wordとか一太郎といった超有名ソフトを見ようなんて人は疲れるだけだと思うので、やめといたほうが無難。


まずは大きなブースから

 入場して、最初に見たのはクラリスのブース(3302)である。Appleのソフトウェア部門が独立してできた会社だが、最近ではWindows対応ソフトにも力を入れている。クラリスワークス、ファイルメーカーPro、クラリスインパクトがWindows95/Macintosh両対応である。スケジューラー好きの筆者としてはクラリスオーガナイザーなど使ってみたいところ。ブースは、最大コマ(展示会の中でもっとも大きなサイズ)で、Windowsマーケットになんとか食い込みたい同社の意気込みが感じられる。ちなみにソフトメーカーで、ほかにこのサイズを確保しているのはLotusぐらいで、あとはハードメーカーだけである。クラリスでは受付で評価版の入ったCD-ROMをくれる。ちょっと得した気分。

ジャストシステム
ジャストシステムのブース。侍は、コマーシャルの人とは別人のようである
   9月13日に一太郎 Ver.7の出荷を控えたジャストシステムも出展していたが、舞台でカタログ程度の情報を侍のカッコをした兄ちゃんが説明してただけ。別にデモ版も配ってなかったし、わざわざ寄るほどのことはないと思う。Microsoftなんかも同じだが、違うのは、Microsoftでは裏のカタログコーナーに列ができていた。覗いてみたが、特に変わったものがあるでなし、わざわざ並ぶと損した気分になって悲しいので、並ばないほうがいいだろう。



インターネット関連ソフト花盛り

 全体を通しての傾向だが、やはりインターネット関連のソフトが目についた。国内電気メーカーなどでも、Web作成ソフトなんかを展示しているところもあるぐらい。みんな、インターネットあやかりである。Web作成ソフトなんか、そんなにあってどうするという気がしないでもない。次に目についたのが、翻訳ソフトである。インターネットがらみを含めて、意外に目についたカテゴリである。やはり、インターネットで英語の情報が氾濫しているのだろうか? 中には英語で電子メールを書くための「英語deめーる」(株式会社ヤマタネ ブース番号2116)なんてものもある。文例集が付いていて、それを選ぶと定型的な文書(カタログ送れとかってやつね)はカンタンにできてしまうそうだ。いちおう辞書引きやスペルチェックなんかもできるみたい。

 まいとーくのインターコムのブースでは、「まいとーくWebクライアントSDK」とか「同WebLook」が展示されている。WebクライアントSDKは、参考出展だが、Spyglass社のWeb Client SDKの日本語版とのことである。これは、埋め込み用のWebブラウザを作るためのソフトで、ActiveXとか、Netscapeのプラグインなどにも対応できるものである。これがあると、自分でブラウザを作るなんてことが可能だが、SDKなのでお値段はちょっと高いかもしれない。あと、参考出展の「まいとーくPCホン」は、自宅で仕事をする人や、電話をかけるのが仕事の人には便利そう。こういうソフトって、いままでなかったので、ちょっとさわってみたい。

Webscape
東京の町をVRML化したWebscape。真ん中に見えているのは新宿都庁
    すごかったのは、WebScape(グラフソフトジャパンブース6108)である、なんと実在の都市(東京、サンフランシスコ)をVRML化してデモしていた。端にあるCAD/CGエンジニアリングパークには、3Dのソフトなども出展されており、ちょっと立ち寄ってみてもいいだろう(興味によりだが)。レンダラーやウォークスルーソフトなどもあった。最近、3DやCAD系ソフトもちょっと低価格化しているみたい。


電気メーカーのブース

カルロ
日本アイ・ビー・エムブースの「カルロ」。ソフトを見ていたら、後ろから当たってきた。太いヤツである
    また、日本の電気メーカーは、たいていコンピューターを作っているので、こうした展示会にもハードメーカーとして出展している。最近では、こうした大メーカーもソフトウェアを商品化しているところが多い。やっぱり、ハードだけじゃ儲からないのかね。富士通や松下、日本アイビーエム、キヤノン、リコーなんかにも何らかのソフトウェアパッケージが展示されている。見かけなかったのは東芝とソニーぐらいかな? そんな中で気になったのが三洋インフォメーションビジネス(2120)の「ザ・美文書」かな。テキストファイルを入力すると勝手にレイアウトしてくれるソフトだが、なんとまじめに文書の解析をしているという。いい加減なソフトで「文書の最初はタイトル、短い文章は見出し」みたいな決めつけで動くソフトもあったけど、これは結構まじめそう。きっとメーカーの研究所かなんかで、作ったのを商品化したんじゃないかしら。なんと、電子メールをテキストファイルにして入れると、ヘッダを除去して、ちゃんと整形するという。資料などをメールで送ってもらったのを、文書として保存するにはいいんじゃないかな。



