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NEW PRODUCTS TESTREPORT


EIZO
FlexScan L771

プロフェッショナルユースに最適な
19.6インチLCDディスプレイ

TEXT:本間 文 Bun Honma



大型機とはいえ、液晶パネル採用のためスリムにまとまる
 EIZOから、DTPデザイナーやイラストレーターなどのプロフェッショナルユースに特化した19.6インチ・ハイエンドLCDディスプレイ、FlexScan L771が発売された。本製品は同社のLCDディスプレイのフラグシップモデルにふさわしく、1,600×1,200ドットの高解像度表示を実現しただけでなく、画質や各種画像調整、カラーマネジメント機能なども盛り込まれた高機能なモデルである。

 LCDパネルには水平・垂直ともに150度の視野角を持つTFT液晶を採用。表示画面サイズは対角497mmと21型CRTディスプレイ並みで、A4見開き(2ページ)を一つの画面で表示できるため、DTPユーザーには重宝がられることだろう。また、これまでもハイエンドディスプレイを数多く世に出してきたEIZOらしく、LCDディスプレイではなかばあきらめられていたカラーマネジメント機能にも取り組み、RGB各色を個別にオートレンジ調整できるほか、色温度も4,000Kから10,000Kまで500Kきざみで13段階の調整を可能にしている。もちろん、調整の難しいRGB各色のレンジはオートアジャストで設定できるほか、年内には発売が予定されている同社のUSB対応カラーキャリブレータと組み合わせ、さらにきめ細かなカラーマッチングもできるようになる。もちろん、OSDメニューのScreenManagerを使ったカスタム設定も可能で、色の濃さや色合い、ゲインなどを調整することも可能だ。


1,600×1,200のドット大画面のため、DVD再生を楽しみながらほかの作業を行なう、といった用途にも余裕を持って対応できる
 信号入力はDsub 15ピンのアナログRGBが2系統用意されているのみで、同社の15インチLCDディスプレイのFlexScan L371で採用されたDVI入力は見送られた。EIZOとしては、フラグシップモデルとなるL771でもデジタルインターフェースに対応させたかったようだが、現時点では1,600×1,200ドットをサポートしたTMDSレシーバICの量産が遅れていることなどから、アナログRGB入力のみの対応となったようだ。今回は、ビデオカードにATI TechnologiesのRADEON 32MB DDRを接続して試用してみたが、その画質は1,600×1,200ドットでも細かな文字までクリアに認識できるもの。しかも、ScreenManagerには、テキストや線画を鮮明に見えるようにシャープネスをかけたり、グラフィックス表示がメインの場合は、画面全体をソフトフォーカス寄りにしたりするなど5段階のスムージング調整も用意されている。


背面部には二つのアナログCRTコネクタのほか、内蔵USBハブにより、二つのダウンストリームポートも搭載されている
 ただ、アナログ入力ということもあり、どうしてもビデオカード側のアナログノイズを拾って文字やウィンドウの枠が尾を引くようにブレて見えることがあった。このようなドットズレの症状は、ScreenManagerでドットクロックとフェーズを調整したり、リフレッシュレートを70Hz近辺まで引き上げたりすることで改善できるのだが、ドットクロックやフェーズで調整できる範囲は限られている上、リフレッシュレートを上げ過ぎると、液晶の応答速度が追い付かなくなり、逆に走査によるチラツキが目立つようになる。その意味では、CRT以上にビデオカードのアナログ出力性能には気を配る必要があるようだ。そこで、試しにアナログ信号のクオリティの高さでは定評のあるカノープスのSPECTRA 7400DDRを使ってみたところ、RADEON 32MB DDRでは気になった文字やウィンドウのブレはほとんど解消された。


台座は回転式のため大きな本機も比較的簡単に向きを変えることができる
 気になる価格は実売で450,000円前後と、まだまだ高価であるが、ハイエンドCRTとまではいかないまでも、かなりのレベルでカラーマッチングも実現してくれる上、目の疲れも軽減してくれるため、長時間ディスプレイと向き合うことが多いデザイナーやイラストレーターには最適なLCDディスプレイだ。もちろん、画面の広さと解像度の高さを利用して、ワープロ編集中にTVウィンドウを表示させて楽しむといった贅沢な使い方もできるだけに、大画面LCDディスプレイの購入を検討しているユーザーは、ぜひ一度、ショップなどでその画質を確かめてみてほしい。


ScreenManagerからは、CRTのようにゲイン(左)やコントラスト(右)をRGB各色ごとに調整可能だ

  • 製品名:FlexScan L771
  • 標準価格:オープン(実売450,000円前後)
  • メーカー:株式会社ナナオ
  • 問い合わせ先:03-3455-7701
  • URL:http://www.eizo.co.jp/
  • 液晶パネル:19.6”カラーTFT液晶
  • 画素ピッチ:0.249mm
  • コントラスト:300:1
  • 水平走査周波数:27~94kHz
  • 垂直走査周波数:50~85Hz(1,600×1,200ドット表示時は50~75Hz)
  • 最大表示解像度:1,600×1,200ドット
  • インターフェース:Dsub 15ピン×2
  • 消費電力:53W以下
  • 本体サイズ(W×D×H):472×218×478mm
  • 重量:9.5kg

    ■写真撮影
    若林直樹(STUDIO海童)

    □ナナオのホームページ
    http://www.eizo.co.jp/
    □製品情報
    http://www.eizo.co.jp/home/products/lcd/l771/contents.html


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    ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp