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会場:Las Vegas Convention Center
Las Vegas Hilton
Riviera Hotel
Alexis Park
CESはConsumer Electronics Showが示すとおり、一般消費者向けの電気製品、つまり家電がメインターゲットであり、一見するとCPUメーカーにはあまり関係ないイベントであるように見える。しかし、x86系のCPUもPCだけでなくWebアプライアンスなどの家電領域に進出しつつあり、そうした意味では徐々に関係の深いイベントになりつつある。さらに、Intelは前日に行なわれた社長兼CEOのクレイグ・バレット氏の基調講演でも明らかにしたように、コンシューマ向けPC用周辺機器への本格参入を明らかにしたこともあり、Intelブースでは周辺機器が多数展示されていた。
●Intelは多数のコンシューマ向けPC周辺機器を出品
IntelのポータブルオーディオプレーヤーのPocketConcert。ヘッドフォン、USBクレードルは標準添付品。カーアダプタ、ケースはオプション |
Intelはメインの会場であるLas Vegas Convention Centerのノースホールに大きなブースを構えており、CESの直前に発表されたポータブルオーディオプレーヤーの「Intel PocketConcert」などのコンシューマ向けPC用周辺機器を展示していた。
最も目立っていたのはなんといってもPocketConcertで、多くの来場者が積極的に質問していたり、用意されたヘッドフォンに耳を当てて実際に視聴している姿が印象的だった。PocketConcertは既報の通り、MP3、WMAの2種類のフォーマットのファイルをPCからUSBドッキングステーションを介して転送することが可能になっている。
このほかにも、日本では発売されていない周辺機器がいくつも展示されていた。その代表は「Intel Wireless Series」だろう。Wireless SeriesはUSB接続のベースステーション(Intel Wireless Base Station)を経由して、無線方式(周波数:902.5~927MHz)でキーボード、マウス、ゲームパッドなどの周辺機器を接続する形になっている。ベースステーション1つに対して、複数の周辺機器を接続することができ便利だ。米国では既に10月から販売が開始されており、価格はIntelのダイレクトショップShop Intelの価格で
Intel Wireless Base Station 59.99ドル(日本円で約7,000円)
Intel Wireless Series Mouse 59.99ドル(日本円で約7,000円)
Intel Wireless Series Keyboard 79.99ドル(日本円で約9,000円)
Intel Wireless Series Gamepad 64.99ドル(日本円で約7,500円)
となっており、ほかにもベースステーション+キーボード+マウスが179.99ドル(日本円で約20,000円)、ベースステーション+マウスが109.99ドル(日本円で約12,000円)というセット価格も用意されている。
Intel Wireless SeriesのIntel Wireless Base Station。これ1つでキーボード、マウス、ゲームパッドなどが接続可能 | Intel Wireless Seriesのキーボードとマウス | こちらは有線版。キーボードとマウス自体のつくりは同じ |
さらに、QX3などの顕微鏡で知られるIntelの玩具周辺機器であるIntel Playシリーズの「Intel Play Computer Sound Morpher」も展示されていた。Sound Morpherは上部についているマイクを利用して取り込んだ音を、PCのサウンドカードの入力端子を利用して取り込む仕組みになっているため、これ自体が大きなマイクになっていると言える。取り込んだ音は付属のソフトウェアを利用して、さまざまなユニークな音に変換したりして遊ぶことができる。モーフィングした音はメールで送ったり、そのままPCで再生して楽しむことができる。こちらも既に販売が開始されており、Shop Intelでの価格は49ドル(日本円で約6,000円)となっている。なお、Intel Wireless Series、Sound Morpherともに現時点では日本では発表されていない。
Intel Wireless Seriesのゲームパッド。右側に複数のボタン、左側には十字ボタンが用意されている | Intel Play Computer Sound Morpherを利用すれば、PCをボイスチェンジャーに変身させることができる |
●参考出品のWebTabletとChatPad
また、すぐに出荷される製品ではないが、IntelはWebTabletとChatPadと呼ばれる一種のWebアプライアンスを参考出品していた。WebTabletはStrongARMベースのWindows CE搭載マシンで、IEEE 802.11bベースの無線LANを内蔵している。オペレーションはペンで行なわれ、ソフトウェアキーボードなどを利用して入力を行なうことができる。なお、本製品はIntelブランドで販売される予定はなく、ISPなどにOEMされることになるという。
また、ChatPadは日本で言えばモバイルギアIIのようなH/PCで、液晶ディスプレイと大型の液晶ディスプレイが付いている。こちらもやはりIntelブランドではなく、ISPなどのOEMからの出荷になるという。
IntelのWebTablet。CPUにはStrongARMを採用し、OSにはWindows CEを採用。夏頃にはOEMされ、ISPなどから出荷されることになる | IntelのChatPad。ハンドヘルドPCサイズになっている | Intelが昨年のCESに展示していたLinuxベースのWebアプライアンスはDot.Stationとして既にOEM出荷されている |
Intelは2000年の「2000 International CES」で、LinuxベースのWebアプライアンスを展示し、それが7月にDot.StationとしてISPなどから出荷されたという経緯がある。今回のWebTabletとChatPadもそうした形で出荷される可能性があると言える。
●Transmetaは新IAとCASIO FIVAの新バージョンを展示
今回はIntelのライバルであるAMDは出展していなかったものの、モバイル向けのCPUでIntelと激しく争っているTransmetaは、CESに出展し、WebアプライアンスやCrusoe搭載ノートパソコンなどを出展した。
もっとも注目を集めたのは、CASIOが出展したCrusoe搭載FIVAだろう。FIVAは昨年に行なわれたCOMDEX/Fallでも展示されていたが、クリアケースの中に入っていた状態で、来場者が触ることはできなかった。しかし、今回は触ることができ、実際にWindows Meが動作していた。重さは1kg弱(2.1ポンド)で、バッテリーにより10時間の駆動が可能になっているという。本体にはモデム、LAN、USB、IEEE 1394の各ポートが用意されており、付属の専用ケーブルを利用して外部CRTを接続することができる。カードスロットは、標準的なType2のPCカードスロットのほか、Type2のコンパクトフラッシュスロットも用意されている。発表・出荷は2月が予定されているそうで、日本でのリリースに期待したい。
CASIOのCrusoe搭載FIVA。COMDEXでは触ることができなかったが、今回は実際に動作していて自由に触ることができた | Crusoe搭載FIVAの左側面。左から、モデム、コンパクトフラッシュスロット(Type2)、外部CRTポート、IEEE1394、PCカードスロット(Type2) | Crusoe搭載FIVAの右側面。LANポートとUSBポートが用意されている |
このほか、TransmetaのブースにはさまざまなWebアプライアンスが展示されていた。Philips、日立製作所、米国Gatewayなどの大手メーカーのほか、Windows CEに対応したWebアプライアンスなどが展示されていた。その中には、未発表のTM3400(現行のWebアプライアンス向けTM3200の後継)が搭載されているものがあるなど、実に多彩な展示を行なっていたのが印象的だった。
eZEXのCrusoe搭載Webアプライアンス「WB-3100」。OSはMobileLinuxのほか、Windows CE 3.0を利用することができる。液晶はSVGAで、10.4インチないしは8.4インチで、バッテリーで6時間駆動 | SEWOO Infomation & TechnologyのSMP-3000。やはりペンオペレーションで、CrusoeのTM3400(まだ未発表)の400MHzを搭載している | GatewayとAOLが共同で開発したWebアプライアンスのConnected Touch Pad。背面にモデム、LAN、USBなどのコネクタが用意されている |
□2001 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
(2001年1月10日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]