日時:10月21日~22日 (特設Apple Storeは、10月31日まで)
会場:新宿タカシマヤ (iStyle in Times Square)
10月21日から、日本のApple Store でも「Mac OS X Public Beta」の販売が開始された。日本で販売されるPublic Betaは、これまで欧米で販売されていたものにシステムメニューやインストーラなどの日本語対応が加わり、ビルドがより上がったものとなっている。販売価格は3,500円(税別)で、同日の午前10時から注文を受け付けている。
この販売開始にあわせて、新宿タカシマヤに特設されているApple Storeでは2日間の限定で「Mac OS X Public Beta」の直接販売が実施された。この直接販売の告知は17日から開催されたWORLD PC EXPO 2000のアップルコンピュータのブースのほか、同社のWebページなどで行なわれ、またそれらを報道するWebメディアなどを介してのみ周知されることになったが、当日は予想を大幅に上回る購入希望者が訪れる盛況となった。ちなみに、百貨店でアップルコンピュータがこうしたイベントを行なうのは、'99年10月に有楽町西武でiBookを販売して以来のこととなる。
週末を迎えた新宿タカシマヤの正面入口には、開店前から数百人にも及ぶ長い行列が出来上がった。混乱を避けるため、開店と同時に数名ずつ店内に誘導されて製品を購入する。店内には全部で15台のiMacが設置され、購入希望者はそのiMacを使って、Apple Storeの疑似体験とユーザー登録を行なって「Mac OS X Public Beta」を購入する仕組みである。最初こそ、アップルコンピュータの原田社長が、パッケージを直接購入者に手渡したり、最初の10人にはMac OS XのTシャツをプレゼントするなど華々しくスタートしたが、直後に電源トラブルが発生し数台のiMacがダウン。また、来場者が思いのほか入力作業に手間取ったり、クレジットカードによる支払いやレジ操作などアップル側のスタッフが手慣れていない面もあって、販売は遅々として進まない。販売開始から30分を過ぎても、数十人というレベルでしか処理ができないことがわかる一方で、行列は10時30分すぎには1,000人を超えた。明らかに処理する人数よりも、行列に加わる人が多い状態となったため、新宿タカシマヤ側とアップル側が協議して急遽対応を講じることとなった。
その後、正午前には正面入口にテーブルが用意され、手書きの購入申込用紙を準備。iMacを使った入力だけではなく、手書きで購入申し込み用紙に記入する形でも購入が可能となり、ようやく行列が動きはじめた。さらに、購入可能な時間帯を記した整理券を配布する方法も併用するなどして行列の解消に務めた。また、当初はこうした手書きの申し込みと、店内に残された数台のiMacによる入力とを併用していたが、夕方までには店内のiMacはすべて撤去されて、すべて手書きの申込用紙を使った販売方法に統一された。
午前11時頃には当日中の購入が不可能という見通しもあって、行列に加わることができなかった来店者もいたが、午後2時過ぎには1時間も並べばなんとか購入できるような状態まで落ち着きを見せ始めた。一番厳しかったのは、開店にあわせた10時前後に訪れて遅々として進まない行列にイライラさせられたユーザー達だろう。これらの結果、来店したユーザーにApple Storeを使ったオンラインショッピングを疑似体験してもらい、今後の購買に結びつけるという試みは失敗に終わったが、予想を大幅に上回る来店者があったことで、ユーザーのMac OS Xへの注目と期待の高さがあらためて明らかになった。
ちなみに翌22日は、当初から手書きの申込用紙を使った販売方式が取られ、10時の開店以降目立った混乱もなくスムーズに販売が行なわれた。筆者も正午過ぎに購入に訪れたが、約10分ほど行列に加わっただけで無事に購入することができている。
なお特設Apple Storeは、新宿タカシマヤのほかに松屋の銀座本店「デザインコレクション」でも、10月31日までの期間限定で開設されている。「Mac OS X Public Beta」の直接販売は終了しているが、Apple Storeで限定販売されているiBookのKey Limeカラーなどを購入して持ち帰ることができるのが特徴だ。
(2000年10月23日)
[Reported by 矢作 晃 (akira-y@st.rim.or.jp) ]