TECHXNY/PC EXPO会場レポート

COMPAQ、Tualatin搭載のB5ミニノート
「Evo Notebook N200」をプレス向けに公開

Evo Notebook N200
会期:6月25~28日

会場:Jacob Javits Center


 PC EXPOで、COMPAQはEvo Notebook N200をプレス向けに公開した。Evo Notebook N200はB5サイズのミニノートパソコンで、モバイルユーザーにとって非常に魅力的なマシンになっている。このレポートでは、会場で筆者が触った感想や配布された資料などを基に本製品の魅力に迫っていきたい。なお、発売時期は今秋で、価格などは未定となっている。


●CPUにはモバイルPentium III-M 700MHzを採用

 今回COMPAQが発表したのは、同社が5月に日本で発表したEvoシリーズの最新製品でEvo Notebook N200という製品名となる。CPUはIntelの超低電圧版モバイルPentium III-M 700MHzで、L2キャッシュは512KBとなっており、従来のL2キャッシュ容量が256KBだったモバイルPentium IIIに比べて処理能力が向上しているのが大きな特徴だ。

CPUにCPUIDが「Family 6 Model 11 Stepping 1」(06B1h)であるCPU、つまりTualatinを採用している。クロックは表示されている通り700MHz CPUがTualatinであるため、SpeedStepのアプレットにはCPU負荷率に応じてクロック・電圧を2段階で変動させる「Automaticモード」が追加されていた

 また、超低電圧版モバイルPentium III-M 700MHzは、新しい拡張版SpeedStepテクノロジに対応している。新しいSpeedStepでは、従来なかった「Automaticモード」と呼ばれるモードが追加されている。

 これは、CPUの負荷率に応じてクロックを2段階で可変するものであり、700MHzの超低電圧版モバイルPentium III-Mでこのモードに設定した場合、700MHz/1.1Vと300MHz/0.95Vの間を自動で切り替える。つまり、2段階だけだが、TransmetaのLongRunやAMDのPowerNow!などでサポートされていた、CPU負荷率に応じたクロック/動作電圧の切り替えにIntelのCPUも対応したことになる。

本体とオプションのバッテリ。オプションバッテリはリチウムイオンで4セル オプションバッテリをつけると、本体全体をチルトできる

 本製品ではこの超低電圧版モバイルPentium III-M 700MHzを採用したことにより、オプションの外部バッテリを利用することで最大8時間と非常に長いバッテリ駆動時間を実現している。本体内部には6セルのリチウムポリマーを内蔵しており、こちらを利用した場合には、3、4時間のバッテリ駆動が可能になる。

 なお、オプションの大容量バッテリは、可動式になっておりスタンドとしての利用も可能になっている。このあたりのデザインは、COMPAQが買収したDECがHiNote Ultraシリーズで採用したデザインを脈々と受け継ぐもので、HiNote Ultraのユーザーであれば非常に気になるデザインと言えるだろう。なお、重量は内蔵バッテリのみの状態で2.5ポンド(約1.133kg)で、オプションのリチウムイオンバッテリを搭載した場合には3ポンド(約1.36kg)となる。

底面。はずれている部分には標準バッテリが入る。標準バッテリはネジで留まっており、基本的には交換不可。なお、2つの蓋は手前側がメモリ、奥がMini PCI リチウムポリマーの内蔵バッテリ。6セルの角形リチウムポリマーが内蔵されている


●メモリは最大で192MBまで増設可能

 メインメモリは標準で128MBとなっている。オンボードで64MB、1つだけのメモリソケット(144ピンSO-DIMM)に64MBという構成で、メモリソケットの64MBを抜き128MBのメインメモリを挿すことにより最大で192MBまで増設することが可能になっている。ハードディスクは9.5mm厚で、今回展示されていたモデルでは20GBのドライブが採用されていた。

チップセットは440MX。もちろんTualatinに対応したバージョンとなる グラフィックスチップはATIのRage Mobility-L。4MBのSDRAMを内蔵

 液晶ディスプレイは10.4インチのTFT液晶ディスプレイで、解像度は1,024x768ドット/1,677万色となっている。液晶ディスプレイの表示品質は一般的なもので、輝度を最大にしてもやや暗めであることをのぞけば特に大きな不満はない。グラフィックスアクセラレータはATI TechnologiesのRage Mobility-Lが採用されている。Rage Mobility-Lは4MBのSDRAMを内蔵した1チップのグラフィックスチップで、実装面積が小さく済む割には高い描画能力を持っているチップだ。なお、チップセットがAGPをサポートしない440MXとなっているため、PCIバス接続となっている。

