コードネームJakartaで知られている米MicrosoftのJava開発環境「Visual J++」のβ版の配布が開始された。 また、Microsoftの統合開発環境でおなじみの開発を効率良く行うためのさまざまなWizardが搭載されているのもVisual J++の特徴の一つだ。
Applet WizardはJavaアプレットまたはアプリケーションのテンプレートを作成してくれるウィザード。プロジェクトの新規作成時にダイアログに表示する質問に答えるだけでスケルトンを作成してくれるものだ。Applet Wizardではマウスイベントのハンドラの有無、スレッド使用の有無、アプレットを実行するためのHTMLファイルの生成の有無などを指定できる。なお、スレッドを使用するアプレットをApplet Wizardで生成すると簡単なアニメーションのテンプレートが生成される。
Visual J++のリソースエディタで作成したダイアログやメニュー、ボタンなどの部品はリソーステンプレートと呼ばれるファイルに生成される。Resource Wizardはリソーステンプレートで作成したGUI部品をJavaソースにインポートするためのウィザードだ。Javaのawtパッケージ内のGUI部品はソースコードに直接記述しなければ利用できなかったが、リソースエディタとResource Wizardを使えばVisual Basicのように部品を直接貼りつけるだけでJavaのGUI部品を利用できる。
MicrosoftのJava実行環境はVM(仮想マシン)として提供される。Visual J++にはJava VMが同梱されているため、Visual J++をインストールするとIE3.0日本語β1などでもJavaの実行が可能になる。また、デバッガはVMで実行されるので変数のウオッチ、詳細なブレーク条件の設定、スレッドの監視などかなり細かいデバッグが可能だ。ちなみに、コンパイルしたJavaプログラムを実行するにはNetscape NavigatorなどのJavaを実行できるブラウザがあれば十分だが、Visual J++のデバッガの機能をフルに活用するにはJava VMでJavaコードを実行できる環境、つまりIE3.0が必要になる。
Visual J++の特徴はMicrosoftの統合開発環境Microsoft Developer Studioのユーザインターフェースを採用している点だ。Microsoft Developer StudioはVisual C++にも採用されているインターフェースで、クラスの階層構造の参照、ソースプログラムの編集、ヘルプファイルへのアクセス、デバッガの起動などがMDIで行えるもの。つまり、Visual C++を使った経験があるならば、そのままVisual J++を違和感無く使うことができる。
Visual J++はftp://ftp.microsoft.com/msdownload/sbn/vj/からダウンロード可能。ただし、ファイルサイズは12MBあるので心してダウンロードして欲しい。また、Visual J++の実行に必要な環境はPentium90MHz以上でかつメモリを24MB以上搭載したWindows95またはWindows NT4.0だ。NT3.51では動作しないので注意して欲しい。
('96/7/22)
[Reported by 広野 忠敏]