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プロカメラマン山田久美夫のビジネスシヨウ デジタルイメージングレポート5月24~25日(一般公開日) 会場:東京ビッグサイト 東展示棟 入場料:無料
「21世紀-ITが創るビジネスと生活」がテーマとなった「ビジネスシヨウ2001 TOKYO」が本日22日より、東京ビッグサイトで開幕した。 今年のメインは通信系であり、ほとんど“携帯電話シヨウ”という雰囲気。その一方、大手企業の参加が減っていることもあって、通信以外では若干見どころの少ないイベントという印象だ。 さて、デジタルイメージング関連の出展社も意外なほど少なく、富士フイルムやオリンパス、ソニー、キヤノンといった大手メーカーは参加しておらず、こちらもやや低調な雰囲気があった。とくに、例年、ビジネスショーをターゲットに新製品を公開するリコーのブースがない点は残念なところだ。 また、本イベントで発表された新製品もないが、すでに発表済みのモデルで、事実上、本イベントが一般ユーザーへのお披露目の場となった製品は意外に多い。今回はそのあたりを中心にレポートをお届けしよう。
エプソンは、通信・携帯系ブース以外で、もっとも人気が高く、派手な展開を繰り広げていた。同社は、開催前日に新製品「PM-920C」と「PM-780CS」を発表した。さらに、この春発売されたPCカードからのダイレクトプリント対応機「PM-790PT」に搭載された「Print Image Matching」を、現行パーソナル機すべてにソフトウェアバージョンアップで対応することを表明し、大々的にアピールしている。 この「Print Image Matching」(以下、PIM)という技術は、同規格に対応したデジタルカメラとプリンタを使うことで、特別な補正操作をすることなく、プリンタの再現域をフルに生かした、美しいプリントを作成できるという。つまり、カメラメーカー側がプリント時に最適な画質にするためのパラメータを画像ファイルのヘッダ部分に埋め込んでおき、プリンタはそれを参照して各種補正値を自動的に設定してプリントを行なう。ブースでは、PIMを使ったものと使わなかったものの比較プリントも展示されており、その違いを見ることができる。 また、同ブースには、各社のPIM対応デジタルカメラが一堂に展示されており、なかなか壮観だ。しかも、その大半は発売前のモデルのため、それらの実機を間近で見ることができる、数少ないチャンスともいえる。
その中でも、今春のカメラショーに参考出品されただけで、まだ正式発表前の旭光学の超小型300万画素3倍ズーム機は要注目だ。ただ、裏面を見る限り完全なモックアップだが、そのサイズの小ささを体感することはできるだろう。
京セラは通信系に強いこともあって、KDDIなど携帯系ブースのエリアに隣接しており、なかなか活気がある。 同社は、今春発表された超小型334万画素2倍ズーム機「Finecam S3」のデモを積極的に展開していた。このモデルは、キヤノンIXY DIGITAL 200とほぼ同サイズで300万画素機を実現したもので、質感もなかなか良好。このあたりは、ぜひとも、ブースでその感触を体感しておきたいところだ。 なお、本機は発売予定が変更されており、現在、6月発売が予定されている。
さらに、まだ参考出品段階で正式発表に至っていない、35mmフィルムサイズの600万画素CCD搭載デジタル一眼レフ「CONTAX N DIGITAL」も展示されていた。しかも、今回展示されているモデルは、まだモックアップながら、外観はほぼ製品版と同等というもの。それだけに、本機に興味のある人は必見だ。 もちろん、価格や発売時期については、まだ明確な発表がなく、ブースでも、「年内、できれば早めの時期に発売したい」、「価格は80万円を切るレベル」という説明に終始していた。
ビジネスシヨウ初参加のニコンは、先だって発表されたばかりの334万画素光学4倍ズーム機「COOLPIX995」を全面的にアピール。ブースでは、同機による水着撮影会まで開催するという力の入れようだ。ブースには実機も多数用意されており、招待日だったこともあり、じっくりと触れることができた。 また、31日に発売されるデジタル一眼レフ「D1X」の実機も出展されており、自由に触わることができる。もっとも、「D1X」は現時点ですでに予約が殺到しており、バックオーダー状態のようで、今予約しても、入手まで多少の時間がかかりそうだという。
カシオは、先だってマイナーチェンジされたばかりの1/2.7インチ211万画素機「QV-2400UX」と「QV-2900UX」を出展。これらのモデルは、撮影シーン別に最適な設定がなされるベストショットモードの種類が大幅に増えた点が大きな特徴で、細部も細かく改良されているもの。 外観上の違いはほとんどないため、地味なマイナーチェンジではあるが、使い勝手はきちんと向上している感じだ。
また、同社が独自に開発した、自動販売機スタイルのデジタルカメラ用セルフサービス端末も公開した。こちらは、各種メモリカードを本機に挿して、プリントしたい画像を選ぶだけで、簡単にプリントできる店頭設置型のプリンタ。 しかも、オーバーコート式の昇華型のため保存性もよく、プリント時間も24枚でわずか3分とクラストップレベルの高速プリントを実現している。実際にデモを見ると、話をしている間に、どんどんプリントされてゆく感じで、この早さであれば、十分実用的と言えるだろう。 すでに都内で数店舗に設置されており、テスト運用が始まっているようだが、この手のプリンタが広く普及すれば、やや面倒な感じのあるデジタルカメラからのプリントも、同時プリント感覚で気軽にできそうだ。
これまで同社は「RDC-i700」や「RDC-i500」で、NTTドコモのPin-Comp@ctを使ったデモを展開してきたが、その後発売されたC@rd H"にも特別なドライバの組み込みやバージョンアップなしで対応できる点をアピールしていた。
シャープブースでは、インクジェットプリント方式のLモード対応カラーFAXを出展。しかも、このモデルにはPCカードスロットが搭載されており、デジタルカメラで撮影したメモリカードを挿すことで、簡単な操作でインデックスプリントやカレンダーを作成できる点をアピールしていた。 さすがに、フォトクオリティのプリンタに慣れた目には、仕上がりに粗さが目立つが、気軽にカレンダーなどを作って、飾っておくのであれば、本機レベルでも実用になりそうだ。 今後、LモードやカラーFAXが進化し、普及してゆくと、このような、新しいスタイルのデジタルカメラのプリント方法が注目される時代が来る可能性もありそうだ。
台湾のOEM専業メーカー「Ritek」は今回独自ブースでその技術力をアピール。 なかでも、今年2月のCeBITで公開され話題となった、1.1GBのCF Type2カードを国内初公開。現在、OEM先ブランドでの国内展開を予定しており、7月頃には市場に並ぶという。価格的には、IBM microdriveの1GBタイプよりも安価な設定になるようで、35,000円前後になるようだ。 また、12月には1.6GBタイプも導入予定で、こちらは1.1GBタイプよりもやや高めの設定になるという。その後には、2GBタイプも発売予定だが、1.6GBタイプの発売時期から見て、発売は来年になりそうだ。 さらに同社は、16倍速記録が可能な512MBのCFカードも出品していたほか、音楽メディア用をメインに、DataPlayの発売も予定しているという。 同社は現時点では、自社ブランドでの展開は考えておらず、OEM先ブランドでの展開になるという。そのため、実際にどのブランドで同社の製品が市場に並ぶのかわからない点は、少々残念だ。 □ビジネスシヨウ 2001 TOKYOのホームページhttp://bs.noma.or.jp/ □関連記事 【5月22日】今年はほとんど「携帯電話シヨウ」(ケータイWatch) http://k-tai.impress.co.jp/news/2001/05/22/bizsw0.htm (2001年5月23日)
[Reported by 山田久美夫]
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