右側面。PCカードスロット(Type2×1)が用意されている。ちなみに左側面は特に何もない 後面。左からEthernet、モデム、外部ディスプレイ、MEU接続端子、USB×2

 インターフェイスは背面にUSB×2、外部CRT、モデム、Ethernet、オーディオ(イン/アウト)、ドッキングステーション端子などが用意されており、特に不足ということはないだろう。

 キーボードのピッチはフルサイズの90%とされており、計算上は17.1mmとなるが、筆者の見た感じではもうすこし大きな印象を受けた。実際に入力してみたが、ややストロークが浅めに感じたが、ストレスなく入力することができた。ポインティングデバイスはパッド式で、操作感は良好だった。

【Evo Notebook N200スペック】
CPU超低電圧版モバイルPentium III-M 700MHz
L2キャッシュ512KB
メインメモリ128MB(オンボード64MB、メモリソケット64MB、最大128MB)
チップセットIntel 440MX PCISet
ハードディスク20GB
液晶ディスプレイ10.4インチTFT液晶ディスプレイ(1,024×768ドット/1,677万色)
PCカードスロットType2×1
インターフェイスUSB×2、VGA、RJ-45/11、赤外線、オーディオ(IN/OUT)
バッテリ内蔵(リチウムポリマー:6セル)、外付け(オプション、リチウムイオン、4セル)
サイズ251.5×198.8×211.1mm
重量約1.13kg(内蔵バッテリ)、約1.36kg(外付けバッテリ)
OSWindows 2000(プリインストール)


●オプションのMEUがs30との大きな違い

MEUと呼ばれるドッキングステーションに取り付けることができる

 ところで、本製品は日本アイ・ビー・エム(以下IBM)から発売されたばかりのThinkPad i Series s30に非常にスペック的に似通ったものとなっている。10.4インチのTFT液晶や超低電圧版モバイルPentium IIIを採用などだ。実際、筆者が持っていったThinkPad i Series s30と並べてみたところ、ほぼ同じような大きさだった。

 しかし、本製品にはs30と大きな違いがある。それがMEU(Mobile Expansion Unit)と呼ばれる拡張ユニットが用意されている点が大きな違いと言える。s30ではオプションでUSB接続のCD-ROMドライブが用意されているだけで、IDE接続のドライブ類は利用できない。IDE接続のドライブが利用できれば、標準以外のOSをインストールするときなどに圧倒的に便利であり、特に自分で好みのOSに入れ替えたりするハイエンドユーザーにとっては必要なオプションであるといえる。

MEUの背面のポート。シリアル、パラレル、PS/2などが追加で利用できるようになる MultiBayにはDVD-ROMドライブなどのオプションのドライブ類を内蔵することができる

 このMEUにはMultiBayと呼ばれる取り外しが可能なベイが内蔵されており、オプションで用意されるDVD-ROMドライブ、CD-ROMドライブ、CD-RWドライブ、セカンドハードディスク、FDD、250MBのZIPドライブなどを内蔵して利用することができる。また、ポートリプリケータの機能も有しており、シリアル、パラレルなどのレガシーポートはMEU側に用意されている。


●s30の非常に強力なライバルとなるか?

日本アイ・ビー・エムのThinkPad i Series s30との比較。ほぼ同じ大きさ

 以上のように、Evo Notebook N200はモバイルノートとして非常に魅力的なスペックとなっている。特に、オプションのバッテリを搭載しても1.36kgと比較的軽量で、この状態で8時間もの駆動時間を実現するというのだから、登場が待ち遠しい製品と言える。本製品のライバルとなるのは、言うまでもなくIBMのThinkPad i Series s30およびThinkPad s30シリーズだろう。s30は無線LANを内蔵しているというアドバンテージを持っているが、N200の方もs30にはないDVD-ROMドライブなどを内蔵するドッキングステーションというアドバンテージを持っており、こちらを重要視するユーザーにとってはN200は非常に魅力的なノートパソコンであると言えるだろう。

 なお、本製品は秋にも日本でも発売される予定があるという。COMPAQのケン・ウィレット副社長(コーポレートポータブル・デスクトッププロダクト担当)は「日本市場はこうしたミニノートのメインターゲットとなる市場だ。もちろん、この製品は日本市場でも展開していく」と述べ、秋には発売するという意向を表明した。

 今年の秋モデルには、本製品も含めてIntelやTransmetaの省電力CPUを搭載した魅力的なサブノート・ミニノートなどが市場に多数登場しそうであり、期待したいところだ。

□TECHXNYのホームページ(英文)
http://www.techxny.com/
□COMPAQのホームページ(英文)
(6月28日現在、この製品に関する情報は掲載されていない)
http://www.compaq.com/

(2001年6月28日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

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