初めて訪れた韓国電子展の規模は思ったより小さかったのだが、結局取材と記事の執筆に2日間かかってしまい、確保できたのは丸1日。しかし、実際に街を目にする前は「1日もあれば、楽勝で見て回れるだろう」などと気楽に考えていた。
韓国の電気街は、ソウル駅から2駅と中心部から近い「龍山」にある。ただし、韓国電子展が行なわれたCOEXからは漢江という川を挟んでいるため、電車で約50分程度かかる。しかし、これだけ乗って運賃は1区間料金の600ウォン(1ウォン = 約0.1円)と格安なのが嬉しいところ。
龍山駅ビル |
各ビルには目立つところに番号が書いてあって非常にわかりやすい |
駅ビルもそうなのだが、龍山の大きな特徴はソフマップや、T-ZONE、ラオックスのような大型店がないところだ。大きなビルも、小さなテナントが埋め尽くしている。イメージとしては、秋葉原のラジオデパートが何棟もあるといった感じだ。それぞれのビルには番地と思われる数字が付いているので、それを目印にすればわかりやすい。
駅ビルにはAV機器やパソコンなど小さな店舗が沢山あるほか、飲食店まで入っており至れりつくせり。ここのパソコンショップで売られているのはノートPCが多く、パソコンパーツは少ない。また、ポータブルCDプレーヤーを扱う店では、ほとんどMP3プレーヤーを置いているほか、MP3プレーヤー専門店があるところが韓国らしい特徴となっている。
DVDビデオを扱うショップも何店かあり、価格は日本よりも全体的に安く20,000~30,000ウォン。売られているのは、ほとんどが韓国国内版だった。
龍山全体がそうなのだが、商品にはほとんど値札が付いていおらず、価格は店員と交渉するのが基本のようだ。パソコンパーツも例外ではなく、CPUやHDD、メモリなど販売しているものを貼りだしてはいるが、秋葉原や光華商場のように価格は書いていない。しばらく観察していると、お客の方もパーツ単位で購入するというより、希望のスペックで見積もりを出してもらって、それを色々なショップで比較。その上で価格交渉しているようだった。
ただし、ホワイトボックスについては各店舗とも価格を積極的に提示しており、この点を見ても秋葉原のようにパーツ単位で購入することは少ないことを裏付けている。その一例としてPentium III 850MHz、メモリ128MB、HDD 20GB、RIVA TNT2 32MB、48倍速CD-ROMドライブ、PCI 3D搭載のタワー型で1,080,000ウォンとなっており、価格的には日本とあまり変わらない。
この駅ビル2階には連絡通路があり、ここを渡っていくと電気街の中心部に出ることができる。大通りにでると、まるで秋葉原のように電気屋が建ち並び、さらに裏の路地にも小さな店がいくつもある。電気街の面積や、店舗数では秋葉原を上回っているように思う。この様子を見た瞬間「初めてきて、これを1日で回りきるのは不可能だ」ということを悟った。
駅ビルからの連絡通路 | 電気街マップ |
駅ビル近くには屋台が並んでおり、なんとなくお祭り気分 | 左右見渡す限り電気街が広がっている |
大通りの裏にも、こういったアーケードがいくつかある | きつい坂があるため、台車に商品を満載して搬送する店員が沢山いる |
大通りに並ぶ店は、ほとんど照明器具や、白物家電の店でパソコン関連は少なく電脳街というより、電気街となっている。パソコンがメイン商品でなかったころの秋葉原を思い起こさせる雰囲気だ。
結局写真には収まりきらなかったが、左側にもう半分ある |
そして、このELECTRO LANDの地下にあるゲームショップで、噂に聞いていた「PlayStation」そっくりのゲーム機「PolyStation」を発見した。実際に見てみると本当にPlayStationにそっくりで、最初はPlayStationだと思って通り過ぎたほど。しかし、電源ボタンが緑色、コントローラ端子が9ピンのアタリになっているほか、通常「PlayStation」のロゴが入っているところに、「PolyStation」とプリントされている。
「こっ、これは! 詳細を確認しなければ」と思ったのだが、シューケースのすみに、純正PlayStationの下に隠されるように置いてあり、いやな予感がした。案の定、「見せて欲しい」と頼んでも、「これは展示しているだけだ」と断わられるという、非常に残念な結果に終わった。
それでは、ということではないが、PlayStationに少し似ているものも発見した。それが「NORITUL FX16」だ。これはメガドライブ互換機で、最初から14個のゲームを内蔵している。パッと見ではCDドライブを搭載していそうだが、フタをあけるとコネクタが表われるという、すばらしい仕様。付属のコントローラもサターンのアナログコントローラ「セガマルチコントローラー」にそっくりなところもセガマニア心をくすぐる。価格を聞くと95,000ウォンといわれたが、もう少し交渉の余地がありそうだった。
メガドライブ互換機「NORITUL FX16」 | コントローラーがセガマルチコントローラーとそっくりなところに、セガファンも涙する? | 14個のゲームを内蔵する。その中に「MOON WALKER」が含まれているあたりに、製作者のセンスが光る |
まだまだ、数多くのショップがあるのだが、PC Watch読者ならかならず行かなくてはならないのは21棟。この建物はいくつかのビルが三角形を形成するようにつながっている特徴的な構造となっている。ぞれぞれのビルの高さが異なっているほか、連絡通路もすべての階にあるわけではないので、非常に複雑。また、ビル内も小さなショップが詰め込まれているため、自分がどこにいるのか簡単に見失ってしまうという、ほとんど迷路状態。
そしてこの中はほとんどすべてがパソコンショップ。特徴としてはいわゆるリサイクルショップが沢山ある。シリコングリスの跡のついた無印Pentium 133MHzや100MHz、おそらくショップブランドか、自作で組み立てたPCを中古品としてそのまま売っていたりもする。
もちろん、最新のパーツショップも数多くあるが、ほかのところと同じようにパーツの価格は出していない。しかし、その中で唯一COMPUZONEが価格リストを出していた。それを見るとCPUはCeleron 633MHzが119,000ウォン、Pentium III 933MHzが645,000ウォン、Duron 700MHzが137,000ウォン、Athlon 900MHzが398,000ウォン。メモリはPC100の128MBが128,000ウォン、PC133の128MBで133,000ウォンとなっており、日本の価格とそれほど変わらなかった。
21棟 | このように複雑にビルが絡み合っているため、構造を理解するのには時間がかかる | 1階層の中にもこれだけの数のショップが入っている |
■今回の戦利品
海外といえば、お買い物。PC Watchでお買い物といえば龍山。免税店やブランドショップには目もくれず龍山を歩き回って、お買い物を敢行。それほどとっぴな物は見つからなかったが、なんとか面白いものを探し出した。ちなみに価格は、時間がなかったのですべて店員の言い値。交渉すれば、もっと安く購入できるだろう。
なんと言っても目立つのは、銅で作った花形のヒートシンク「FHS(Flower Heatsink)」。パッケージはFHSとファン、マニュアル、取り付けネジ、シリコングリスまで入った完全セットとなっている。
拡張カードを固定する部分にファンを取り付け、FHSを冷やす構造。42,000ウォンで購入。
ついでに剥き出しでPHILIPSのCD-Rメディアが10枚入ったビニール袋(6,000ウォン)、プラスチックケース入りCD-RWメディア1枚(2,500ウォン)も購入。結局、価格は日本とほとんど変わらなかった。
かさばるのはわかっていたが、結局20,000ウォンで購入。白クマのほか黄色クマと、赤ペンギンもあった。
■ちょこっと覗いた韓国電脳事情
龍山からホテルに戻ると、すでに夜も深まっていた。しかし、韓国ではInternetカフェのような店「PCバン」というものが流行っているという話しを思い出し、ホテルの周りを散策。ありました、すぐ近くに2店舗。
店内を覗いて見ると、ほとんど照明のない暗い部屋に、ディスプレイの明かりが灯り、お客さんの顔が青白く照らし出されている。あまりの雰囲気に圧倒されて入る勇気が出なかったが、外から見ると店内にはゲームソフトを置いた棚があり、そこから選んでゲームを楽しんでいるようだ。カフェというような雰囲気ではなく、パソコンとキーボードがギッチリと並んでいる。
覗いたのはかなり遅い時間だったが、かなり多くのお客さん入っており、人気の高さを伺わせた。
また、その近くにはゲームセンターもあったので、試しに入ってみた。店内にあるゲームは日本とあまり変わりなく、音ゲーも数種類あった。その音ゲーの中には、韓国の歌が入ったオリジナルなものもある。料金も1プレイ200~500ウォンと、日本と比べてかなり安い。
□ELECTRO LANDのホームページ (韓国語)
http://www.etland.co.kr/
□Zalman Techのホームページ (韓国語)
http://www.zalman.co.kr/
□セガサターンのページ
http://www.sega.co.jp/sega/saturn/main/products/peri.html
(2000年10月5日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]