【新製品レビュー】【ハードウェア】【PDA】発表と同時に賛否両論飛び交ったシャープのカラーザウルスだが、その特徴をひとことで表わすと「マルチメディア」ということになるのだろうか。以下でその特徴的な機能を紹介していこう。
カラーザウルスの一番の特徴はカラー表示である(笑)。これは当然なのであるが、カラーザウルスは、他の機能を含めて、今までのザウルスから一気に飛躍してしまった感がある。カラーザウルスのLCDは、さすがに“液晶のシャープ”というだけのことはあって、かなり見やすくコントラストもはっきりしている。しかし、カラー化したことによる弊害?もあり、まず言われていることは、バッテリでの駆動時間である。カタログスペックでは約8時間となっているが、これを短いと感じるか、あるいは十分と感じるかは使い方しだいであろう。筆者の使用環境では、それほどバッテリでの駆動時間を不満に感じたこともなく、逆に思っていたより使えると感じている。カラー化されたことによる不満を挙げるとすれば、屋外、それも直射日光があたるような状況では、決して見やすいとはいえない点だろう。これは、屋外でカラーザウルスをデジタルスチルカメラとして使用する際に、特に感じる。とはいえ、今までのザウルスのイメージから、一歩外へ出るにはカラー化も重要だと思う。
カラーザウルスは2モデル用意されており、上位機種にはPCMCIAのデジタルスチルカメラ・カードが付属する。シャープでは、これをカラーザウルスの売りの一つとしているようであるが、ここまで来たら、売り方も、高機能な電子手帳とするよりも、超!機能豊富なデジタルスチルカメラとしても良かったようにも思える。肝心の画質であるが、解像度はカシオのQV-10と同レベルと考えて良いが、歪みなど総合的な性能ではカラーザウルスの方が上だ。メモ機能の一部として、カメラを利用するといった使い方もでき、名刺サイズが画面いっぱいになるまでの近接撮影も可能である。
最初にシャープからリリースの発表がなされたときに、ターゲットとなるユーザー層は?……と考えてしまったのであるが、やはりビジネスマンのおじさまは、これでインターネットなのであろうか。このインターネットアクセスもカラーザウルスの特徴の一つである。WWWサーフィンするなら、ペンでタッチ(筆者は指を使っている)で違和感なしである。またブックマークを利用すれば、常に欲しい情報へ即飛べて、使用感としてはPCでWWWするのとさほど変わらない。むしろ、飛びたいところをペン(指)で直接指示できるので、PCよりもハイパーテキストらしさを体験できるように思う。さらに、メモリの容量次第では、オフラインでWWW情報を参照できるので、情報を持ち歩くというザウルス本来の用途に最適な機能も用意されている。通信機能について、一つ疑問に思う仕様がある。それは、内蔵モデムが2,400bpsという、今となっては3世代!?以上前の仕様となっている点である。ここまで高機能を求めるのであれば、モデムも14.4kbpsをサポートしても不思議はない……というより、2,400bpsを採用した方が不思議である。今回からPCカード対応となったので、高速通信はPCカードの高速モデムで対応可能なのだが、このPCカードがさらにくせ者で、筆者の手持ちのモデムカードを試してみたのだが、認識できたのは1枚だけで、ほとんどが使用不可であった。シャープからはカラーザウルス対応のモデムカードが発売されてはいるが、これでは何のためのPCカードなのか?と疑問を感じずにはいられない。
また、カラーザウルスは、音声だけでなくカメラで撮影した、画像データもEmailへアタッチする事ができ、バイナリ情報のエンコード・デコードはMIMEをサポートしている。今後は、これらの機能を利用したPCとのシステム化に期待したい。
来年は、いよいよPHSやデジタル携帯電話の高速通信サービスの登場なども控え、よりネットワーク指向な情報端末の登場が期待される。カラーザウルスにアンテナが付いても不思議ではない時代となったわけだ。新たな情報サービスの登場など、ディジタル・フリークはますます目の離せない状況となりつつある。あっと思うような、端末の登場を期待したい。
[Text by 堅木昌宏]