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プロカメラマン山田久美夫の

フォトキナ2000前日レポート

開催期間:9月20日~9月25日


 2年に1度、ドイツ・ケルンで開催される世界最大の写真映像ショー「Photokina(フォトキナ)」。今年50回目となる「Photokina2000」が、現地時間の20日開幕する。

 フォトキナは世界規模でのトレードショーであると同時に、各メーカーが今後どのようなビジョンを持って製品展開していくか、強くアピールする場となっている。そのため、多くのメーカーがこのフォトキナをターゲットに新製品を発表する。


 さらに、会場では今後の指標となる試作機を参考出品したり、新技術をアピールしており、各社がどのような展開を見せるのか、興味津々といったところだ。

 特に近年は、フォトキナ自体も、デジタルカメラを中心としたデジタルイメージングの世界に急速にシフトしており、“デジタルカメラショー”といっても過言ではない。今回は、その開幕直前の状況を現地からレポートする。



●旭光学:35mmサイズの600万画素CCD搭載のレンズ交換式デジタル一眼レフを公開

 今回のフォトキナの大きな目玉といえるのが、本格的なデジタル一眼レフの台頭だ。

 ペンタックスは、これまできわめて高価な業務用機にしか搭載されなかった、35mmフィルムサイズの600万画素CCDを搭載した本格派デジタル一眼レフを参考出品し、注目を集めていた。

 このモデルは、同時公開された同社の35mmフラッグシップモデルをベースにしたもの。撮像素子にはフィリップスと共同開発した、35mmサイズの600万画素CCDと処理用のDSPを搭載している点が大きな特徴といえる。

 参考出品のため、詳細なスペックは未公開だが、開幕前日にブースで公開された試作機を見る限り、かなり本格的なもので期待度も高い。

 現在公表されている情報では、画像サイズは3,072×2,048ピクセル。レンズマウントは同社のKAF2マウントを採用しており、従来からのKマウントレンズはもちろん、アダプタ経由で同社の645判や67判一眼レフ用レンズでの撮影も可能。記録媒体はPCMCIA Type2とCF Type2の2スロットを搭載しており、同時使用も可能という。画像記録モードはTIFF、JPEG、RAWモードを採用。LCDモニターは2インチタイプ。外部とのインターフェイスはIEEE-1394を採用しているという。発売時期や価格については、アナウンスされていない。

 フォトキナ開幕以降、詳報が取材できれば、追ってレポートしたい

□ニュースリリース
http://www.pentax.co.jp/japan/news/2000/200030.html


●キヤノン:334万画素光学3倍ズーム搭載のフルスペックマシン「PowerShot G1」発表

 キヤノンは開幕前日のプレスカクテルで、先日に欧州で発表になった「PowerShot G1」を公開した。

 前回の「IXY DIGITAL」と違い、PowerShotシリーズは一眼レフに迫るハイスペックな撮影ができるモデルとして新展開してゆくようで、その第一弾の本機も、かなり力の入ったもの。

 スタイリングはIXYのような洗練されたものではなく、どちらかというと機能重視の実用本位。このあたりは先代の「PowerShot Pro70」に近い雰囲気がある。だが、今回のモデルは、ちょっとクラシカルなズームコンパクトカメラ風のスタイリングを採用しており、スタイリッシュとは言いかねるが、なかなか落ち着いていて親しみやすい。

 サイズは、119.7×76.8×63.8mm。重さは420gもあるが、金属外装のため、実際に手にしてみると適度な重量感があり、本格派モデルであることを感じさせる。

 CCDは1/1.8インチの334万画素。レンズは、これまで他社製品にキヤノンブランドで供給されていた7-21mm F2.0-2.5という大口径(明るい)光学3倍ズームを搭載している。

 細かな仕様については英文ながらも同社サイトに掲載されているので、詳しくはそちらを参照していただきたいが、感覚的にはほとんどフルスペックのフル装備といった雰囲気で、このクラスのモデルには搭載されていなかった、自動段階露出機能なども使いやすい形で網羅されている。また、長時間露出は最長8秒までだが、D30のようなノイズリダクションシステムが搭載されているようだ。

 ISO感度は、ISO 50~400。とくにISO 50という低感度のセッティングもできるようになっており、ノイズレベルの軽減などを含めた、画質最重視の撮影に対応できるように考えられている。出力フォーマットも、通常のJPEG形式のほか、CCDの生データを出力できるRAWモードまで搭載する。

 液晶モニターは「Pro70」と同じく、回転や折り畳みが自由にできるタイプを採用しており、不必要なときにはボディ背面に裏返して収納することができるうえ、ハイアングルやローアングル撮影もできるという実に便利なもの。

 ストロボ調光も、同社の最新一眼レフと同じ高度なシステムが搭載されており、同社の一眼レフ用外付けストロボでの撮影にも対応している。連写速度は秒間1.7コマ(ラージFineモード・液晶OFF時)と十分に高速だ。

 このほか、同社のデジタルカメラで始めてAVI形式による音声付きの動画撮影に対応した点も大きな特徴といえるだろう。

 やや不格好な点は気になるが、300万画素3倍ズーム機のなかでも、かなりのハイスペックモデルであり、このクラスで本格的な撮影を楽しみたい人にとって、魅力的な存在になりそうだ。

 なお、日本国内での展開については未定というが、近い将来に正式発表されるのは、ほぼ確実だ。


●コニカ

 コニカは前日のプレスカンファレンスで、21世紀に向けて、積極的にデジタル化を進めてゆくことを表明。それと同時に、世界最大手のインターネットフォトサイトである 「Zing」との提携と、4機種の新型デジタルカメラを一挙に公開した。

 「Zing」との提携については、今後広がるインターネット上でのフォトコミュニティーサイトでの、プリントサービスを中心とした展開。具体的には、Zing上からデジタルデータのプリントを依頼し、それをコニカのデジタルミニラボ「QD-21」を備えた「QD Shop」でプリントし受け取るというシステムという。

 最近は新型デジタルカメラを発表していなかった同社が、今回一挙に4機種ものデジタルカメラを発表した。だが、その内容は、OEM供給によるVGAモデルが3種と、自社開発と見られる211万画素光学3倍ズーム機「KD-200Z」という組み合わせ。VGAモデルは、MP3再生機能を備えた「KD-35MP」、低価格の単焦点モデルで液晶モニターなしの「KD-35V」、同型で液晶モニターを搭載した「KD-35L」。いずれも、日本国内より、低価格モデルの人気が高い北米市場をターゲットにした製品だ。

KD-200Z

KD-35V

 211万画素光学3倍ズーム「KD-200Z」は、金属外装の横型モデルで、記録媒体に「SDメモリーカード」を採用している点が大きな特徴。もちろん、MMCにも対応できる。細かなスペックは公開されていないため、どんな機能を備えているのかわからないが、外観から見る限りは、ごく普通のモデルといった印象だ。久々の新型モデルだけに、300万画素以上を期待していたが、今回はバランスを重視して200万画素機になったようだ。このモデルの日本国内での展開は未定という。

 このほかにも、フォトキナでは各社から新製品や参考出品が多数登場することは必至であり、開幕後、順次詳細をレポートしたい。

(2000年9月20日)


■注意■

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp