プロカメラマン山田久美夫の

「2001年のデジタルカメラを占う」(後編)


 毎年、長足の進化を遂げているデジタルカメラの世界だが、今年はどのような展開を見せるのかを占ってみたい。

 後編では、大手5社の2001年の展開を予測してみよう。はじめに断っておくが、あくまでも予測であって、大きく外れるかもしれないので、その点は予めご了解願いたい。


●オリンパス

年末に登場したC-3040ZOOM
 いくつかの調査によれば、オリンパスは昨年後半に日本国内でのシェアを落としており、起死回生をかけて、中堅クラスの新機種を投入する可能性が高い。とくに、売れ筋である「C-900系」と「C-800系」の基本ボディは'98年に登場したものだ。今年は全く新しいプラットフォームを使ったモデルが登場することは、ほぼ間違いない。スタイリッシュな銀塩コンパクトカメラμのコンセプトに似た、“デジタルμ”イメージのモデルへと進化するだろう。

 また上級機も、年末にレンズを一新した「C-3040Z」、「C-2040Z」が投入されたが、こちらも基本ボディは'99年春の「C-2000Z」から変わっていない。こちらも大幅なモデルチェンジを受ける可能性が高い。もっとも、レンズは新設計したばかりなので、同じボディに1/1.8インチ400万画素CCDを搭載した「C-4040Z」(?)あたりでもう一世代引っ張る可能性もあるが、今年後半までには、このレンズユニットを使った新デザインのモデルが登場することだろう。


●富士フイルム

ティザー広告中の新機種
 富士フイルムは、昨年春、鳴り物入りで登場した「スーパーCCDハニカム」をさらに進化させた、中上位機種を投入する可能性が高い。実質解像度が高いハニカム構造といっても、上級機では引き続き240万画素タイプを主流にするわけにはいかず、もう一段階高画素のタイプを投入する可能性が高い。もっともCCDサイズを大きくすると、ボディも大型化するため、画素の高密度化を計るものと思われる。

 毎春恒例となった、縦型タイプを2月のPMA前に発表することは容易に想像され、http://www.finepix.com/でティザー広告も開始されている。このシリーズのモデル名は「FinePix700」、「2700」、「4700」ときているため、今年は「FinePix6700」あたりが予想される。

 一方、同社は低価格帯のモデルがやや弱いため、このクラスにも力を入れてくる可能性が十分にある。とくに、急速に拡大しているアメリカ市場でのシェアが低いため、この分野をターゲットにした製品が投入されるのは必至だ。


●ソニー

昨年の人気機種P1
 ソニーは、昨年大躍進を遂げた。シェアも高いうえ、昨年だけでも10機種を越える新製品を投入するなど、きわめて意欲的な展開をみせている。

 現在、同社のラインナップは「Sシリーズ」、「Fシリーズ」、「Pシリーズ」、「デジタルマビカ」の4つがあり、それぞれが独自の展開を図っており、方向性も異なっている。

 まず、期待したいのが、同社開発の2/3インチ500万画素CCD搭載機。これは、CCDサイズが大きいため、光学系も大きくなりハイエンド機向きだ。ラインナップ中では、「DSC-F505V」の後継機か、「DSC-S70」の次世代機に採用される可能性が高い。

 また、中堅機となるSシリーズも、デザイン的にやや不評だった2000年モデルよりもスタイリッシュで、より実用的なモデルを投入する可能性が高そう。身内のライバルである「P1」を凌駕するレベルの完成度を実現するかもしれない。


●ニコン

昨年登場のCOOLPIX880
 ニコンの動向としては、一部報道により、廉価版のレンズ交換式デジタル一眼レフの導入と、売れ口となる4~7万円クラスの新機種を導入が明らかにされている。

 前者は「D1」の廉価版になる可能性が高い。価格的には「D30」や「S1Pro」に対抗できるレベルになる可能性もなくはないが、基本性能重視の路線を狙い、やや高めの設定になりそうな気がする。

 また、毎春恒例となっている「COOLPIX900」系列の新製品だが、歴代、パーソナル向けCCDの最高峰を搭載してくるシリーズだけに、今春は2/3インチ500万画素CCDを搭載したモデルになる可能性が高い。ネーミングは「COOLPIX999」あたりか?