プログラミング関連とMacintosh用ソフト

SoftWindowの画面
SoftWindowsの画面。Macintoshのウィンドウの中でWindows95が動いている
    プログラミング関係なら、話題のJava関連で日本サンソフト(Java Workshop、同3201)、シマンテック(VisualCafe、同4202)かな。オブジェクト指向言語Eiffelなんかもあった(ベステック、3127)。ちなみにボーランド(2301)では、トライアル版のCD-ROMをくれた
 筆者は、Macintoshに明るくないので、Macintoshのソフトも多数あったようだが、さっぱりわからなかった。唯一、Windows95を動かすInsignia SolutionのSoftWindowsだけが、気になった。ちゃんとPower Macintoshのウィンドウの中でWindows 95が動いている。そここその速度だったが、きっと速いMacintosh使ってるんだろうね。ブースは4160(三菱商事)である。


個人的に関心があったもの

 変わったものでは、富士通の「F-BASIC for Windows95」。なつかしい8bit機のプログラムもこれでWindows95の上で動かせる。なんと、N88BasicやMS-Basic/Quick Basic、BASIC/98なんかのプログラムも読み込めるらしい。さらに、VBみたいなGUIを使えるステートメントも追加されてるし、統合環境もある。これは、富士通ミドルウェア(1111)にある。ここにあった、「キッズ知育シリーズ」のHello Kittyのシリーズは、ウチの子供が欲しがりそう。会場ではなぜか子供がいて、張り付いて遊んでいた。値段も2,980~3,980円と手頃、秋葉原のおみやげにいいかも。ちなみにキャラクタをFlix(♪The Cat~)に置き換えたものもある。

会計王
ソリマチの会計王。製品名のデザインが、一太郎に似ているのが気にかかる
    製品ではないが、見るとおもしろいのが4000番台のブースの真ん中あたり、ここに会計パッケージソフトのメーカーが集まっていて、熱い戦いを繰り広げている。勘定奉行(オービックビジネスコンサルタント)、会計王(ソリマチ)、PCA会計(ピー・シー・エー)、弥生(日本マイコン販売)、大番頭(ミルキーウェイ)である。こうしたソフトを1つ購入予定の筆者は、各ブースで説明を聞いたが、どこも「あそことは違う」という表現が混じる。だいたい、ライバル会社のブースからやって来るのが丸見えなんだから、しかたないか。


持ってると自慢できるカタログ

 持ってると人に自慢できるカタログもあった。たとえば、NTTのテレビ会議システムPhoenixのカタログは、表に事例、裏に製品となっていていくつかのバリエーションがあるが、中でも「結婚式でPhoenixしよう」はいい味が出ている。要は、故郷の祖父母や会社の人など披露宴に出れないひとにテレビ会議システムで実況を見てもらおうというやつなのだが、どうみても無理がある。だいたい、「仕事の都合で休めない」人が仕事中にそんなテレビ会議なんか見られないよね。また、おばあちゃんににPhoenix一式(19万8000円)を買ってあげるぐらいなら、飛行機、ホテル代出して、観光させてあげてもなお安い。カタログの「マルチメディア時代の新しい結婚式を演出します」という文章がうつろである。

 もうひとつは、I.S.C.(ブース1112)のパチンコ倶楽部(ゲームだよ)のチラシ。モノクロのコピーで、大きくWindows 3.1と書いてあるし、だいたいコピーライトが1995年になってる。女の子のイラストが載ってて「爆発力で勝負」のコピーが利いている。RPG風で、各フロアを制覇するタイプらしいが、台を選んで釘をチェックするあたり、結構細かい。人気10機種(パチンコ台のこと)とあるが、ちょっと古いんじゃない? チラシをみると妙にそそられる。一度遊んでみたい。

 なんだか、変な物レポートみたいになったので、この辺で終わることにする。

[Reported by 塩田紳二]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp