グラストロンを購入してまずやってみたことは、「グラストロンでゲーム」だ。動きのあるゲームのほうが面白そうなので、プレイステーションのリッジレーサーをプレイしてみた。ゲームの画面のようにのっぺりした画面をグラストロンでみると、意外に立体感が感じられるのが面白い。これは、左右に独立した液晶ディスプレイがあり、それを両方の目で見ているからだろう。また、動きの激しいゲームではよりいっそう立体感が感じられる。さて、ゲームをしてみた感想だが、いきなり気持ち悪くなってしまった(笑)。グラストロンは頭を動かすと画面がついてくる。つまり、ステアリングの操作などで体がゆれると、画面もついてくるわけだ。これはすごく気持ち悪い(人によっては気持ちよいかもしれない)。5分もゲームをすると、もー頭がくらくらである。カタログではグラストロンを使ってビデオソースを見ると、2mの距離から約50インチの画面を見たときと同等の大きさの画面が表示されるとあるが、実際に使用してみると迫力はそこそこあるが、小さな画面を近くで見ている印象に近い。
ところで、グラストロンでゲームをして感じたことだが、頭にきちんと固定するのが意外と難しい。ヘッドバンドを調整して頭にきつく固定することはできるようになっているが、はげしく動いてしまうとズレてしまうのだ。いろいろと試してみた結果、グラストロンを装着してから帽子をかぶると、ある程度の動きをしてもしっかり固定できるということがわかった。また、付属のイヤーレシーバーでは迫力が足りないので、別途ヘッドホンなどを装備(結構重装備になってしまうが)することをオススメしたい。
やっぱりこういうおもちゃは普通の使いかたじゃ面白くない。ということで、次に試したのが小型ビデオカメラとグラストロンを使ったバーチャルリアリティもどきである。ビデオカメラはビクターのデジタルビデオ(DVL-1)を使用し、カメラのビデオ出力をグラストロンに接続。ビデオカメラは頭の上に固定した。つまり普段の視界がグラストロンを通して投影されるわけだ。いやー、これは面白かった。さっぱり実用性はないのだが、面白い。からだを動かすと画面もその向きになるわけだ。ビデオカメラのリモコンを使ってズームインとズームアウトができるので、いつもとは違った視界を楽しむことができる。とはいってもこれで日常の行動をするのはやめたほうが良いだろう。ちなみに、これで歩こうとしたが、足元がおろそかになってコケてしまった。まー、普通はこういう使い方はしないよね。
もう一つグラストロンには意外な効能がある。グラストロンを使ってビデオを見ると非常に目が疲れる。そのためグラストンでは2時間ごとに警告が表示され、6時間経過すると自動的に電源が切断されるという機能が備わっている。ちなみに、成長過程にある子供が使うと目に悪い影響を与えるとマニュアルには書いてある。こいつを長時間見ていると目が疲れるので、眠いときやだるいときにこれを使って映像を見ていると、すぐにぐっすり眠ることができる。つまり、入眠効果があるのだ。眠くなる映像ソースは人それぞれだろうが、こいつを使ってビデオドラッグなんぞを見た日にはトリップしてゆっくり眠れることうけあいだ。
頭への固定が意外に面倒、メガネをしていると装着しにくい、イヤーレシーバーのボリュームがそれほどデカくできないなど色々と不満は残るが、さすがはソニーの商品。ソニーマニアにとって所有欲をそそられる、納得できる作りになっている。はっきり言ってこいつを使って映像ソースを見るよりは、28インチ程度の画面のテレビを見た方が目も疲れないが、携帯してどこでも大画面で映像ソースを見ることができる点は十分評価できる。なにより、こういった面白い商品を製品化するソニーの開発チームに敬意を表したい。
[Text by 広野忠敏]