プロカメラマン山田久美夫の

最新デジタルカメラ 実売価格別ランキング



●29,800~49,800円
機種候補

 このクラスは、価格が手頃なこともあって、初めてデジタルカメラを購入する人を想定してランキングを作成した。

●おすすめランキング
順位 機種名 コメント
1 キヤノン
Powershot A20

(実販49,800円?)
 キヤノン初の普及価格帯モデル「A20」。まだ発売前だが、実販価格はおそらく49,800円以下になるため、このクラスにエントリーした。

 CCDは1/2.7インチ211万画素の原色系タイプで、処理アルゴリズムを含め、画質に定評のある「IXY DIGITAL300」と同じものを採用している。レンズは光学式3倍ズームを採用しており、使い勝手もいい。
 ボディスタイルは、通常の35mmコンパクトカメラ風のもので、デジタルであることをさほど意識せずに使える点が好ましい。また、ホールド感もよく、ブレが少ない点にも好感が持てる。
 また、液晶モニタは1.5インチタイプとやや小さめだが、表示品質がよく、明るく見やすく、色の濁りがないこともあって、気持ちよく撮影できる。
 オートフォーカスの動作も速く、シャッタータイムラグも短めで、シャッターチャンスも掴みやすい。だが、AFロックをせずに、一気に押し切って撮影すると、ピントを逃すことが若干多めな点は気になるところ。
 画質も、このクラスでトップレベル。とくに色再現性がよく、肌色の再現性も好ましい。
 電源は単三型4本で、アルカリ電池でもバッテリーの持ちは十分にいい。もちろん、単三型なので旅行先でも入手が容易なので安心感がある。
 また、オプションで24.5mmレンズ相当のワイド撮影ができるコンバーターも用意されているため、これを併用すれば、狭い屋内での撮影にも十分対応できる。
 本機は、USBパソコン接続キットや画像管理や処理ソフトまで同梱されていながらも、実販は5万円を切ることは確実。
 そのため、予算的に5万円くらいまで用意できるのであれば、本機が一番のオススメモデルといえる。
 どちらかというと、実用性重視のモデルだが、家族みんなで使えるファミリー向けデジタルカメラといえる。

2 オリンパス
CAMEDIA C1

(実販29,800円)
 オリンパスが満を持して登場させた、新世代のデジタル・コンパクトカメラ「C1」。

 実販価格も、接続キットとメモリーカード込みで29,800円とお買い得だ。
カメラとしての完成度もきわめて高く、まさにコンパクトカメラ感覚でのスピーディでストレスのないもの。とにかく、パッとレンズカバーを開き、サッと撮影できる点がいい。また、レンズバリアの開き方や閉まり方にも適度なトルク感があり、とても安心感がある。このあたりは、実販29,800円のモデルとは思えないほどだ。
 レンズは単焦点タイプだが、普通のスナップで使うには十分。また、モード切替なしに50cmまでの近距離撮影ができる点も好ましい。また、光学ファインダーの見え味は、現行機のなかでもピカイチといえる、明るく、クリアで気持ちよく撮影できる。
 バッテリーは、単三型2本。だが、オススメは純正のリチウムバッテリー。やや高価だが、持ちがきわめてよく、液晶モニタでの再生を多用しなければ、楽に200枚以上の撮影ができる。
 サイズは極端に小さいわけではないが、ケースレスで持ち歩ける上、持ちやすいこともあって、実に気軽にスナップできる、デジタル・コンパクトカメラだ。

3
富士フイルム
FinePix2500Z

(実販29,800円)
 実販39,800円と手ごろな価格で、しかも、211万画素光学3倍ズームを搭載した、好バランスモデル。

 CCDは1/2.7インチタイプだが、このクラスの中でも画質は明らかにトップレベルで、解像度もかなり高く、色再現性も見栄えのするもの。
 ボディはやや大きめで、撮影時にレンズカバーを開け、メインスイッチをONにしなければならない点はちょっと不便だが、慣れでカバーできるレベル。電源は単3電池が使え、アルカリ電池でも十分な枚数撮影できるため、旅先で電池切れしても安心だ。
 また、実売39,800円でPC接続キットまで付属しているため、なかなかお買い得感がある。
 昨年末のランキングでは本機をトップとしたが、現在では強力なライバル機が登場したこともあって、3位とした。

4 富士フイルム
FinePix 4500

(実販49,800円)
 「ズームじゃなくてもいいから、コンパクトでスタイリッシュなモデルを!」という人にはこのモデルがオススメ。

 本機はFinePix 40iのMP3なしバージョン。40iほどの楽しさはないが、薄型コンパクトで携帯性も良好。単焦点モデルだが、1280×960ピクセルモードなら、2倍のデジタルズームも可能。メモ用途がメインであれば、十分にズーム感覚で撮影できる。

 CCDは、1/1.7インチと大型のハニカム240万画素タイプ。実効感度もISO200相当と高く、カメラブレも少ない。しかも、実質的な解像度も通常の240万画素CCDより高く、色や階調再現性も良好だ。
 また、起動時間や撮影間隔もきわめて短く、AFも早いため、軽快感のある使用感を実現している。マクロ機能もレンズ前10cmまでと十分なレベルだ。
 電源は単3型2本。撮影枚数はやや少なめだが、電池が入手しやすいため、出先でも安心。
 実売価格は49,800円と、40iより2万円も安いが、パソコン接続キットが別売なので、実質的な価格差は意外に少ない。予算に余裕があるなら40iを奨めるが、MP3再生が必要ない人にはこちらがオススメだ。

5 ソニー
DSC-P50

(実販49,800円)
 昨年来の大ヒット作「P1」のスタイリングイメージを踏襲した、1/2.7インチ211万画素CCD搭載の光学3倍ズーム機。

 「P1」に比べると、一回り大きめだが、それでも携帯性は十分に良好。とはいえ、質感や細部の作り込みという点では、同じPシリーズとはいえ、「P1」のような質感や緻密感がない点は残念なところ。価格相応といえばそれまでだが、このあたりは割り切りが必要だ。
 画質はまずまず。解像力は標準的だが、やや色再現性にクセがあり、妙にベタッとした色調になる点が気になるところ。とくに、グリーンの彩度が高くなりすぎる。また、ホワイトバランスの制御もあまり賢いものではなく、苦手なシーンも意外に多い。この点はホワイトバランスをマニュアル設定すれば解消できるのだが、最新モデルとしてはやや力不足な感がある。
 電源は単三型電池2本なので、どこでも入手可能だが、持ち自体はあまり期待できない。できれば、単三型ニッケル水素電池か、オプションのSバッテリーを別途用意したい。

次点 ニコン
COOLPIX950

(実販49,800円)
 一昨年春に登場したヒット作であり、200万画素機時代の立て役者となった「COOLPIX950」。本機はかなりのロングセラーであり、すでに定番モデルといえる存在。デジタルカメラの世界では数少ない名機といってもいいだろう。

 このモデルも、すでにモデル末期という感じで、実販価格は49,800円まで下がっている。もちろん、CCDはいまや贅沢ともいえる1/2インチタイプの211万画素を搭載しており、画質面でも定評のあるもの。
 また、現在のモデルは、途中で大幅なファームウエアのアップグレードが施されたものであり、発売当初よりも画質や使い勝手、液晶モニタの明るさなども向上しており、なかなか安定した実力を備えている。

 いい意味で“枯れた良さ”のある、円熟のロングセラーモデルだ。

※価格は「ヨドバシカメラ新宿西口店」
4月13日時点


●50,000~79,800円 機種候補

 このクラスはボリュームゾーンであり、さまざまな機種が混在するクラス。そのため、ここではオススメ度ランキングはもちろんだが、基本的には自分の使用用途を考えて、それにあった機種を選ぶことが大切だ。


●おすすめランキング
順位 機種名 コメント
1 オリンパス
CAMEDIA C-700UltraZoom

(実販59,800円)
 明日発売の1/2.7インチ211万画素の光学10倍ズームレンズ搭載機。

 実販59,800円を想定しており、10倍ズーム機のなかでもきわめてお買い得感がある。しかも、カメラ自体がコンパクトなため、10倍ズーム機としては、かなり携帯性がいい点も大きなポイントだ。

 やはり、光学10倍ズームは、使っているだけでも楽しく、これまでのコンパクトカメラでは体験できない世界を味わうことができる。

 もちろん、手ブレ補正機能は搭載されていないが、望遠側では自動的にシャッター速度が早めに設定されるうえ、手ブレがおきそうな条件では、カメラ側が自動的に感度をアップする機能も搭載されている。そのため、感度アップ時には若干ノイズが目立つこともあるが、カメラブレで失敗するよりもずっといい。また、Web用などで縮小リサイズして使用する分には、ノイズも気にならないレベルだ。

 以前、ベータ版での実写をお届けしたが、製品版では画質が向上しており、安心して使えるレベルとなっている。

2 キヤノン
IXY DIGITAL300
(実販64,800円)
 光学3倍ズームと原色系CCDを搭載した、二世代目モデルとなる「IXY DIGITAL300」。サイズは初代「IXY DIGITAL」よりも一回り大きくなっているが、画質や使い勝手のよさ、電池の持ち時間などを考えると、サイズの違いを補ってあまりある魅力を備えている。

 もちろん、質感も上々で、精密感もあり、持つ喜びを感じさせる、数少ないモデルに仕上がっている。
 操作性も初代より向上しており、簡易動画が撮れるようになった点も便利だ。
 さらに、暗めのシーンで自動的にゲインアップが働くようになったこともあるのか、初代に比べてカメラブレによる失敗が大幅に減っている点も大きな魅力といえる。
 画質も1/2.7インチ211万画素CCD搭載機のなかでトップレベルの仕上がりで、フルオートのままでもとてもきれいな写りが得られる。とくに、初代モデルの欠点だった色の濁り感が大幅に軽減されており、クリアで見栄えのする色調になっている点は高く評価できる。
 ただ、オートフォーカス機能が自動選択式の3点測距式のため、ときおり、撮影者の意図とは違った測距点にピントがあっていまうことがあるのは難点。とくに、ピントの合う範囲が狭い、近距離やマクロ撮影、望遠撮影などでは注意が必要だ。
 初代の1.4倍に延びたという電池の持ちは、まずまずといったところ。やはり液晶モニタやストロボなどを多用すると、撮影枚数は意外に少なくなるので、予備の専用バッテリーを1つは用意したい。
 また、初代「IXY DIGITAL」がかなりの廉価で売られていることを考えると、そろそろモデル末期という感もある。そのため、デザインだけで初代を選ぶか、やがて登場する可能性の高い、初代IXYサイズで本機のCCDや演算アルゴリズムを搭載したニューモデルを気長に待つという手もありそうだ。

3 ソニー
DSC-S75

(実販79,800円)
 価格的にはこのクラスの上限になるが、この価格帯で、質感と画質の両方をあるレベルで満足できるモデルとして大いに魅力的な存在だ。

 昨年のSシリーズは”実用機”としての側面が強かったが、その後、実用性とスタイルの両方を重視した「Pシリーズ」が登場したこともあって、今年登場した「S75」は本格派指向の高級機へと移行している。
 こだわり派銀塩カメラユーザーを意識したようなボディの質感と操作性はなかなか良好。全体に操作部が小さめな点は多いに気になるところだが、この点は慣れでもなんとかカバーできる範囲だ。今回はジョグダイアルも搭載されたが、割り当てられている機能が少なく、その魅力を引き出せていないのは残念だが、それ以外の操作はなかなか軽快でわかりやすい。
 レンズは名門カールツアイスブランドの明るく高画質な3倍ズームを搭載。
 CCDは1/1.8インチ334万画素の原色系タイプだが、同CCDが登場して1年以上が経過いたこともあってポテンシャルが向上しているうえ、内部処理を従来の12bitから14bit化したこともあって、画質もなかなか良好。従来の「S70」に比べ、色調も自然で、階調もやや柔らかめな品のある仕上がりになっている。
 あまり“Cyber”な雰囲気はないが、バランスのいい実力派モデルといえる。

 ただ、今年後半までには、同機をベースに、1/1.8インチ400万画素CCDを搭載したモデルが登場するのは容易に想像できるため、高画素指向の人はそれを待つという手もありそうだ。

4 キャノン
PowerShot G1

(実販79,800円)
 昨年秋に発売された、キヤノンの上級モデル。昨年末のランキングでは実販価格が89,800円だったが、いまや10,000円も値下がりし、この価格帯で入手することができる。

