ディスプレイ込み5万円PC「HP pavilion 2000」購入記



●HPのパソコンが5万円!?

 最近いくつかの通販サイトや家電量販店の店頭で、ディスプレイ込みで49,800円で売られているHPのパソコンをみかけるようになった。これは「pavilion 2000」という省スペース型デスクトップPCで、ソフトバンク系のスタイルインデックスが販売を行なっているものだ。6月の発表の時点では、pavilion 2000の価格は90,000円に設定されており、プロバイダ料金とのセットで月々3,480円というコースが用意されていた。すでに、製品的には一世代前のものであり、通常のサイクルでいえば在庫処分を急がねばならない頃合いの商品だ。

 HPは日本のパソコン本体の市場ではマイナーなブランドだが、プリンタなどではメジャーブランドであり、関数電卓や計測器のブランドとして、その名を刻みつけられている人も多いだろう。

 pavilion 2000の仕様は、Celeron 466MHz、64MBメモリ、5GB HDD、24倍速CD-ROM、56kbpsモデムなど。Windows 98 SEがプリインストールされる。ロータス ラクラクナビ2000はプリインストールだと思っていたが、別途CD-ROMが付いていた。CRTディスプレイは15インチだ。

 メモリとHDDの容量は必要最低限だが、価格から考えれば妥当なところか。今回は、妻の実家に送って、里帰りのときのインターネットアクセスに使おうというもくろみなのでこれで十分だ。

 購入に当たっては、各サイトを比較しても49,800円という価格は同じだった(12月初旬の価格)ので、ポイントを溜めているヨドバシカメラのサイトで購入した。送料は無料だったので支払総額は税込みで52,290円、ポイント還元率は13%で6,798ポイントが還元された。クレジットカードで決済し、発注の翌々日には商品が到着した。


●狭いディスプレイと小さなキーボード

 セットアップは本体にディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカーなどを接続するだけなのですぐに終わった。最近の例にもれず各ケーブルは色分けされているし、大きなサイズのセットアップガイドがついているので、初めてのユーザーでもとまどうことは少ないだろう。

 PC本体は縦型のマイクロタワーで設置面積も少なくかっこいいデザインだ。全面パネルにUSBコネクタ、ヘッドフォン、マイク端子も付いている。ただし、前面パネルの加工精度は低く、端子の蓋がスムーズに閉まらない。HPのブランドイメージを裏切る印象だが、49,800円という価格を考えれば妥当なところだろう。なお、FDDは搭載されておらず一見レガシーフリー風だが、シリアル、パラレル、PS2などの端子は全部装備されている。

フロントパネルに2個のUSB端子 色分けされた端子類

 購入前から覚悟していたが、ディスプレイは最低限の品質だ。現在の水準としては曲率が大きく、表示もコントラストが低い印象だ。筐体の大きさに対して表示面積の比率が狭く、15インチってこんなに小さく表示されるんだっけ? と感じてしまう。マウスは2ボタンでスクロール機能もないが品質は悪くない。スピーカーはオマケの部類。

大きな曲率のディスプレイ(上部にあるのはマイク) ディスプレイ側面にはスピーカー固定用と思われる溝があるがこのセットでは使用されていない

 問題はキーボードで、小さな面積に無理矢理キーを詰め込んでおり、まるでノートPCのキーボードのようだ。スペースキーは左に追いやられ、ホームポジションで構えると左の親指がスペースキーの右端にかろうじてかかるぐらいだ。右のシフトキーも左に寄っており、タッチタイプしようとするとほかのキーを押してしまう。キーボード自体はショートカット機能なども備え面白いのだが、少しでもWebブラウジング以外の用途に使うのであればキーボードだけは別途購入することをお勧めする。

ノートPCのような配列の省スペースキーボード キーボードのショートカット機能を使うと機能名が画面に表示される

システムリソースは86%もある
 メーカー製のPCにしてはプリインストールソフトが少なく、ほとんど素のWindows 98 SEの状態で個人的には好ましい。メモリは64MBしか積んでないのにリソースは86%も余っている。内蔵モデムによるNIFTYへのダイヤルアップ接続も普通に行なえた。この製品の目的であるインターネット端末としては十分な実力だ。

 なお、一般家屋で使用する際に気になる騒音だが、うるさくはないがとても静かといえる部類ではない。ファンの音は小さめだが、HDDのアクセス音が大きく聞こえる。


●内部構造も魅力的なPC本体

 とりあえず動作が確認できたので、内部を覗いてみよう。

 ケースの構造はかなり独創的なものだ。左右パネルのスナップは底面にあり、はずすだけで左右と底面のプラスチックパネルがはずれる。シャーシ内部はシールドを兼ねた金属パネルで覆われているが、これもドライバなしで回せるボルト1本で外せる。あとははめ込みの薄型CD-ROMドライブをはずせばマザーボードが現われる。ボード全体が露出して、手が届く状態なのでメンテナンス性は高く、メモリ増設なども簡単だ。

ケースの構成 底面のスナップをはずすだけでパネルがはずれる 金属パネルを開けたところ

 チップセットはIntel 810で、ディスプレイキャッシュは実装されておらずパターンだけが残っている。メモリスロットは2つで、この個体ではMicronのPC100 64MB DIMMが搭載されていた。拡張スロットはLow Profile PCIが2つあり、片方にモデムカードが装備されている。Low Profile PCI対応のカードも増えているので、拡張性に問題はないだろう。なお、チップセットがIntel 810なのでビデオカードの増設はできない。

丸見えになるマザーボード お茶目なケーブリング

 CPUまわりは普通のSocket 370で、CPUの交換も簡単そうだ。クロックアップして使うような性格の機種ではないが、ケース全体が煙突のような構造で上部に放熱するようになっており冷却効率は良さそうだ。

 この状態でHDDは見えておらず、底面に金属パネルに覆われた状態で固定されていた。このパネルをはずすには5本のボルトが使われている。HDDの持ち出しによる情報の流出を警戒する企業向けのクライアントPCのような構造だ。HDDはシャーシに支えられているだけでネジ止めはされていない。

 PC本体は縦型でスペースをとらず、家庭用のサーバーにも向いたデザインでもある。とりあえずメモリを増設し、HDDを大容量のものと変えて、と拡張することを考えてしまうほどの魅力がある。

ケースの上部に排気口があり、暖房器具を思わせる HDDは底面に水平に収納される


●5万円の価値は十分にある

 結論からいえば、約5万円の価値は十分にある。とりあえずできるだけ安くインターネットに接続できればという友人や知人には勧めてもいいと思う。ただ、メールが主体ならキーボードだけはもっといいものを見繕ってあげた方がいいだろう。このキーボードの配置に慣れてしまうと、逆にほかのキーボードが使えなくなるぐらい一般的な配置とは異なっている。

 また、家庭内でちょっとしたサーバーを立てたいという向きにも魅力的な素材だ。シャーシやマザーボードの品質は高いので、とりあえずHDDを増設するだけで十分に使える。ルータ代わりならこのままでもいいだろう。

 可能であれば、ディスプレイやキーボード、マウスなどの添付をやめて、本体のみ39,800円で販売してくれれば言うことはない。Intel 815ベースにしてベアボーンキットになると本当は一番うれしいが、それはHPに望むべきことではないだろう。

□日本HPのホームページ
http://welcome.hp.com/country/jp/jpn/welcome.htm
□日本HPの直販サイト
http://www.hpeselect.com/
□製品情報
http://www.hpeselect.com/Default?COMMAND=ITEM_DETAIL&ITEM_CODE=HP1PC11000
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【6月15日】日本HP、家庭向けPCに参入。Eコマース販売でソフトバンクECと提携
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000615/hp.htm

(2000年12月13日)

[Reported by date@impress.co.jp]


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