NEW PRODUCTS TESTREPORT

	富士通
	FMV-DESKPOWER AV6/705
	FDトリニトロンCRT一体型のコンパクトマシン
	TEXT：水島伸行　Nobuyuki Mizushima

CRT一体型のため、奥行きは440mmほどあるが、それでもマイクロタワー筐体と同程度だ

　近年のコンシューマ向けPCにおいて、省スペース性、AV機能、そしてコストパフォーマンスはユーザーがもっとも重視する点と言えるだろう。しかしながら、相反する部分もあるこれら三つの要素をすべて同時に実現することは難しく、メーカー各社が苦心していることも確かだ。この問題に対する富士通の回答とも言えるマシンが、2月に発売される「FMV-DESKPOWER AV6/705」である。本製品はPC本体に15型FDトリニトロンディスプレイを一体化することで、高い表示品質と多彩な機能を備えつつ、実売140,000円前後という手頃な価格を実現したコンパクトマシンだ。

　省スペース機と言えば、液晶ディスプレイの採用が一般的となってきているが、こちらはまだまだ高価で、コントラストや反応速度もCRTに劣っているのが現状だ。

本体前面には、CD-R/RWドライブ、PCカードスロット、IEEE1394端子などを備える

　これに対してCRTの中でも画像のシャープさと高コントラストで高い人気を得ているFDトリニトロン管は、液晶が不得手とする動画再生や、動きの激しいゲームの表示には最適なものと言える。CRTゆえに、本体の奥行きは約440mmと液晶ディスプレイ一体型機におよばないが、幅約420mm、高さ約395mmと、全体的に見るとかなりコンパクトにまとめられており、一般的なサイズの机の上に置いても十分にスペースが確保できるほどだ。最大解像度は1,024×768ドットと実用上十分で、試用機では小さな文字などもむりなく認識でき、画像の歪みもほとんど感じられなかった。また、ディスプレイの両サイドには、フォスター製のスピーカーが装備されており、本機だけで音楽を楽しむことが可能だ。

本体左側面には、三つのUSBとモデムポート、サウンドまわりの各種コネクタが用意されている

　本体前面には、書き込み／書き換え4倍速に対応した薄型のCD-R/RWドライブが用意されている。DVD-ROMの読み出しも可能なコンボドライブを搭載してほしかったところだが、これはコストを優先して見送られたようだ。なお、FDDは内蔵されていないが、データの保存にはCD-R/RWなどを利用できるため、問題はないだろう。

　多彩なインターフェースを備えている点も本機の特徴の一つだ。本体前面には、TypeIIのPCカードスロットが二つと、USBポートが一つ存在するため、デジタルカメラやMP3プレイヤーとのデータのやり取りも容易に行なうことができる。さらに、二つのIEEE1394端子を持ち、外付けDVD-ROM/RAMドライブといったストレージデバイスや、DVカメラとの接続にも対応している。

本体両サイドのネットを外すとスピーカーユニットが姿を現わす。ネットのサイズに比べて、ユニットの口径は意外と小さいが、定位はしっかりと再現される

　また、DV編集ソフトとしてPanasonic MotionDV STUDIOがバンドルされるほか、HDDの容量も30GBと比較的大容量のものが搭載されているため、安価なDV編集環境としても活用できる。これに加えて、本体左側面にはMDレコーダなどと接続できるS/P DIF OUTと、三つのUSBポート、モデム端子などが用意されており、多くの機器との連係が可能だ。PS/2やシリアル、パラレル、GAME/MIDIポートは用意されていないが、これはコンパクトな筐体に最新のインターフェースを盛り込み、コストを下げるための正しい選択と言えるだろう。

　基本スペックはCPUにCeleron 700MHz、チップセットにi810Eを採用した定番システムのため、安定性に問題はなく、Windows Meの動作も快適なものであった。ただ、メインメモリの容量が64MBであり、その一部をビデオメモリとして使用するため、複数のアプリケーションを同時に使用する際などにスワップが発生することが多かった。しかし、この点を考慮しても低価格なディスプレイ一体型機としての本機のバランスは優れており、気軽に楽しめるPCが欲しいという方や、これからPCを始めてみたいという初心者に適したマシンと言えよう。