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カラーザウルス購入レポート

TEXT : 堅木昌宏
'96/8/19

 発表と同時に賛否両論飛び交ったシャープカラーザウルスだが、その特徴をひとことで表わすと「マルチメディア」ということになるのだろうか。以下でその特徴的な機能を紹介していこう。


カラーになったザウルス

 カラーザウルスの一番の特徴はカラー表示である(笑)。これは当然なのであるが、カラーザウルスは、他の機能を含めて、今までのザウルスから一気に飛躍してしまった感がある。カラーザウルスのLCDは、さすがに“液晶のシャープ”というだけのことはあって、かなり見やすくコントラストもはっきりしている。しかし、カラー化したことによる弊害?もあり、まず言われていることは、バッテリでの駆動時間である。カタログスペックでは約8時間となっているが、これを短いと感じるか、あるいは十分と感じるかは使い方しだいであろう。筆者の使用環境では、それほどバッテリでの駆動時間を不満に感じたこともなく、逆に思っていたより使えると感じている。

 カラー化されたことによる不満を挙げるとすれば、屋外、それも直射日光があたるような状況では、決して見やすいとはいえない点だろう。これは、屋外でカラーザウルスをデジタルスチルカメラとして使用する際に、特に感じる。とはいえ、今までのザウルスのイメージから、一歩外へ出るにはカラー化も重要だと思う。


カメラになるザウルス

 カラーザウルスは2モデル用意されており、上位機種にはPCMCIAのデジタルスチルカメラ・カードが付属する。シャープでは、これをカラーザウルスの売りの一つとしているようであるが、ここまで来たら、売り方も、高機能な電子手帳とするよりも、超!機能豊富なデジタルスチルカメラとしても良かったようにも思える。肝心の画質であるが、解像度はカシオのQV-10と同レベルと考えて良いが、歪みなど総合的な性能ではカラーザウルスの方が上だ。メモ機能の一部として、カメラを利用するといった使い方もでき、名刺サイズが画面いっぱいになるまでの近接撮影も可能である。


インターネットする!

 最初にシャープからリリースの発表がなされたときに、ターゲットとなるユーザー層は?……と考えてしまったのであるが、やはりビジネスマンのおじさまは、これでインターネットなのであろうか。このインターネットアクセスもカラーザウルスの特徴の一つである。WWWサーフィンするなら、ペンでタッチ(筆者は指を使っている)で違和感なしである。またブックマークを利用すれば、常に欲しい情報へ即飛べて、使用感としてはPCでWWWするのとさほど変わらない。むしろ、飛びたいところをペン(指)で直接指示できるので、PCよりもハイパーテキストらしさを体験できるように思う。さらに、メモリの容量次第では、オフラインでWWW情報を参照できるので、情報を持ち歩くというザウルス本来の用途に最適な機能も用意されている。

 通信機能について、一つ疑問に思う仕様がある。それは、内蔵モデムが2,400bpsという、今となっては3世代!?以上前の仕様となっている点である。ここまで高機能を求めるのであれば、モデムも14.4kbpsをサポートしても不思議はない……というより、2,400bpsを採用した方が不思議である。今回からPCカード対応となったので、高速通信はPCカードの高速モデムで対応可能なのだが、このPCカードがさらにくせ者で、筆者の手持ちのモデムカードを試してみたのだが、認識できたのは1枚だけで、ほとんどが使用不可であった。シャープからはカラーザウルス対応のモデムカードが発売されてはいるが、これでは何のためのPCカードなのか?と疑問を感じずにはいられない。


メールする!

 カラーザウルスは、WWWだけでなくEmailも不自由なく扱うことができる。その中で筆者が注目する機能は、Emailへの音声情報のアタッチである。このザウルスでは、マルチメディアというだけあって、手書きメモのほかに、音声メモ機能を備えているのだが、録音した音声情報をEmailで送ることができ、相手がカラーザウルスであれば、受けて即再生(再生ボタンがメールに付加される)可能となっている。音声情報をインターネットを通じて世界中へ……という、今後に注目したい機能である。将来的には、携帯電話などを含めた、移動体通信ネットワークとインターネットとのシームレスな環境の登場も期待されるが、そうなった時には音声という情報がさらに注目されるだろう。

 また、カラーザウルスは、音声だけでなくカメラで撮影した、画像データもEmailへアタッチする事ができ、バイナリ情報のエンコード・デコードはMIMEをサポートしている。今後は、これらの機能を利用したPCとのシステム化に期待したい。


今後はPHS内蔵など、よりネットワーク志向の情報端末の登場に期待

 カラーザウルスは、画像、音声、インターネットと今流行のメディアを総合的に扱える、情報端末といえるだろう。そして、ザウルスを代表とする電子情報ツールは、PCとインターネットの普及に伴い、ますます高機能化されてゆくのだろうか。また、PCもIBMのウルトラマンPC(Parm Top PC 110)のような、小型で通信機能を備えたモノの登場により、ザウルスのような情報ツールと同じような線上に上りつつある。

 来年は、いよいよPHSやデジタル携帯電話の高速通信サービスの登場なども控え、よりネットワーク指向な情報端末の登場が期待される。カラーザウルスにアンテナが付いても不思議ではない時代となったわけだ。新たな情報サービスの登場など、ディジタル・フリークはますます目の離せない状況となりつつある。あっと思うような、端末の登場を期待したい。

[Text by 堅木昌宏]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp