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会期:3月22~28日
会場:Hannover Messe
欧州最大の総合情報系イベント「CeBIT2001」が22日からドイツのハノーバーで開催されている。
デジタルイメージング関係では、ちょうど日本の「PHOTOEXPO2001」と日程が重なったこともあって、目新しい新製品はないのでは……と思われたが、CeBITでしか見られないモデルも多数あり、大手メーカーが、開花しつつある欧州市場を重視した展開を図っている雰囲気がうかがえるイベントとなった。
もちろん、「PHOTOEXPO」はコンシューマー向けのイベントであり、この「CeBIT」は欧州での商談を中心としたトレードショーであるため、新製品の発表については、こちらを優先させたわけだ。
また、各社とも、米国市場が低迷しつつあることもあって、次のターゲットを開花が遅い欧州に求めている感じだ。
今回は例年になく寒く、雪が降り積もるなかでの開催となったため、昨年に比べると来場者は若干少な目だが、それでも十分な熱気のあるイベントとなった。
●富士フイルム、国内未発表の「FinePix6900Z」を公開
富士フイルムは今回のCeBITで、330万画素のスーパーCCDハニカムを搭載した、光学6倍ズーム機「FinePix6900Z」を発表した。
このモデルは、現時点で日本国内未発表のもので、PHOTOEXPOにも出展されなかったモデルだ。
外観とネーミングからもわかるように、このモデルは昨年発売されたハニカム240万画素CCD搭載6倍ズーム着「FinePix4900Z」に、今春登場した「FinePix6800Z」に搭載された第二世代の330万画素ハニカムCCDを搭載したモデルといえる。
デザインはほとんど同一。だが、ボディがブラック仕上げになったことで、結構精悍な雰囲気になっている。
カメラとしての基本機能は先代の「FinePix4900Z」のものを踏襲。違いは、CCDが高画素化されたことで、出力画素数が最大の6Mモードで2,832×2,128ピクセルになった点。このほかにも2,048×1536ピクセル、1280×960ピクセル、640×480ピクセルの3モードを選択することができる。また、ISO感度も変更され、100/200/400の切り替え式になった。
このあたりのCCDに関係する部分は、「FinePix6800Z」に準じていると思えばいいだろう。
ブースには複数の稼働モデルがあり、自由に触れることができる。操作感は先代モデルとほとんど変わらない感じで、なかなか軽快な撮影を楽しめそうだ。
現地での価格は、2,350DM(ドイツマルク)。現在、1DMが約56円前後のため、日本円換算ではほぼ13万円前後となる。これは現地での旧モデルである「FinePix4900Z」と同じプライシングになっているという。おそらく、日本国内でも先代モデルと同等の価格帯で登場することだろう。
日本国内での展開は不明だが、近い時期に公式発表されるのはほぼ確実といえそうだ。
●ソニー、国内未発表の新型CD-Rマビカ「MCV-CD300」「MVC-CD200」公開
ソニーは今回、すでに米国で発表している、新型CD-Rマビカ2種をCeBITに出品した。
これらのモデルはもちろん、日本国内未発表のもの。もともと、マビカ系は海外で人気のあるシリーズだけに、このような展開になっているようだ。
すでに、CD-Rマビカでは、「MVC-FD95」ベースの211万画素光学10倍ズーム搭載の「MVC-CD1000」が発売されているが、今回のモデルは、「Cyber-Shot S75」系のモデルをベースにした、新型モデルといえる。
新ラインナップは、まず、「S75」と同じ、カールツアイス光学3倍ズーム搭載の1/1.8インチ334万画素モデル「CD-300」、「S50」ベースと思われる、光学3倍ズーム搭載の211万画素モデル「CD-200」の2機種だ。
もちろん、記録媒体は8cmのCD-Rディスクを搭載している。
今回の2機種は、Cyber-Shot Sシリーズの機構と操作性を踏襲しながらも、液晶モニターを2.5インチタイプに大型化し、液晶もマビカシリーズで採用している外光をバックライトに利用するタイプを搭載したものとなっている。写真で見ると、さほど大きく感じないかもしれないが、手にするとさすがに大柄で、アメリカンな雰囲気がある。
価格は「CD300」が2,899DM、「CD200」が2,299DMとなっており、やはり普通のモデルよりも割高感があるわけだが、PCとの親和性やメディアの安さを考えると、なかなか実用的。従来の「CD1000」よりも幅広いユーザーをターゲットにしたモデルであり、CD-Rマビカをシリーズ化するという同社の意思表示ともいえる。
●アグフア、低価格な130万画素エントリーモデル「ePhoto CL34」を発表
欧州大手メーカーのアグフアは、PMAで公開した液晶モニター搭載の低価格130万画素機「ePhoto CL34」を出品。
「CL20」に比べると、やや無骨で実用本位な感じもあるが、価格は600DM(3万円強)。関税関係でデジタルカメラが割高になってしまうドイツでの価格として考えると、なかなかリーズナブルなプライシングといえる。
機能的には、130万画素のマニュアルフォーカス式単焦点モデルというシンプルなもの。もちろん、マクロも可能だ。記録媒体は2MBの内蔵メモリーとCFカード(別売)が利用できる。
シンプルなモデルだが、インターフェースは、なかなかよく考えられており、使い勝手もよい。付属ソフトも豊富で、画像整理や加工、E-MAIL添付なども容易にできるなど、トータルでの使い勝手のよさを目指しているモデルといえる。
ただ、ボディの作りはいまひとつなのが残念。このあたりは、低価格モデルでも安っぽさをさほど感じない、日本のカメラメーカーの製品にやや及ばない部分といえる。
●コダック、「ニコン F5」ベースの600万画素機やPalm用ユニットを発表
このモデルは、従来の「DCS660」の後継機となる、本格的な高画素モデルといえる。本機は、従来のDCSシリーズ同様、画質を最重視するため、あえてJPEG記録をせず、RAWデータ(CCDからの生データ)記録方式を採用している。この方式の場合、最終画像を生成するためには、専用ソフトによるPC上での処理操作が必要になるが、JPEG記録に比べて、後処理での自由度が高く、画質面での優位性が高い。
その半面、可逆圧縮方式とはいえ、保存する画像データの容量がJPEG方式にくらべ、遙かに大きくなるという欠点もある。そのため、従来は連写に弱いのが難点だった。
そこで本機では、大容量バッファを搭載し、600万画素のRAWデータ保存にも関わらず、秒間1.5コマで、最大24枚もの連写を実現している。
もちろん、ボディ側は、ニコン最高級機「F5」のため、ファインダの視野率が100%と高く、ファインダ交換も可能になっている。
また、CCDサイズが「D1」系のAPSサイズよりも一回り大きいため、35mmカメラ換算率が1.3倍(D1系は1.5倍)となっている。そのため、ワイド系が弱いデジタル一眼レフながらも、14mmレンズを装着すれば、18mm相当の超広角撮影ができる点も大きな魅力といえる。
さらに、価格面でも大幅な値下げが行なわれており、ドイツでの価格は23,000DM(約128万円)とドラスティックなレベル。もちろん、手頃というレベルではないが、従来機のわずか1/3というプライシングは画期的。
ドイツでは、内税方式で16%課税されることもあって、上級機となる1,600万画素の「DCS Pro Back」が4,800DM(約269万円)と、日本国内の約200万円というプライスに比べるとかなり高め。これは関税や販売店の利益率など、その国の事情を考慮したものであり、もし、この比率で、日本国内での「DCS760」の価格を計算すると、日本円換算で約95万円になるわけだ。
価格はもちろん、発表時期的にも、まさに「D1X」の対抗馬を打ち出した、業務用モデルの老舗コダック。それだけに、今後の展開がますます楽しみだ。
また、同社は、米国で発表されたばかりの、新型Palm用のデジタルカメラユニットも公開。こちらは、新型Palmに対応し、薄型の筐体に装着できるタイプで、携帯時には本体を折り畳んで持ち歩くこともできる。価格は399DMで、6月発売という。
□CeBIT 2001(英文)
http://www.cebit.de/homepage_e
(2001年3月26日)
■注意■
[Reported by 山田久美夫]