 基本スペックは比較的おとなしいものだが、操作感はなかなか軽快。撮影レンズを中央に配したデザインも、ややクラシカルな銀塩カメラっぽく、違和感なく扱える。

 レンズは、F2-2.5の光学3倍ズームで、解像力も高く、ボケ味も素直で好感が持てる。ISO50設定時のノイズの少なさは1/1.8インチ334万画素機のなかでも特筆すべきレベル。もちろん、その分感度が低いため、ブレやすいので、撮影には十分な注意が必要だ。また、液晶モニタは独自の回転式構造で、縦位置撮影時でもハイアングルやローアングル撮影ができる点は大きな魅力といえる。

 ただ、レンズが明るく、ピントの合う範囲が狭いためか、意外にピントを逃すことが多い。また、露出制御の関係か、プログラムAEモードでやや暗めの場所を撮影すると、絞りとシャッター速度の組み合わせの関係もあって、ライバル機よりもブレやすい点にも注意が必要だ。
 画質的にも、ホワイトバランスの制御に若干のクセがあるうえ、全体に色の彩度が高めに設定されていることもあって、派手目な色調の被写体を撮影すると、色が飽和したような違和感のある仕上がりになる点は多いに気になるところ。

 基本性能が高いモデルだけに、上記の点をユーザーがカバーして使えば、同クラスのなかでもトップレベルの実力を発揮するモデルといえる。

5 富士フイルム
FinePix 40i

(実販59,800円)
 単焦点でもいいから、いつでも気軽に持ち歩きた人にオススメなのが、この「40i」。

 MP3機能については、評価が分かれるところだが、実際に使ってみると、なかなか楽しめるもの。このサイズなので、もともと持ち歩きが苦になるようなことはないが、MP3が聞けるため、完全な常時携帯デジタルツールという感じで愛用できる。ただし、付属するイヤーレシーバーの音質は今ひとつなので、音にこだわる人は高音質なものに変更することをお勧めする。

 起動時間や撮影間隔はきわめて短く、ポケットからサッと取り出して、パッと撮影できるという軽快さは大きな魅力。また、絵づくりも見栄えのするもので、実質的な解像度も300万画素機に迫るレベルだ。
 また、大人数の記念写真や風景撮影のときはフル画像で撮影し、通常のメモ用途は1,280×1,024ピクセルモードで、2倍のデジタルズーム機として活用するのがオススメだ。

 実売価格は59,800円と手頃なレベル。もともと、パソコン接続キット付属で、販売店によってはこの価格でID付きの32MBスマートメディアまで付属しているなど、お買い得感もある。
 単焦点タイプとしてはやや高価だが、MP3データ転送も可能なパソコン接続キット込みであることを考えれば、さほど割高感はない。
 もちろん、本格的にMP3を楽しむには、別途、大容量のID機能付きのスマートメディアを購入する必要があるが、思い切って128MBカードを購入すれば、音楽も撮影も、1枚のカードで楽にカバーできる。

参考 ソニー
DSC-P1

(実販69,800円)
 今回も、「DSC-P1」はあえて選外とした。

 334万画素光学3倍ズーム機を、コンパクトなサイズに収めた点は高く評価できるし、大いに魅力的。好条件下で撮影したものは、実用十分な画質であり、液晶モニタは小さいが明るいため、日中屋外での視認性も上々だ。

 だが、実際に使ってみると、レンズが暗く、ストロボの到達距離が短めであり、ストロボOFFでの撮影ではカメラブレが目立つケースが多い。
 画質的にも、他の300万画素ズーム機に比べて、ややコントラストが低めで、立体感に乏しい写りになる点も気になるところ。また、JPEGの圧縮率が変更できず、最大画像解像度で撮影すると、ファイルサイズが大きくなってしまうため、ライバル機と同じ容量のメモリーカードを使っても撮影できる枚数が少なくなる点も気になる。

