COMDEX/Fall 2000

プロカメラマン山田久美夫の デジタルカメラレポート SECC編

会期:11月13日~11月17日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center



 COMDEX/Fallは、主に2つのコンベンションセンターを使って開催される。メインとなるのがラスベガス・コンベンションセンター(LVCC)で、こちらは大手メーカーがメイン。一方のSands Expoコンベンションセンター(SECC)は、小規模メーカーの小さなブースが密集しており、その雰囲気はまったく異なる。

 さらにSands会場では、PCパーツのように特定分野に特化したメーカーや、独立ブランド製品よりもOEMがメインのメーカーや小規模な商社によるブースも数多い。

 デジタルカメラの場合、日本国内の大手メーカーはLVCC会場がメイン。だが、ここSands会場には、日本では普段見ることのできない、OEM中心の韓国や台湾メーカーのブースが多く、個性豊かな低価格モデルの宝庫となっている。

 もっとも、基本的なスペックは並みでも、デザインの関係でブースによっては、出展機材の撮影許可がでないことも多い。これには、独創性のある独自デザインの場合もあれば、大手メーカーに製品に酷似しているケースもあるので話がややこしい。

 今回はSands会場の出展品のなかから、個性的で、しかも撮影許可のおりたメーカーの製品について紹介する。


●LARDAN DIGITAL

 台湾メーカーのなかでも、自社で非球面レンズの開発や製造までを手がける、ほぼ唯一のメーカーであるLARGAN DIGITAL。同社はスキャナー用レンズでは世界シェアの6割を製造している、その分野でのトップメーカーだ。また、数年前から1/4VGA(320×240ピクセル)やVGA(640×480ピクセル)クラスのデジタルカメラを自社ブランドで販売してきたが、最近はOEM主体に移行している。

 同社は今回、1/4VGAモデルながらも、超薄型でIXYよりもコンパクトな参考出品モデルを出品した。このモデルは、液晶モニターなしのシンプルなものだが、非球面レンズと単4型電池の採用により、超薄型化を実現したもの。また、必要に応じてまったく同サイズでVGAモデルの製造も可能という。

 インターフェースはUSBで、メモリーは内蔵のみという割り切ったものだが、実販価格は100ドル以下を実現できるという。製品化も間近で、NDAのためOEM先は公開できないものの、早い時期にOEM先ブランドでの販売が開始されるという。



 また、同ブースには、コンパクトカメラと見間違うような、親しみやすいデザインのVGAモデル「CHAMELEON」も出展されていた。このモデルは、外観、スペックともに、国内でも人気の高い低価格モデル「マクセル WS-30」と瓜二つで、市場価格は149ドル前後という。



●PREMIER IMAGE TECHNOLOGY

 同じく台湾メーカーの大手である「PREMIER IMAGE TECHNOLOGY」は今回、台湾勢でもっともハイスペックな230万画素光学2.3倍ズーム機「DC-2000」($449)、MP3対応のVGAモデル「DC-530」(299ドル)、スタイリッシュなストロボ内蔵VGAモデル「DC-520」(149ドル)といった、新ラインナップを出展した。

 いずれもすでに、フォトキナなどではOEM先ブランドから新製品として出展されているもの。だが、今回のように、その製造元のブースにこれらが並んで展示されていると、日本国内の大手メーカー以外に、オリジナルに開発されたモデルが、いかに少ないかを実感できる。

 ちなみに、外観を見る限り、230万画素の「DC-2000」はポラロイド、MP3対応のVGAモデル「DC-530」はコニカの最新モデルに酷似しており、VGAモデル「DC-520」は背面のモード表示用液晶部分は異なるが、カシオの最新低価格機に似通った印象だ。



●MINTON OPTIC

 台湾のMINTON OPTICは、150万画素CCD搭載の液晶付きモデル「S-CAM A3」や同型の130万画素機「S-CAM A2」、ボディーの一部にスケルトンパーツを使ったVGAのCMOSモデル「S-CAM F5」、スクエアスタイルの80万画素モデル「S-CAM F4」などを出品。

 「S-CAM A3」は、1/2インチの150万画素CCD搭載を搭載した本格派モデルで、単焦点タイプながらもオートフォーカスで、1.8インチのTFTカラー液晶モニターを搭載。記録媒体もスマートメディアを採用するなど、なかなかのスペック。そのため、価格も320ドルと、このクラスとしてはちょっと高めの設定だ。

 VGAのCMOS搭載機で、PCカメラとしても利用できる「S-CAM F5」は、マニュアルフォーカス部分にカラフルなスケルトン素材を採用したもので、ボディーカラーのラインナップも充実している。4枚の連写機能や4cmまでのマクロ撮影にも対応。内蔵メモリは2MBのみと寂しいものもあるが、PCカメラ時にはVGAで30フレーム/秒まで対応するという。また、付属ソフトによる拡大補間処理で、1,024×768ピクセルでの出力にも対応している。このあたりは、カタログスペックを重視するアメリカ市場を考慮したものといえる。価格は140ドルと比較的手頃なレベルだ。

 スクエアスタイルの80万画素モデル「S-CAM F4」は、液晶なしのシンプルなもので、価格も199ドルと80万画素級としてはまずまず。本機は以前から「S-CAM F1」の名称で発売されていたが、今回はUSB対応になり、F4へと進化したという。



●HIPER

 韓国のHIPERは、SVGAで、デジタルスチルカメラとしても、PCカメラとしても使える「HelloCam」を出品。

 撮像素子は、1/2インチと大型のCMOSセンサーで有効画素数も48万画素と、SVGA(800×600ピクセル)にきちんと対応したもの。メモリーは内蔵専用だが、8MBあるため、SVGAでも60枚以上の撮影ができるという。

 このモデルは実写したプリントも展示されており、ほかのVGAサイズのCMOSセンサー搭載機よりも、画質面ではかなり有利。低価格機の分野も、高画素化の波が押し寄せてきている感じだ。価格は150ドルと、そこそこ納得できるレベルといえる。



●Technology Human Emotion

 韓国のTechnology Human Emotionは、ペンダントタイプで、しかもPCカメラ時にはレンズ部分の角度を変えて撮影できるVGAサイズCMOSカメラ「Dual Mode PC Camera」(130ドル)を出品。基本スペックはシンプルだが、このアイデアはなかなか実用的。しかも外観がコンパクトなため携帯にも便利そうだ。

 また、単体での静止画撮影機能を持たない、純粋なVGAサイズのPCカメラだが、スタイルもかわいらしく、わずか39ドルの「NUNI」も同時に出品されていた。



●Express Office Automation

 香港のExpress Office Automationは、1/4VGAのCMOSを採用したToyカメラ「Kc 1.0」を出品。価格もわずか23ドルと低価格だ。もちろん、最大の特徴は、どこかで見たような個性的な縦型デザイン。クラスが全く異なるとはいえ、ここまで似せるか……という気もする。

 機能的には驚くほどシンプルで、メモリーは内蔵式で1MBのみ。1/4VGAでも15枚しか撮影できないという割り切ったもの。PCカメラとしても使えるが、接続はシリアルのみでUSBにも対応していないという徹底ぶりだ。



●COULOMB

 こちらも某機のデザインを真似たシンプルなモデルで、その名も「Cyber DigitalCamera」。画像サイズは1/4VGAクラスでCMOSセンサー搭載。PCカメラとしても利用できる点は、このクラスの定番といえる。逆に言えば、基本的なパーツ類で、他社との差別化を図れないため、いきおい、デザインに走るという傾向があるわけだ。

 もう一機種も、基本スペックは同等で、こちらは近未来的なデザインを採用したもの。性能は同じなので、あとはお好みに応じてどうぞ、という感じだ。



●LogicMeca

 韓国のLogicMecaは、「Eyen」というデジタルカメラ兼PCカメラを出展。もっともこのメーカーはもともとデジタルカメラ用に開発したASICの販売がメイン。それを実際に搭載したものとして発表したものが、今回のモデルという。

 このモデルの場合、VGAのCMOSセンサーを搭載したもので、価格は100ドル以下。もっとも、PCカメラの世界はすでに50ドル以下の世界に突入しているため、価格を維持するためには単体での静止画撮影機能を装備する必要があるという事情もあるわけだ。



●HSM

 韓国のHSMは、なかなかスタイリッシュなVGAのCMOSモデル「DSC-snail」(129ドル)を出品。機能的には、内蔵メモリー専用で、USB接続のPCカメラ機能搭載……とポピュラーなものだけに、あとはデザインで勝負という感じだ。

 カラーリングや質感も悪くないが、シャッターボタンが斜めについているあたりは、あまりにデザイン優先すぎて、実用性はあまり考慮されていない感じがした。



□COMDEX/Fall 2000のホームページ(英文)
http://www.key3media.com/comdex/fall2000/

(2000年11月17日)

[Reported by 山田久美夫]


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