西川和久の
「Broad Gateがやってきた!」


Broad Gate

 今年2001年2月14日、有線ブロードネットワークスが衝撃の価格で光ファイバーによるブロードバンドサービスを発表した。驚くことに個人向けのHOME100であれば100Mbpsで月額6,100円!(専用モデム使用料とブロードゲート基本料を含む) 、初期費用が33,000円。運良く筆者の部屋がエリア内だったこともあり3月22日に申し込み、8月30日やっと開通したのでそのレポートをお届けする。

Text by Kazuhisa Nishikawa


●工事編

 待ちに待った工事の日、数日前の連絡では16:00に工事開始という話だったが、交通事情の関係で30分ほど遅れるという電話が入り、16:30からスタート。工事の流れは以下の通りだ。

工事その1
 マンションに一番近い電柱から光ケーブルを入れる。数メートルの距離だ。この赤い丸の付いたケーブルが光ケーブル。クロージャーと呼ばれる200本ほど光ケーブルを束ねた部分は、この電柱から三本先にあるという話。作業は異様に早くあっという間に終わってしまった。なかなかいいペースだ

工事その2
 二階にある電話配管へ光ケーブルを引き込んでいる。1チームで1日3~4件の工事らしく、猛暑で工事担当の方々は日焼けで真っ黒。全国各地から東京へ集結。総動員で日々工事を行なっているとのことだった。今回の工事担当者は北海道と京都からきたそうで、日によっては食事する間もない程忙しいらしい

工事その3
 二階の電話端子盤へ光ケーブルを引き込み、そこから三階にある筆者の部屋まで光ケーブルを入れる。マンションなどの場合はこの方法が一番多いという話だった。同時に複数の部屋を工事する時はここへメディアコンバータとスイッチングHUBを置き、カテゴリー5のケーブルを各部屋へ引くらしい

工事その4
 無事、筆者の部屋まで引き込まれた光ケーブル。16:30から作業開始して、ここまでかかった時間は約一時間。事前に二~三時間程度の工事と聞いていたので、このまま進めば三時間以内に終わりそうだ

メディアコンバータ
 メディアコンバータと呼ばれる光ケーブルから100BASE-TXへ変換するアダプタ。思っていたより小さい。立ち上げ当初の頃から比べると、このメディアコンバータは既に四世代目。徐々に小さくなっているという。

メディアコンバータ内部
 メディアコンバータの内部。手前の白と赤の細い線が光ケーブル。折り曲げられないためケースの中で数回巻かれ、本体へ引き込まれている。基板上はご覧のようにけっこうシンプル。まだまだ小型化は進みそうだ

 順調に工事も終わり、メディアコンバータを動かしたところ……まったくリンクしない。トラブル発生である。どこまで信号がきているか? を、南平台にあるNODEとクロージャー間、クロージャーとメディアコンバータ間を調べたところ、クロージャー側の接続がNGと判明。再工事後、メディアコンバータのLEDが光ったものの、点滅、つまり片リンクなのだ。更に各間を調べたが特に問題なし。結論としてはメディアコンバータの不良であった。新しいメディアコンバータへ付け替え、LEDも無事点灯。これでリンクはOKとなった

 ここまでくれば、工事担当者の用意したノートパソコン(ThinkPad 240Z + Windows 2000)へケーブルを接続、割り振られたIPアドレスなどをセットし、PINGチェック、コンテンツ再生チェックなどを行ない、工事は完了。二重のトラブルということもあり、16:30からはじまった工事は23:00までかかってしまった。こんなにひどいケースはあまりないという話だったので、今回はたまたま運が悪かったのだろう。また、6時間半にも及ぶ長丁場の中、丁寧かつできる限りの対応を行なっていただいたことに付いては非常に好感がもてた。ありがとうございました!>現場担当者殿


●インターネット接続編

 工事完了と共にインターネット接続に必要な情報などが書かれた書類を受け取る。個人向けのHOME100はPC5台まで接続可能とあるが、何とIPアドレスは固定のグローバルIPアドレス5つだ。ネットマスクは255.255.255.248。確かに5台までPCは接続できる。と同時にいろいろ疑問も沸いてきたものの、さっそく筆者のPCと接続した。

Speed Check 1
 最近よくみかける回線速度測定サイトのひとつ。約13Mbpsと驚異的なスピードが出ている。もちろんサーバーの混み具合や経路によって毎回この速度が出るわけではない。試しに事務所の回線速度(東京めたりっく通信Biz1600)を測ったところ約1.5Mbpsだった

Speed Check 2
 IIJのFTPサーバーからファイルをダウンロード。1594.92KB/Sec.と、とてつもない数値が出た。事務所の通信環境とは約10倍違う速度だ。こんな数値を見てしまうと、部屋で仕事した方が効率いいかも!? と思うのは筆者だけだろうか(笑)

www.gate01.com
 Broad Gate会員専用のホームページ。内容によって無料と有料にわかれている。ムービー系は代表的なもので400~500円/1日~数日。WindowsMediaを使った(ビットレートは500Kbpsと2Mbpsの二種類)ストリーミング配信だ

 ご覧のように、申し分のない通信環境。FTTHを実感した瞬間だ。これまでSDSLの1.6Mbpsでも速いと思っていたが、この速度は明らかに次元の違うスピード。社内ネットワークに近い感覚でインターネットへアクセスできる。もちろんBroad GateオリジナルコンテンツのムービーもローカルCD-ROMからVideoCD(ビットレート2Mbpsはかなり綺麗)を見ている感覚に陥ってしまうほどだ。こんな速度が月額6,100円とはどう考えても破格値だろう。有料コンテンツに関しては、映画やビデオなど1~数日間何回見ても400~500円という設定が多いものの、1度見たものを続けて短期間に何回も見るケースは考えにくく、100円/1回限りの設定もあれば嬉しいのだが……。

 さて、先の疑問点であるが、同社から配布された資料を見ると、個人用のHOME100ではWebやFTPサーバーなどの使用は不可、ブロードバンドルーターも使えないとされている。しかしIPアドレスが固定のグローバルIPアドレスとなると、技術的には全て可能。やる気になれば何でもありの環境だ。筆者は必要ないのでどれも行なう気はないが、実際ユーザーがサーバーを立ち上げたり、ブロードバンドルーター(但し、スループットの関係で対応できるものは限られる)を付けると何だかの警告が来るのだろうか? 保証しないだけで、ユーザーが勝手に行なうのはOKなのだろうか? この件について、関係者で記事をご覧になった方は筆者もしくは編集部までご連絡いただきたい。Updateとして追記したいと考えている。


●総論

 以上のように良いことづくめのBroad Gate。問題点があるとすれば、“申し込んでから工事に至るまでの対応の悪さ”と“セキュリティー”だ。

 3月22日に申し込み、8月上旬に筆者から連絡を入れるまでは全く音沙汰なし。マンションということもあり、オーナーの許諾が下りないのか? 単に工事が混みあっているのか? 何も連絡ないまま4ヶ月以上ほったらかしというのはちょっと考え物だ。更に筆者が連絡したときは、一両日中に工事日の連絡ができるといわれ、その後待つこと二週間。この対応は何とかして頂きたいと思う。(契約時に「何かあったときはメールで連絡します」といったところ、「あまりメールは見ないので電話で連絡して欲しい」と聞いたときに悪い予感はしていたが……。)

 次にグローバルIPアドレスを使い無防備のPCへ直付け常時接続はセキュリティー面で非常に危険。一応配布されたドキュメントには書かれてあるものの、それを真面目に実行する人は何パーセントだろうか? Code Redの例を見ても解かるように、ネットワークを扱う管理者でさえも中途半端な状態。一般のパソコンユーザーが自ら対策するとはちょっと考え難い。

 とはいえ、この速度と価格は文句なしのナンバーワン。正式にサーバー用途で使えるOFFICE100でさえもPC10台まで接続可能(加えてブロードバンドルーター接続可)で月額11,000円(専用モデム使用料とブロードゲート基本料を含む)+ドメイン管理費10,000円(ちょっと高い?)で計21,000円。現在、事務所へ引いているSDSLより約10倍速で価格は約1/3。回線が安定しているのであれば事務所のネットワークもこちらへ乗り換えようと思っている。Bフレッツも含め、まだまだエリアの狭いFTTH。一足早く体験できた筆者は非常にラッキーだった。

[Text by 西川和久]

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