NEW PRODUCTS TESTREPORT

	日立製作所
	Prius Deck 750S 750S5PV
	DVD-RAMドライブと100GBのHDDを備えたハイエンドAVPC
	TEXT：水島伸行　Nobuyuki Mizushima

テレビ機能を実現するPrius Navistation。インターフェースは簡潔で操作しやすい（画面ははめ込み合成）

　PCのAV機器的な活用に力を入れている日立製作所から、新モデルの「Prius Deck 750S 750S5PV（以下S5PV）」が発売された。このモデルは従来機から各種機能を大幅に強化したPrius Deckシリーズのフラグシップモデルとなる。

　Prius Deckシリーズの最大の魅力であるテレビ表示・録画、DVD-Videoの再生などは、これまでMGIのPure DIVAと呼ばれるソフトで実現されていたが、S5PVではPrius Navistationと呼ばれる新しいソフトが採用された。しかし、各機能実行待ち時間には画面上にPure DIVAの文字が表示されることから、エンジン自体は同じ系列のものを採用しているようだ。録画ファイルはMPEG2フォーマットを利用した独自形式であり、Prius Navistation以外での再生はできない。解像度は320×480ドットの“標準”、640×480ドットの“高画質”の2種類のモードが選択できるが、その画質はテレビ番組をエアチェックする程度であれば前者でも十分と感じられるものだ。

本機の前面、および背面。試作機のため撮影できなかったが、フロントパネル内にも各種コネクタが内蔵されている

　このほか、放送中の番組に対して、一時停止や巻き戻し、追いかけ再生などが可能なタイムシフト機能や、電子番組表ADAMS-EPGを利用した予約録画なども従来どおり使用可能だ。

　Prius Navistationによるテレビ関連の機能は、下位機種のPrius Deck 700Sシリーズなどとほぼ同等だが、S5PV独自の特徴は非常に充実したストレージまわりの装備だ。その中でまず挙げておきたいのは、片面4.7GBのメディアに対応したDVD-RAMドライブと、CD-R/RWドライブを内蔵している点で、これによって、撮りためた映像ファイルをリムーバブルメディアに保存しておくことができる。ただし、Prius Navistationからこれらのドライブを使って直接書き込みを行なうことはできず、本機の録画ファイルは標準モードで1時間あたり約3.8GBものサイズとなるため、4.7GBのDVD-RAMメディアでも約70分程度のファイルの保存にとどまる。できればMPEG1や4のようなファイルサイズの小さくなるフォーマットでDVD-RAMへ直接録画を可能にしてほしかった。

付属ディスプレイPriusViewの背面部。D1端子をはじめとして多彩な入力コネクタを持つ

　もう一つの本機の目玉は、容量60GBと40GBの二つのHDDを内蔵しており、合計100GBもの容量を使って、テレビ録画のみならずDV編集まで余裕を持って対応可能であることだ。データが両方のドライブをまたがるような録画はできないが、最大約24時間もの録画が可能となっている。

　付属の液晶ディスプレイPriusViewはテレビチューナーを内蔵しているため、こちらで番組を見ながらS5PVで裏番組の録画ができる。また、D1端子をはじめとする各種入力インターフェースを備えているため、ちょっとした多機能モニタとして利用してもよいだろう。

スリムな筐体ながら3本のPCIスロットを備える。そのうち1本にアイ・オー・データ機器製のテレビチューナー/キャプチャカード「GA-BCTV4/PCI」が搭載されている

　実際に使用してみると、付属リモコンによってAV機能のほとんどが操作できる点に感心させられる。Windowsの起動はもちろん、タイムシフトやDVD再生、EPGによる録画予約までキーボードやマウスに触ることなく実行できる点は家電PCとしての本機が、高い完成度に達していることを示していると言えよう。