仕事がら、IBM互換機に関する相談をよく持ちかけられる。最近、多いのがIBM互換機を自作したいのだけど、マザーボードはどれを選べばいいのかという質問だ。マザーボードは、マシンの中核となるパーツで、安定動作するかどうかの鍵を握っている部分だ。
Pentiumプロセッサ用のマザーボードは新しいチップセット「Triton2」、「TritonVX」を搭載したモノが中心となりつつある。これらのチップセットの新しい機能やメリットを紹介した記事がたびたびDOS/V系の雑誌に掲載されているので、読んだ方も多いはずだ。
マザーボードの質問を投げかけるような人は、例外なくこれらの記事を読んで、予備知識で武装している。もちろん、出てくるのはTriton2搭載マザーボードの質問だ。
その質問に対しての筆者の答えは「Triton2搭載のマザーボードはいま買うものではない」である。もしも、いますぐIBM互換機が欲しいのであればTriton搭載マザーボードを利用することをお勧めする。
理由としては、Triton2 チップセット(82439HX / 82371SB)にはいろいろな不具合があったからだ。現在、出荷されている82439HX(システムコントローラ)、82371SB(PCI I/O IDE Xcelerator)では不具合は解消されているようだ。具体的には82439HXの初期に出荷されているものでは、ECCメモリには対応していない。BIOSでECCメモリの設定があったからといって、ECCメモリが使用できるわけではないのだ。82371SBに関しても、USBが使用できないといった不具合があった。その他にも、Dual CPUで動作させた場合にベースクロック66MHzではうまく動かないなどの不具合が報告されている。
残念なことに、この最新レビジョンのTriton2が搭載されているマザーボードを市場では見かけたことがない。最近になってやっと82371SBのほうだけはStep B0と呼ばれるUSBをサポートしたレビジョンが採用されている製品が店頭にならんでいるが、ECCメモリがサポートされている82439HXのStep A2のchipの載った製品は見かけたことはない。もちろん、最近発表されたPC-9821XvシリーズなどのECCメモリを搭載しているマシンには、Step A2のchipが搭載されているのだが、まだ店頭で購入できるマザーボードには搭載されていないのだ。Triton2の一部の不具合に関して、マザーボードメーカーのTyanがユーザーに対してアナウンスしている。
最新レビジョンのチップセットが搭載されているか否かは、マザーボードの現物を見るだけで判断できるので、憶えておいて損はない。BGAの形状をした82439HXの表面にSU102の印刷があれば最新のStep A2、SU087の印刷やSUxxxという印刷がない場合にはStep A1以前のものだ。比較的大きなCHIPの82371SBのほうは表面にSU093の印刷のあるものがStep B0(最新)、SU052とあるものはStep A1以前ものでUSBがサポートされていないものだ。
もうしばらくするとこのレビジョンのTriton2が搭載されたマザーボードが店頭に並ぶと予想される。Triton2搭載マザーボードの購入を考えているのであれば、もうしばらく待ってみては、いかがだろうか。
参考リンク(英文):
[Text by 一ヶ谷兼乃]