メルコの9,800円ルータ「BLR-TX4L」買ってみました
~実売14,800円のルータと機能を比較

10月5日 発売

価格:9,800円



●メルコの9,800円ルータが店頭に登場

 大手メーカー製のブロードバンドルータとしては初めて、メーカー標準価格が1万円を切ったメルコの「Broad Station BLR-TX4L」が店頭に登場している。編集部が購入した製品について、簡単なインプレッションをお届けする。

 ただし、購入後時間が限られていることから、通信機器としてもっとも重要である実際に接続した状態での信頼性などは評価できず、製品紹介に留まることをお許しいただきたい。なお、購入先は秋葉原のT-ZONEミナミで、店頭価格は標準価格のままの9,800円だった。

 BLR-TX4Lは、100Base-TX対応の4ポートスイッチングハブを内蔵しており、これにADSLモデムやCATVモデムを接続することで、複数のPCでブロードバンド環境を作ることができる。

「BLR-TX4L」本体とACアダプタ パッケージ内容

 パッケージは大変小さく、同種のルータの約半分ぐらいだ。パッケージの内容もシンプルで、ルータ本体、ACアダプタ、マニュアル、しおり、登録はがきしか入っていない。

 ごく地味な薄いグレーの外観は、なんの変哲もないデザインだ。外観上の特徴といえるのはWANとハブの4番に入っているカスケードスイッチぐらいだ。ACアダプタは比較的小型で、設置時も張り出しが小さいように考慮されている。

本体(単3電池は比較用) 裏面(MACアドレスが記載) 背面(2つのカスケードスイッチが珍しい)

 とりあえずPCにつなぎ、設定メニューを見ると、こちらもかなりシンプルだ。ここに掲示した分がすべての設定画面である。デフォルトはフレッツADSLあたりをターゲットにしていると思われる。ざっとみたところ問題になりそうなのは、CATV回線につなぐ際に必要となるPC名の設定などの項目がない点だ。

 一部のCATVプロバイダーではいまだにルータの使用が禁止されており、PC名やMACアドレスの登録が必要となっている。しかし、セキュリティ上の問題もあって、実際はかなり多くのユーザーがルータを使用しており、ルータ側でもそれに応える機能が用意されているのが実状だ。

 また、パケットフィルタリング機能は実装されておらず、今後のファームウェアのアップグレードで対応するとされている。

メインメニュー 簡易設定1 簡易設定2

本体情報 LAN側設定 WAN側設定

アドレス変換テーブルの追加 ルーティング パスワード管理


●水準を知るために上位機種と比較

本体(単3電池は比較用)

 BLR-TX4L単体では、低価格ルータの水準がわからないので、もう一台ルータを用意した。アイ・オー・データ機器の「NP-BBR」という製品だ。特徴は最近の通信機器にはめずらしく国産と明記されていることだ。標準価格は16,800円、店頭では14,800円で販売されていた。メルコとの価格差は5,000円で、この価格差で仕様がどのように変わるのかにも興味があった。

 外箱はメルコの2倍ぐらい大きく、本体、ACアダプタ以外にカテゴリ5の3mのEthernetケーブルと、コンソール制御用のRS-232C変換コネクタが付属する。あとはマニュアルと登録ハガキだ。

 NP-BBRの外観の特徴は、フロントパネルが垂直でADSLモデムやHubなどとの積み重ね時も見やすい形状になっていることだ。ボディは紺色でフロントパネルは黒。外観は、通信機器メーカーのセンチュリー・システムズの製品とほぼ同一で、OEMなどの近い関係にあると推測される。外観で目に付くのはEthernetのコネクタにHALOのFastJackという定評のある製品が使われている。

パッケージ内容 裏面(MACアドレスが記載) ステータス部アップ

 設定メニューを見ると、BLR-TX4Lに比べて設定可能な項目はかなり多い。CATV対策も含め、低価格機とは思えないほどの充実ぶりで、コマンドでの設定モードまで用意されている。機能面ではBLR-TX4Lよりも充実している。

メインメニュー ADSL接続設定 CATV接続設定

基本設定 NAT機能の確認 NAT設定の表示と削除

DHCPサーバー機能の設定 パケットフィルタ設定 フィルタ設定の表示と削除

SYSLOG設定 ログメール設定 セキュアホスト機能の設定

パスワード設定 内蔵タイマーの設定

PPPoEの詳細設定 コマンドで設定

●日用品と通信機器

 ここまで見ていると両者の商品としての性格の違いは明らかだ。BLR-TX4Lは、いわば“ADSLのテーブルタップ”という印象だ。「ADSLモデムから来た信号を2台以上のPCで使いたい、設定はほとんどしない」ということであれば充分な製品だろう。とくに1万円を切る価格設定をしたことは、ルータがすでにコモディティ化し日用品となった証拠であり、大きな意義のあることだ。

 すでに他社の製品価格にも影響を与えはじめており、標準価格が14,000円台だったいくつかの製品の実売価格が1万円以下になっている例もあった。

 それに対し、NP-BBRはあくまでも“通信機器”としての位置を保っている。多岐に渡る設定が可能なこと、良質な部品を使っていること、フロントパネルにステータスランプがあり積み重ねても表示できることなどだ。自分でサーバーを建てるようとしている人、セキュリティに関心が高い人、CATVで使おうとしている人には、こちらをお勧めしたい。しかし、スペックに現われた性能ではほとんど差がないだけに、ただつなぐだけの人にとっては、BLR-TX4Lとの5,000円の差は大きいと感じるかもしれない。

 BLR-TX4Lは約束されている仕様も含めてファームウェアの強化が行なわれることを期待したい。NP-BBRはこの分野ではアイ・オーが後発であることもあって、秋葉原の大型店すべての店頭にあるわけではなかった。また、14,800円という価格は内容には充分見合っているものの、1万円以下のライバルが登場しているだけに店頭では目立ちにくいかもしれない。好ましい印象を受けただけに、価格面も含めてより人の目に触れやすくなることを願いたい。

 最初に述べたように、通信機器としてもっとも重要なのは信頼性であり、実際のフィールド上での性能だ。今回はあくまでもファーストインプレッションに留まったが、長時間使用した上でのレポートや、よく使用される状態(NATとパケットフィルタリングをONにするなど)でのスループットの計測なども課題として考えていきたい。

両機の比較



■■ 注意 ■■

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BLR-TX4Lマザーボード表 BLR-TX4Lマザーボード裏
Ethernetコントローラはいわゆる“カニ”が2匹。Ethernet端子は4つが一体になっているタイプ。コントローラは裏面にあり、SAMSUNGのARMコアのものが使われている

NP-BBRマザーボード表 NP-BBRマザーボード裏
EthernetコントローラはIntel。Ethernet端子はWAN側/LAN側ともHALO FastJack。コントローラはMotorola。



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(2001年10月5日)

[Reported by date@impress.co.jp]


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