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プロカメラマン山田久美夫の

CEATECデジタルカメラレポート

会場:幕張メッセ
会期:10月3日~7日(3~4日は招待日)

当日入場料:一般 1,000円
      学生 500円


 毎秋恒例だった「エレクトロニクスショー」と「COM JAPAN」が統合した大イベント「CEATEC JAPAN 2000」が、10月3日から幕張メッセで開幕した。

 エレクトロニクスショーの時代から、家電系メーカーがこの冬に向けての新製品を一挙に公開するイベントであり、あらゆる分野の新技術や来年を占う新パーツなどが続々登場する貴重な場だけに、今後のデジタルカメラの動向を占ううえでも大きな意味のあるものといえる。このレポートでは、デジカメをはじめとする、デジタルイメージングに関連した新製品や参考出品の見所を紹介しよう。


●ソニー:話題の超小型デジタルカメラ

 CEATEC会場のなかでも、家電系メーカーが製品を中心に扱う「暮らしステージ」の中央にブースを構えたソニー。今回は、先だって発表された新世代ITテレビ「エアボード」、新たにiモード携帯電話で音楽が楽しめるメモリースティック対応端末など、注目すべき製品が数多い。

 その中でひときわ注目度が高かったのが、メモリースティックDUOを使用する超小型デジタルカメラだ。このモデルは、同社の中間決算時の記者会見で公開されたもので、その後、マスコミに取り上げられたものだ。

 実物を間近で見ると、とにかくコンパクトで、単なるモックアップと勘違いされそう。だが、試作機とはいえ、これは完動品であり、撮影も可能なもの。ソニーは以前から「技術的な可能性を探るものであり、この状態での製品化は予定していない」というが、このサイズと緻密さは大きな魅力であり、何らかの形での製品化を期待したいところ。もちろん、今回のCEATEC必見のアイテムだ。


超小型カメラ

 さらに、同ブースでは、発売直前の「dsc-P1」を手にすることもでき、アニメGIF画像をiモード携帯電話に送るi-Jumpなどを体験することもできる。また、「dsc-P1」とDVカメラ「PC110」の分解展示も見逃せない。

dsc-P1 PC 110の分解展示


●三洋電機:iD PHOTO関連モックアップに注目

 三洋電機は昨日発表されたiD PHOTOディスク搭載機「iDshot IDC-1000Z」を中心としたブース展開。もちろん、同機を実際に手にして、動画撮影などを体験することもできる。

 また、参考展示として、iD PHOTOディスクを搭載したカメラやビュワーなどのモックアップも出展されている。なかでも、昨日発表された3倍ズーム機「IDC-1000Z」の高倍率ズーム搭載版と目されるモックアップは要注目。

 よくよく見ると、レンズの焦点距離やF値表示部分がわからないように削られた形跡があるものの、サイズとレンズ形状などから考えれば光学10倍ズームを搭載しているのは明らか。もちろん、外観もやや大型化しているが、iD PHOTOディスクでの動画撮影や静止画による高速連写などを考えれば、このような高倍率ズーム付きモデルもなかなか魅力的。コストの問題はあるが、製品化を期待したいモックだ。


iD PHOTOディスク関連

 このほか同ブースでは、先だって発表された秒間15コマの高速連写に対応した150万画素単焦点モデル「dsc-SX560」も出品されており、その高速連写を体験することもできる。この高速連写は、スペックで見るよりも、実際に使ってみると、その凄まじさが体感できるもの。また、グリップの追加でホールド感も向上しており、気軽に動画スナップを楽しみたい人は必見だ。

dsc-SX560


●松下電器:iPalm、DVDビデオカメラ、256MBのSDカード

 今回はSDカードをメインとしたブース展開を繰り広げていた松下電器。SDカードもここにきて、334万画素2倍ズーム機である「iPalm」やSD対応FAXカラーなども登場し、その世界を広げつつある。

 数々の関連機器が展示されるなかで目を引いたのが、フリップチップ実装技術を使って実現した、256MBのSDカードを使った動画再生デモ。これまでもメモリースティックなどで多層実装による大容量化という技術展示はあったものの、実物を目にしたのは初めてだ。

 64MBカード用のチップを4つ使用し、256MBを実現している。もちろん普通のSDカードと同じ形状だ。

 デモでは、このカードに記録されたMPEG1動画データをカードリーダー経由でノートPC上でリアルタイムに再生するというもの。このカードでは、転送レートは1.4Mbit/secとなかなか高速で、実用十分なレベルで動画再生していた。

 この256MBのSDカードは参考出品であり、製品化の時期については明言を避けたが、それでも来年くらいにはとしており、そう遠くない時期に登場するようだ。

256MB SDカード

 また、DVD-RAM関係の展示スペースでは、松下ブランドのDVDビデオカメラが出品されていた。これは8cmのカートリッジ付きDVD-RAMディスクを使用する。外観から見てもわかるように、日立からのOEM供給だ。

 DVD-RAMディスクはカメラにカートリッジ付きでセットするが、同社のDVD-RAMドライブで再生する場合には、カートリッジからディスクを取り出すことで対応する。

 現在販売されている4.7/9.4GBタイプのドライブには、仕様が明確に公開されていなかったものの、実は当初から8cmDVD-RAMディスクに対応できるように、トレーの形状が工夫されており、アダプターなしに対応することができる。

 デジタルカメラ関係では、先月発表されたばかりの334万画素2倍ズーム機「iPalm PV-DC3000J」を出品。縦型でフクロウのようなイメージのモデルで、実物は意外に手に馴染む。また、淡いグリーン系のボディーカラーも写真で見るよりも、オシャレな印象だった。

 DVカメラでは、ライカ社製レンズ「LEICA DICOMAR」を搭載した3CCDモデル「NV-MX3000」を出品。本機は外観に132万画素とうたっているが、実際には有効画素数31万画素(総画素数48万画素)の3CCD方式で、画素ずらし方式を併用することで、132万画素相当の静止画画像を生成する。

 写真で見るよりも外観は大きく、デザインや質感も高く、本格派DVカメラという雰囲気が漂う、なかなか品格がある。“ツアイス VS. ライカ”という永遠のライバル対決がDVカメラの世界で再燃したわけで、いずれ対決させてみたい。

 このほか、大型液晶モニターを一体化した待望の昇華型プリンター「NV-AP1」も登場。これまでのプリンターとはまったく異なるデザインで、4インチの大型液晶パネルを搭載することで、プリントしたい画像を確認しながら操作できるうえ、普段はデジタル写真立てとしても使えるという、なかなかの優れものだ。

 メモリーカードもType2のPCカードとSD(MMC対応)のダブルスロットのため、大半のデジタルカメラに対応できる。また、プリントサイズも、A6版より大きなキャビネ版に対応するなど、とても意欲的な製品だ。年末の年賀状作成用にプリンターを探している人は、一見の価値がある。


●京セラ:携帯電話用デジタルカメラ

 京セラは、「feel H"」用のデジタルカメラユニット「Treva」と、cdmaOne携帯電話機向けデジタルカメラ「PashaPa」を出品。いずれも、明るい色調のスケルトンボディーで、実にオシャレでスタイリッシュだ。

 「Treva」はH"端末に接続してデジタルカメラユニットで、1/4インチ10万画素のCMOSセンサーを搭載している。電源は携帯側から供給され、単体での撮影はできない。

 「PashaPa」は、単4型電池と内蔵メモリーを装備しており、本機単体での撮影も可能なデジタルカメラで、本機に対応するcdmaOne端末に接続することで、携帯側の液晶モニターで画像の確認ができる。

 画像サイズは「Treva」が96×72ピクセル、「PashaPa」が120×120ピクセルと352×288ピクセルと、いずれも小さなものだが、Eメール添付でPCや他の携帯電話に送ったり、壁紙に使うには十分なレベル。デジタルカメラの新しい使い方として注目される。

 なお、同ブースには、既発売の334万画素2倍ズームのコンパクトモデル「Finecam3300」も出展されており、自由に手にすることができる。


●JVC:ハイビジョン対応「GC-X3」、192万画素静止画DVカメラ

 JVCは、先だって発表されたばかりのGC-X1の改良機「GC-X3」を出展。外観上はブラックボディーになった程度であまり代わり映えはしないが、機能的にはハイビジョンTVに直接画像出力できる機能が加わり、いかにもJVCらしい展開を見せている。

 また、192万画素相当の静止画撮影が可能でSDカードに対応したDVカメラ「GR-DV2000」も出品。このモデルは、68万画素CCD搭載機ながらも、静止画撮影時には「GC-X1」と同じくCCD前にある特殊光学系を傾けることで、画像を1ピクセルだけシフトさせて2回撮影。その2枚の画像を合成することで、192万画素相当のデータを得ているモデルだ。

 そのため、動きが激しいシーンでは、画像のずれを生じるわけだが、その場合にはカメラ側がズレの割合を判断し警告。1回分のデータのみが保存されるという親切な設計になっている。

 残念ながら、実際に撮影したデータをきちんと見ることができなかったが、68万画素機ながらも、メガピクセル級の解像度は期待できそうだ。現物を見ると、デザインや質感も、これまでの同社のDVカメラよりもかなり洗練さ ており、なかなか好印象だった

CEATEC JAPAN 2000のホームページ
http://www.ceatec.com/

(2000年10月4日)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp