Mac OS X v10.1の無償アップデートCDを店頭配布
~「これまで支えてくれたユーザーに一刻も早く届けたかった」と原田社長

9月29日配布



 9月最後の週末を迎えた29日、アップルコンピュータが「Mac OS X」における初めてのメジャーバージョンアップと位置づける「Mac OS X v10.1」の販売がスタートした。26日に同社がアナウンスしたように、今回は通常のアップグレード手続きのほかに、販売店の店頭で無償の「Instant Up-To-Dateキット」が数量限定で配布された。これまでもWindows 95を皮切りに、ハードウェアやOS、あるいはゲームに至るまでさまざまなジャンルの製品が発売記念イベントを催してきたが、Macユーザーにとっては'98年の「Mac OS 8.5」の深夜発売以来となる。

午前9時前には約500人ほどが行列を作ったラオックス Mac館の店頭。ややはやめに始まった整理券の配布は、9時10分過ぎには配布予定数に達した
 午前8時過ぎに到着したJR秋葉原駅。電気街口から出てみるとすでに配布店舗の1つである「ソフマップ2号店 Mac Collection」から伸びる行列が目に入る。足を進め、もう1つの配布店舗とされる「ラオックス Mac館」へと向かうと、そこにも店頭から伸びる長い行列が存在した。両店は事前にホームページにて、整理券による配布方法を公表。午前11時に設定されたキットの配布に先立ち、ラオックスは午前9時から、ソフマップは午前9時30分からの整理券配布を予告していた。

 結局、ラオックス Mac館では午前9時よりもやや早く整理券の配布を開始。店長の内川政典氏によれば、整理券の配布開始時点で約500人が行列を作っていたとのこと。同店では900セットのキット配布を予定していたが、整理券の配布中にも続々とユーザーが訪れ、午前9時10分過ぎには整理券の配布を終了した。


ラオックス Mac館の整理券配布終了を告げる立て看板。9時30分過ぎに訪れ、この看板を見たユーザーは次々と他の配布店舗を探して秋葉原に散っていった ラオックス Mac館が配布した整理券。混乱を防ぐため、配布時間や配布場所が細かく指定されている。筆者はこの整理券を使って入手することができた

 いっぽうソフマップでも、予定を繰り上げ午前9時過ぎには整理券の配布を開始。同店のホームページによれば500セットの配布が予定されており、その分の整理券はやはり30分を待たずに終了となった。秋葉原地域ではほかにも、T-ZONEミナミなどがほぼ同時刻に整理券を配布。ほかの数店では整理券の配布はせず、午前11時まで店頭での行列が維持された。アップルコンピュータのニュースリリースで、配布店舗として名前が挙がっていたのが前述の2カ所だったこともあって、最初にそちらへ足を運び、整理券の配布終了後は、ほかの配布店舗を探して歩くユーザーの姿があった。

ソフマップ2号店 Mac Collectionでも、午前9時には400~500人の行列ができた。同店の整理券にも15分刻みで配布予定時間が明記してあるなど、混乱を防ぐ工夫が見られる ソフマップ2号店 Mac Collection店頭の案内。午前9時過ぎの整理券配布が始まるまで、ユーザーは整然と行列をつくった ソフマップ2号店 Mac Collection店頭での配布の様子。記念の携帯ストラップなども一緒に手渡された。製品の購入者向けにG4 Cubeの当たる抽選会も実施

 実際のキットの配布は午前11時からとなったが、整理券を配布した店舗では、整理券の番号順に引き渡し時間を指定するなど工夫を加えたこともあり、配布における店頭での混乱はほとんどなかったといっていい。ただ、整理券の配布を知らず午前11時前後に来店したユーザーは、限定数終了の掲示をみてがっかりしたり、ほかの配布店舗を探しに向かったり、店員に詰め寄るなどの光景も若干ながら見られた。

秋葉館では50枚を配布。整理券は配布せず、行列は静かに午前11時の配布開始を待っていた。枚数が少ないこともあって、配布自体はあっという間に終了 イケショップ店頭の10時前の様子。裏通りに面しているせいか、秋葉原のなかでは穴場のひとつだったかも知れない。とはいえ、午前中で予定数に達した模様

 いっぽう、整理券を配布しなかった店舗でも(こうした店は配布数そのものが少ないと言うこともあって)午前11時の配布開始とほぼ同時に限定数に達したようである。事実上、秋葉原地域では午前中のうちに配布予定のキットは無くなったと言える。

 配布の始まった11時頃には、アップルコンピュータの原田永幸社長が、先日マーケティング本部長に就任した大宮哲夫氏を伴って秋葉原に登場。各店舗を回って、配布の状況を視察したり、同氏に気が付いたユーザーから声を掛けられたりサインを求められる光景も見られた。

 原田氏によれば、今回こうした無償アップデートCDの店頭配布を企画したのは「昨年9月のパブリック・ベータ版そして今年3月の製品版と、これまでMac OS Xを支えてくれたユーザーに、一刻もはやくMac OS X v.10.1を届けたかったから。Up-To-Dateプログラムもできるだけ早くお届けできるように努力しているが、どうしても一週間程度はかかってしまう。(店頭での配布という手段が)一刻も早く使ってもらうための方法だった」とのこと。さらに「先頭に並んでいる方にお話をお聞きしたら、SE/30の頃から家族で利用されているとのこと。我々はこうした皆さんに支えられている」と付け加えた。大宮氏も「発表からわずか3日間で、こうした企画が実現できたのは販売店の協力があってのこと。パブリック・ベータ版の時は(新宿タカシマヤなど)一部の店舗でしか実現できなかったが、今回は全国規模で行なうことができた」、「総配布数については公表できないが、極めて早い時期にMac OS Xを導入してくれたユーザーには行き渡る程度の数を用意してある」と満足げだった。

 今回アップルコンピュータ側からは、配布予定店舗のリストが公表されなかったこともあって、確実に入手したかったユーザーが、唯一リリース中で紹介されていたラオックス Mac館やソフマップ2号店などに集中したものと考えられる。そのため、秋葉原をはじめとする中央の店舗にはユーザーが集中し、極めて早い時間帯で現定数に達した模様である。その一方で、郊外店や地方の店舗などでは同日の夕方頃まで入手可能だったところも多いようだ。事実上、無償アップグレードCDの配布は、この土曜日にて終了。これ以降は、通常のアップグレード手続きによる「Mac OS X v.10.1 Up-To-Dateプログラム」にて入手する必要がある。

配布された「Instant Up-To-Date」の内容。無償とはいえ、昨年のパブリック・ベータ版と同じパッケージに入った豪華なものだ
 インターネットのさまざまな掲示板には、残念ながらこの無償アップグレードCDを入手することができなかったユーザーの嘆きの声が、少なからず挙がっている。個人的にも「早い時期にMac OS Xを導入したユーザーに行き渡るだけ」というわりには、ほぼ土曜日の午前中という限られた時間帯のみで配布が終了してしまったことは残念に思う。仕事や家族の都合で、残念ながら店頭に向かうことができなかったユーザーも少なくないだろう。せめて翌日曜日にも、同レベルのチャンスを用意して欲しかった。

 原田社長にコメントをいただいた際、こうした要望もぶつけてみた。「要望は真摯に受け止め、今後の検討課題にする」と明確に答えられた。米国のアップルコンピュータでは廃止されてしまったTell Usのシステムも、日本ではまだ継続している( http://www.apple.co.jp/support/tell_us/index.html )。アップルコンピュータが日本のユーザーの意見に耳を傾ける意志に応え、伝えるべき要望はきちんとした形で伝えるのがいいだろう。



□アップルコンピュータのホームページ
http://www.apple.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.apple.co.jp/news/2001/sep/26macosx101.html
□Mac OS Xアップグレード方法
http://www.apple.co.jp/macosx/upgrade/
□Tell Us
http://www.apple.co.jp/support/tell_us/index.html
□関連記事
【9月26日】アップル、Mac OS X v10.1を9月29日に発売
~無償アップグレード版を販売店の店頭で配布
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010926/apple.htm

(2001年10月1日)

[Reported by 矢作 晃]

I
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】

【Watch記事検索】


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.