 これ以外にも気になる点があり、誰にでも安心してお勧めできるモデルとは言い難いと考えて選外としている。

※価格は「ヨドバシカメラ新宿西口店」
4月13日時点


●80,000円以上 機種候補

 基本的にこのクラスは、始めてデジタルカメラを購入する人ではなく、すでに何らかのモデルを使っており、今回グレードアップをしようという人を対象に選考した。

●おすすめランキング
順位 機種名 コメント
1 オリンパス
E-10

(実販175,000円)
 今回のノミネート機種のなかでもっとも高価なモデルだが、実販5~8万円の中堅機種のレベルが格段に向上した現在、あえてこの価格帯のモデルを選び、本格的な撮影を楽しみたいなら、思い切って「E-10」を購入することをオススメしたい。

 2/3インチの400万画素CCDと専用開発の大口径4倍ズームレンズの組み合わせは、想像以上に良好で、334万画素機より明らかにワンランク上の画質を実現している。
 もし、レンズ交換をする必要がなく、純正のワイドやテレコンバーターで撮影したい領域がカバーできるのであれば、わざわざレンズ交換式デジタル一眼レフを購入するよりも、本機の方が使い勝手がよく、かなりお買い得だ。

 もちろん、この価格まで出すなら、いっそレンズ交換式デジタル一眼レフを購入したほうが……と思う人も多いだろう。だが、レンズ交換式となると、交換レンズまで含めると40万円コースになるため、その半額で購入できる「E-10」のコストパフォーマンスの高さは大きな魅力といえる。

2 富士フイルム
FinePix6800Z

(実販89,800円)
 気軽に常時携帯できる、唯一の超高画質モデルといえるのが、この「FinePix6800Z」といえる。

 富士フイルムの看板モデルである縦型スタイルとしてはすでに5世代目となる本機だが、その完成度はかなりのレベル。

 話題のポルシェデザインは、第一印象としてのインパクトは意外に少ないが、長期間使っても飽きがこないデザインといえる。また、とてもホールドしやすく、手にしっくりとくる。

 操作性もよく練られており、大半の操作が右手だけでできる点もいい。また、沈胴式のズーム機ながらも、起動時間が短く、撮影間隔も約1秒程度と軽快だ。

 さらに、付属のクレードルは、一度慣れると後戻りできないほど便利なもの。なにしろ、クレードルにカメラを置くだけで自動的に充電されるうえ、USB転送もボタン一つでOK。とくに日常的にデジタルカメラを使うユーザーにとって、この便利さは筆舌に尽くしがたいものがある。

 画質も上々。カメラ任せのフルオート設定で撮影しても、露出やホワイトバランスが安定しており、色調も実にきれい。もちろん、解像度も高く、1/1.8インチ334万画素機をらくに上回るほどシャープだ。

 さすがに6Mモードで使うと、データサイズも大きく、メモリーカードの容量不足を感じることもある。そのため、普段は実用十分すぎるほどの画質が得られる3Mモードを常用し、ほんとうに高い解像度が必要なときだけ、6Mモードに切り替えて使うことをお勧めしたい。

 難点は、縦型ボディで、レンズがやや暗めなためか、ややブレやすい傾向があるところ。この点さえ気をつければ、携帯性もよく、快適で、充電や転送も容易な、真の高画質常用機として、長い間愛用できるモデルといえる。

3 富士フイルム
FinePix6900Z

 光学6倍ズームを搭載した、ハニカム330万画素CCD搭載の本格派モデル。

 やや無骨な印象のデザインだが、手にしてみるとなかなか軽量でコンパクトで、携帯性も良い。ブラックボディになり、細部の操作感も向上しており、従来機より質感も高まっている。
また、液晶ビューファインダーの採用で、ホールド感も一眼レフに近い感覚で違和感なく撮影できる。さらに、先代より液晶ビューファインダーの表示品質が向上している点もいい。

 独自のスーパーハニカムCCDも第二世代になり、CCDが高密度化されたにもかかわらず、ノイズ感の少ない階調豊かな画質を実現している。
 また、実質的な解像度もハニカム形式のため、330万画素という数値以上の実力といえる。
 カメラとしての機能もかなり充実しており、本格的な撮影にも十分対応できる。

 先代モデルでもっとも気になったシャッターのタイムラグも短縮化されており、AF測距中にもファインダー像が止まらなくなったため、先代よりストレスも少なく、シャッターチャンスも掴みやすくなった。

 やや実用本位な印象が強いが、きちんと使いこなせば、かなりの期待に応えてくれる、ポテンシャルの高いモデルといえる。

4 オリンパス
C-2100 Ultra Zoom

(実販99,800円)
 1/2インチ211万画素CCDと、光学手ブレ補正機能搭載の光学10倍ズームを組み合わせたハイスペックモデル。

 いかにもカメラ然としたスタイリングだが、大口径な10倍ズームとしてはなかなかコンパクト。
 光学手ブレ補正の制御は、同じ機能を搭載した「ソニー デジタルマビカ」に比べると、やや劣る感じ。ファインダーを覗いていると船酔い気味になることもあるのは少々残念だが、撮影時の補正効果は十分で、安心して超望遠撮影ができる(油断は禁物だが)。

 CCDは211万画素ながらも、1/2インチと大型なため、階調が豊かで再現域も広く、現在主流の1/2.7インチタイプより明らかにワンランク上の実力。写真画像としても美しさは、1/1.8インチ334万画素CCD搭載機を上回るほどといっても過言ではない。
 また、液晶ビューファインダーのレスポンスも比較的良好で、このタイプとしてはタイムラグも短く、シャッターチャンスを逃しにくい。

 CFカードが使え、連写性能に特化した150万画素CCD搭載の姉妹機「E-100RS」も魅力的だが、通常の撮影なら、やはり211万画素の本機の方がオススメだ。

5 キヤノン
PowerShot 90IS
(実販128,000円)
今年2月に登場した334万画素CCD搭載の光学手ブレ補正機能付き10倍ズーム機。

有効画素数は260万画素相当だが、現時点の高倍率モデルのなかでもっとも高画素で解像度もなかなか良好。ハード的には「PowerShot G1」とほぼ同じものであり、絵づくりも素直で、階調再現性も十分。
光学式の手ブレ補正機能の効果は絶大。過信は禁物とはいえ、CCD感度を高めずにブレのない画像が得られる点は大きな魅力だ。
 ノイズの少なさや階調の滑らかさでは、手ブレ補正機能付き10倍ズーム搭載の1/2インチ系の211万画素機のほうが勝る部分もあるため、今回は5位としたが、カメラとしてのまとまりの良さの点ではなかなか魅力的なモデルといえる。

次点 三洋電機
IDC-1000Z
(実販128,000円)
 通常のデジタルカメラとはまったくコンセプトの異なる、大容量のiDディスクを搭載した、本格的な動画対応モデル。

 VGAサイズで秒30フレームで、本格的な編集が作業容易なQuickTimeムービーが撮影できるうえ、730MBもの大容量ディスクを採用しているため、容量的にも安心。また、IEEE 1394でパソコンに接続すれば、ドライブとして認識できるため、データが大容量になる動画撮影でも、ハンドリングは容易。ただ、USB転送は専用ソフト経由になるため、若干使いにくい部分もある。
 操作性もなかなかよく考えられており、露出補正やホワイトバランスの設定変更も容易で、使い勝手は上々だ。
 画質は上々。現行のデジタルカメラとしては、きわめて贅沢な1/2インチの原色系150万画素CCDを搭載しているため、静止画時の画質も良好だ。もちろん、解像度的に150万画素なりのものだが、とにかくノイズが少なくグラデーションが滑らかで、とても立体感のある描写をする点は大きな魅力。もちろん、実効感度も高く、ISO400で撮影しても、意外なほど画像が荒れることがない。
 もし、解像度的に150万画素で必要十分な用途であれば、極上の画質といえる。
 また、静止画撮影をしている限り、Fineモードで撮影しても、800枚以上の撮影ができるため、メディアの残り容量を気にすることなく撮影できる点も好ましい。これならパソコンなしでも、データのストレージで困ることはない。
 難点は、ディスクメディアを搭載しているため、3倍ズーム機とは思えないほどボディサイズが大きく、起動時のチェックに時間がかかるため、起動が遅いこと。また、電池の消耗もやや多めなため、予備電池は不可欠だ。
 静止画メインの150万画素3倍ズーム機と考えるとかなり高価だが、本格的な動画撮影や編集が楽しめ、静止画撮影もきれいな、ディスクメディア採用の高画質ビデオカメラと考えれば、なかなかリーズナブル。動画メインで使う人や、パソコンなしにデジタルカメラを楽しみたい人にお勧めだ。

[Reported by 山田久美夫]


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