 さらに、普及価格帯のモデルは、昨年の「COOLPIX880」路線を延長したものになるか、同社がAPSモデルでチャレンジしているような、女性ユーザーを意識したスタイリッシュ路線でくるのか、大いに楽しみだ。ただ、近年の同社の動きを見ていると、従来の堅いイメージからの脱却を狙っているため スタイリッシュ路線でくる可能性が高そうだ。


●キヤノン

25日に正式発表されたPowerShot Pro90 IS
 キヤノンは昨年、「IXY DIGITAL」、「EOS D30」、「PowerShot G1」とラインナップを拡充し、大躍進を遂げた。さらに今年は、前年比300%もの増産を計画中ということなので、さらなる大攻勢を仕掛けてくるに違いない。

 まず、年始早々、光学手ブレ補正機能を搭載した10倍ズーム搭載モデル「PowerShot Pro90 IS」を発表したが、これはどちらかというと、昨年の延長上にあるモデルで、新世代機ではない。

 むしろ、期待されるのが「IXY DIGITAL」だ。APS版IXY同様、デザインイメージを踏襲し、ラインナップ化される可能性が高い。

 また、同社のラインナップに欠けている、実販5万円以下の低価格モデルを投入してくる可能性が高い。とくに昨年から爆発的に市場が広がっている北米市場では、この価格帯のモデルが必須。自社製のCMOS搭載機の可能性もゼロではないだろう。

 また、待望の高級デジタル一眼レフが、そろそろ登場してきてもいい時期だ。ただ、このクラスのモデルは期待度が高く、極めて完成度の高いモデルを投入せざるを得ない宿命にあるため、中継ぎ的なモデルを発表できない。そのため、次期高級機は、満を持して公開される可能性が高い。まあ、早ければ今春のPMAだが、今年後半か、来春にずれ込む可能性がないとはいえない。

 一方、新機軸としては、昨年の同社技術 製品展「CanonExpo2000」で公開された、超小型バブルジェットプリンター内蔵デジタルカメラ「Micro Bubble Jet Camera」も、今年商品化される可能性が高い。さらに、前記のBluetooth搭載機が具体化するかもしれないが、こちらは外付け式のアダプターというスタイルになる可能性もありそうだ。


●独自展開を図るメーカーも

●旭光学

 旭光学は昨年、「EI-200」「EI-2000」といった新製品を投入。いずれも、きわめてカメラっぽい雰囲気のモデルであり、基本制御にDigita OSを搭載し、IE-2000ではCCDにFT(フレームトランスファー)タイプを搭載するなど、独自の展開を図っている。

 今年は、前記のように、昨年のフォトキナで公開されたフィリップス社の35mmサイズ600万画素CCDを搭載した本格派レンズ交換式デジタル一眼レフを正式発表するものと思われる。ただ、価格的には100万円を超えることはないが、それでもD1よりも高価なものになることは確実だろう。

 その一方、「EI-2000」をベースに、FT方式の2/3インチ320万画素CCDを搭載したモデルが登場する可能性も高い。また、「EI-200」もマイナーチェンジ版が登場するかもしれない。

●カシオ

 カシオは昨年、「QV-3000EX」にはじまり、「XV-3」「QV-2300UX」「QV-2800UX」と新ラインナップを構築。意欲的な展開を見せた。

 今年も意欲的な展開を見せる可能性は十分にあり、ドラスティックな価格設定で高いコストパフォーマンスを見せそう。ただ、初期のQV-10系に比べ、遊び心がなくなっている感じもあり、今年あたりはこの方向への期待も高まるところ。

 また、近年、インターネットをはじめとしたネットワーク関連機器に力を入れており、昨年春にドイツで開催されたCeBITでは、Bluetoothを内蔵したQVシリーズの試作機のデモも行っている。その時点では、「Bluetooth内蔵機は来年に」という話だったため、今年2001年には現実のものとなって登場してくる可能性も十分にある。

●京セラ

 京セラは、既報の通り、今年春に35mmフィルムサイズの600万画素CCDを搭載した「CONTAX N DIGITAL」を正式発表する予定。「価格は80万円までで、5月までには発売したい」とすでにアナウンスしている。

 また、昨年発売された超小型334万画素ズーム機「Finecam3300」も、市場では比較的好評だったこともあって、その延長上のモデルをさらに投入する可能性が高い。

 もちろん、以前からずっと噂になっている、コンパクトカメラタイプの「CONTAXデジタル」も、今年あたり登場するかもしれない。もっとも、同社におけるCONTAXは、一種のステイタスであり、ブランドであるため、失敗が許されないという宿命があるため、十分に完成度を高め、満を持して登場させる可能性が高く、今年後半以降の展開と見るのが妥当だろう。

●コダック

 コダックは昨年あたりから、日本国内向けと北米を中心とした海外向けモデルを明確に分けて展開し始めた。昨年、「DC4800」「DC3800」などを発売し、新機軸をアピール。「DC4800ZOOM」は写真愛好者に好まれるややマニアックな存在であり、「DC3800」はシンプルでコンパクトで手頃な価格帯のモデルであり、いずれも特徴が明確なモデルだった。

 また、海外では200ドル前後のモデルながらも、メガピクセルCCDを搭載し、液晶モニターやメモリーカードを採用した「DC3200」を発表。こちらは、HPやポラロイドなどライバル機の出現でやや苦戦している状況だ。

 ただ、どちらも大成功したという状況ではないため、今年の展開を予測するのはきわめて難しい。とはいえ、先進国で軒並みデジタルカメラの人気が高まっているうえ、フィルムメーカーでは世界のトップブランドだけに、今年もやや出遅れながらも、昨年のような二極化したラインナップを組んでくる可能性が高い。

 実際、同社はその布石として、昨年、自社開発で、3/4インチという大型の520万画素CCDや、低価格志向の130万画素CMOSセンサーを発表。これらの自社センサーを搭載したモデルを両分野で展開してくることで、さらにオリジナリティーに富んだモデルが登場してくる可能性は十分にありそうだ。

●コニカ

 コニカは昨年のフォトキナで4機種の新製品を公開しており、今年はそれが製品化される。ただ、上級機となる200万画素は日本国内で販売される可能性もあるが、低価格帯のVGAモデルは海外市場専用機になる可能性も十分にありそう。

 同社は店頭やラボでのデジタルプリントに熱心なメーカーであり、現在、HPと協力関係にあるため、プリント用途をターゲットにした新製品をさらに投入する可能性も十分にある。もしかすると、Blurtoothなどを搭載し、プリンターとの親和性を高めたモデルが登場する可能性もありそうだ。

●三洋電機

 三洋電機は昨年秋に、iD Photoディスクを搭載した「iD-Shot」を正式発表。発売が一度延期され、この2月1日に正式発売される。また、動画デジカメ「DSC-SX560」も発売。このシリーズもマイナーチェンジを繰り返しながら、かなり完成度の高いモデルへと進化している。

 同社は今年、iD-shot発表時にモックアップとして公開された、光学10倍ズーム(?)搭載の上級機を発売する可能性もあるが、これもiD-shotの人気次第という感じがありそう。

 また、「DSC-560」系も、そろそろ高画素版を期待したいところだが、こちらも高画質な動画撮影をするために超高速でCCDからデータを読み出す必要があるため、それに耐える高画素CCDが登場しない限り、新展開は難しい。

 だが、もともと実力のあるメーカーであり、OEM生産で実績があるだけに、予測がきわめて難しいが、思いも寄らないような新展開をしてくる可能性も十分にありそうだ。

●シャープ

 シャープは昨年、MPEG4ベースの130万画素「インターネットビューカム」を発売。その後は、MPEG4を中心に35万画素CCDを搭載したNTT DoCoMoの「eggy」を発売。さらに、J-Phoneからもデジタルカメラ機能搭載の「J-SH04」を発売するなど、かなり意欲的な展開を図っている。

 今年はW-CDMAがらみでの新製品を、自社ブランド、OEM先ブランド問わず、続々投入してくることは容易に予想できる。そのため、インターネットビューカム系は一時休止する可能性もありそうだが、逆にMPEG4録再機能をメインにした、さらにスタイリッシュなモデルで大攻勢をかける可能性もある。

 また、新型ザウルスでは、デジタルカメラ機能がやや中途半端な存在になってしまったこともあって、メガピクセル級の新型ユニットを投入してくるかもしれない。

●セイコーエプソン

 セイコーエプソンは昨年、「CP-900Z」や「CP-800S」などが、夏前に店頭から姿を消し、事実上の撤退したようにみえる。だが、「CP-900Z」や海外専用モデルは、海外市場での評価が高く、その後も継続して発売されているので、日本国内では半年間、他社の出方をうかがっていたと見た方がよさそう。

 もっとも、同社のデジタルカメラは歴代、プリンターへの入力をメインに考えたものであり、高画素モデルの投入を考えていることは容易に予想できる。そのため、高画素CCDが本格的に出回り始める頃には、400万画素もしくは500万画素の新モデルを展開してくる可能性が十分にある。

 一方、米国ではHPが、メガピクセル級の手頃な価格帯のデジタルカメラとプリンターの組み合わせで展開していることもあって、これに対抗できるようなコストパフォーマンスなモデルを導入してくる可能性も十分にありそうだ。

●東芝

 東芝は昨年、「M70」や「M60」「M40S」などを発表。いずれも大ヒットこそしなかったが、なかなか良くできたモデルだった。

 今年は、年始のCESでM60をベースに、334万画素3倍ズーム化し、価格を抑えた「M65」を正式発表。さらに、DataPlay社と共同で、DataPlayディスクを搭載したニューモデルを秋に発売することをCESで予告している。

 また、SDカード陣営の一員であることから、SDカードを搭載したスタイリッシュなモデルを投入してくる可能性も十分にありそうだ。

●日本ビクター

 日本ビクターは、334万画素2.3倍ズーム搭載の「GC-X1」、ハイビジョン対応の「GC-X3」を昨年発売。いずれも、かなり凝ったモデルであり、その技術力の高さには目を見張るものがある。また、DVカメラでは「DV-2000」のように高画質でスタイリッシュなモデルも投入しており、192万画素相当の静止画撮影を実現するなど、なかなかユニークな展開をしている。

 とくに、デザイン面では、先の「DV-2000」や新型「InterLink」(Windows CE機)といった、完成度の高いモデルを投入しており、このセンスがデジタルカメラに反映される可能性も十分にある。

 また、先だっての報道では、デジタルカメラを松下電器と共同開発する方向で展開するという発表もあり、今年はさらなる新展開を図ってくる可能性が高い。とくに、SDカードを中心にAV系メーカーらしい新機能を搭載してくる可能性も高く、要注目だ。

●松下電器

 松下は、本家である松下電器産業が、デジタルスチルカメラから事実上撤退し、松下寿電子工業に同分野を移行し、SuperDriveを搭載したモデルを2機種も発表。秋にはSDカードを搭載した334万画素機「iPalm」を投入するなど、なかなか意欲的な展開を見せた。

 今年は、SDカードに力を入れる同社グループとして本格展開。先頃の報道によれば、同社は日本ビクターとデジタルカメラを共同開発。松下電器産業本体が、再び、デジタルカメラ市場に再参入してくるようだ。

 もちろん、本格的に再参入するのであれば、永遠のライバルであるソニーの大成功ぶりに一矢報いる意気込みで展開するに違いない。そのため、昨年のイベントでモックアップとして展開しているSDカード搭載デジタルカメラを、それに近い形で商品化する可能性も十分にありそうだ。

 さらに、ソニーのツアイスレンズに対抗し、DVカメラで搭載されて話題になっているライカ製レンズを搭載した、本格的なデジタルカメラが登場する可能性は十二分にある。もともと、松下グループには、ライカのコンパクトカメラなどを生産している系列会社があり、銀塩カメラに関するノウハウの蓄積があるだけに、うまく展開すれば、かなり魅力的な製品が続々登場してきそうな気配もある。

●ミノルタ

 ミノルタの昨年は、それ以前に比べ、ややペースダウンした感じだった。それでも「Dimage2300」「Dimage2330」など、低価格帯のモデルを投入。日本国内よりも海外市場をメインにした展開を図った。

 今年の展開だが、実は昨年夏に同社幹部が「ミノルタらしいモデルを来春発売する」と発言しており、今春の展開が大いに楽しみ。この分野では、大手カメラメーカーとしては、やや出遅れた感もあり、その巻き返しを図ってくるに違いない。

 本格的なレンズ交換式デジタル一眼レフの登場を期待したいところだが、まずは、パーソナル向けの中堅クラスあたりから展開してくるような気がする。

●リコー

 リコーは昨年、「RDC-7」で往年の横型モデルを復活。さらに「RDC-i700」ではデジタルカメラと通信機能を融合した新世代PDA的なモデルにもチャレンジするなど、個性的で、きわめて意欲的な展開を図っている。

 一方、比較的目立たないモデルながらも、防塵防滴性の高い「RDC-200G」もこの分野では人気の高いモデルだ。

 今年も、その延長上での展開を図って行くと見られるが、同社は基本的にパーソナル用途よりもビジネス用途での展開が中心になっているため、より情報機器寄りのモデルへと展開して行く可能性が高い。

 だが、その一方では、多くのユーザーから期待されている、薄型コンパクトカメラ「GR-1」シリーズのようなカメラスタイルのモデルを登場させる可能性も十分にありそう。

 ただ、同社は毎年、5月頃のビジネスショーをターゲットに新製品を発表するため、新展開は早くてもその時期になる可能性が高い。

●NTT DoCoMo

 今年、日本最大のデジタルカメラメーカーになる可能性があるのが「NTT DoCoMo」。

 昨年の展開を見ても、デジタルカメラ機能を搭載した端末を多数発表しており、その展開には目を見張るものがある。さらに、戦略的な展開をするため、価格も手頃でコストパフォーマンスは抜群だ。

 今年は、次世代移動通信システム「IMT-2000」のブランド名である“FOMA”ブランドで、デジタルカメラ機能を搭載した携帯電話や携帯端末が、驚くほど多数発売されるに違いない。

 おそらく年末までには、デジタルカメラ機能搭載の携帯電話がかなり普及するため、従来からのデジタルカメラメーカーのラインナップも、NTT DoCoMoも展開次第で、大きく変更せざるを得なくなる可能性も十分にある。

 さらに、Bluetooth内蔵の携帯電話も多数登場し、Blurtooth対応のデジタルカメラから携帯電話経由で画像を気軽に通信できる時代になりそう。

 そのため、今年は、映像と通信を融合させることで、デジタルカメラで撮影したデータを、携帯通信で転送して楽しむという、新しい文化を生まれる可能性も十分にありそうだ。


●デジタル一眼レフは100万円以下の600万画素機が登場

 一方、デジタル一眼レフの分野では、京セラが35mmフィルムサイズの600万画素CCD搭載の「CONTAX N Digital」を5月までに投入することを公言している。また、旭光学も昨年のフォトキナで参考出品した、フィリップス製の35mmサイズ600万画素CCD搭載機を発売する可能性もある。

 また、先のニコンの廉価版デジタル一眼レフの話がある一方、以前から噂のあるキヤノンのデジタルEOSの高級機が今年あたりには登場する可能性が十分にあり、こちらも目が離せない状況になりそうだ。

 この分野で期待されるのは、さらなる高画素化だ。とはいえ、現状では600万画素という当面の目標があり、この画素数のモデルを、どのメーカーが、どのような価格帯で展開してくるかが、今年の見所といっても過言ではない。

 数年前から600万画そのデジタル一眼レフは存在していたわけだが、価格的には400万円近いプライスだったこともあって、とうてい、手の届くレベルではなかった。

 だが、これだけレンズ交換式デジタル一眼レフに対する関心が高まり、価格が下がってきた現在、600万画素モデルでも100万円を超えるモデルは、もうありえない。とはいえ、CCDの歩留まりを考えると、CCDデバイス単体のコストだけでも、パーソナル・ハイエンドモデルが楽々購入できるレベルの、法外な価格になっても不思議ではない状況だ。

 だとすると、やはり600万画素デジタル一眼レフの価格は最低でも50万円を切ることはないだろう。この価格帯になると、ボディの基本性能は当然、ハイエンド機クラスでなければ商品価値としてのバランスがとれない。そのように考えてゆくと、ますます期待が高まるばかりだ。

 そこまでの画素数は必要ない人もいるだろうが、風景撮影など絵柄が細かなシーンを狙うのであれば、やはりこのレベルが不可欠。しかも、写真好きであれば、一度、このクォリティーを見てしまったら、後戻りできない世界があり、デジタル一眼レフのスタンダードとなるべきクォリティーであることが容易に理解できるだろう。


●まだまだ楽しめるデジタルカメラの世界

 昨年末、「今欲しいもの」の上位に位置していたデジタルカメラ。これは日本ばかりでなく、米国でも同様だ。しかも、これまで紹介したように、デジタルカメラにはまだまだ新たな展開を予感させるに十分な要素があり、技術的にも発展途上であり、周辺環境が整ったともいえない。

 さらに、人間が使う道具としての完成度という面では、ようやくデザインや操作性などに注意が払われ始めたところ。さらに、価格面も含めて、まだまだ、“デジタル”であることに甘えている部分もある。

 その一方では、携帯電話をはじめとした携帯情報機器に“デジタルの眼”が付くことで、デジタルカメラは一気に、日常的な携帯ツールになる可能性も十分にある。

 また、デジタルカメラを本格的に活用するためには、これまではPCが不可欠だったが、その状況も徐々に変わりつつある。とくに、コンビニを中心に広がり始めたプリント環境の充実は、デジタルカメラをさらに身近な存在にすることだろう。

 今年もますます、デジタルカメラから目が離せなくなりそうだ。

(2001年1月26日)

[Reported by 山田久美夫]


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