前回「今年も宜しくお願いします!!」と書きながら、気がつけばもう夏は終わりかけ……。編集部から「今年下半期の原稿お願いします」とのことでこの原稿を書いている。 |
ここで説明するまでもないが、Windowsには大きく分けて2種類存在する。1つは32ビットと16ビットがハイブリッドになったWindows 9x系列、もう1つが完全に32ビットで構成されるWindows NT系列。前者はWindows 95→Windows 98→Windows 98 Second Editionという流れ、後者はWindows NT 3.51→Windows NT 4.0→Windows 2000となる。そしてWindows MeはWindows 98 3rd Edition的な位置付けであり、Windows 9x系列としては最後のOSになる予定だ。MS-DOS、Windows 1.x、Windows 2.x、Windows 3.x、Windows 9xと、長年続いた16ビットの世界は、このWindows Meをもってやっと終了。ある意味Microsoftの集大成だ。それが、2000年に出るとはごく最近までMicrosoft社内でも考えていなかったのではないだろうか!?
大きく分類してWindows Meの改良点は、以下の6つ
もちろん、Internet Explorer 5.5やOutlook Express 5.5、Media Player 7など、インターネット上で既に公開しているものも含まれWindows Me固有とはいえない部分はあるが、これはいつものパターン。Microsoftのお家芸だ。
今回の改良点を見る限り、最近のパソコン用途としてかなりの割合を占めるインターネット関連、デジタルカメラやデジタルビデオ、そしてユーザー層の拡大によるトラブルなどに対応できるシステムへと変化した。またWindows 2000とほぼ同じ構成に加え、約半年遅く出荷される分、更に新しい機能が組み込まれているとの見方もできる。中でもWIAは従来のTWAIN(32)インターフェイスに置き換わるものであり、デジタルカメラなどの画像データをパソコンへ取り込む手順の標準化に役立つだろう。いずれにしても時代にマッチした改良が施され、最後のWindows 9xを飾るには十分な内容だ。
Media Player 7 Windows Meにしか含まれないスキン |
Movie Maker 簡単な動画編集が可能 |
ホームネットワークウィザード これまで色々な場所に分散していたネットワークに関する設定を一括で行なえる |
システムの復元 復元ポイントで設定したシステムの状態へ戻せる |
ヘルプとサポート/トップメニュー 全てのヘルプがhtml形式となり、インターネット上のヘルプとシームレスにアクセスできる |
ヘルプとサポート/システム情報 これまで別アプリケーションであったが、このヘルプとサポートへ統合された |
現在筆者手持ちのパソコンは、そのほとんどがWindows 2000 Professionalになったこともあり、実験に使ったマシンは3台で、スペックなどは表の通りだ。
Toshiba
DynaBook SS3010 |
IBM
ThinkPad 240X 2609-61J |
AOpen AX6B | |
CPU | モバイル MMX
Pentium 266MHz |
モバイル Pentium
III 500MHz |
Celeron 300A(450MHz) |
---|---|---|---|
Memory | 96MB | 192MB | 128MB |
HDD | 4.3GB | 12.0GB | 10.0GB |
HD I/O | E-IDE | Ultra ATA/33 | Ultra ATA/33 |
Video | MagicGraph128/2MB PCI |
SMI LynxEM+/2MB * PCI |
3D RAGE Pro/8MB
* AGP |
インストール方法 | 新規 | アップグレード | アップグレード |
その他 | Internal Sound | Internal FAX Modem Internal Sound |
Adaptec AHA-2940 ATI TV-Wonder * corega FastEther PCI-TX * YAMAHA DS-1 |
※*印のものは、Windows 9xのドライバを使用
Windows Meが対応していないデバイスに関しては、Windows 98用のものを流用したが全く問題なく作動し、まるでWindows Meプリインストール・マシンのように動いている。ATI TVに関しては、Windows Me標準のディスプレイドライバでは機能しないのでATI版のものを組み込み使用した。中でもDynaBook SS3010は、筆者の記事で頻繁に登場したWindows 95プリインストールモデル。Windows 95から数えてWindows 98、Windows 98 SE、Windows 2000 Professional、Windows Meと、5世代のWindowsで完全に作動している優秀なノートパソコンだ。Windows 2000ではPIOモードでしか動かなかったHDDもWindows MeではDMAモードで動くようになり、ディスクアクセスに関してはパフォーマンスが向上した。ベンチマークテストを使って測ったわけではないが、全マシンともWindows 98 SEと比較して体感速度は変わらず。特に重くなった様子はない。
今回試した範囲では大きな問題の生じなかったWindows Meだが、各誌の編集部によると、「ハードウェアDVDカードがあるとセーフモードでしか起動しない」、「Windows 2000 Professionalプリロードの国産ノートパソコンでシリアル経由のTAを認識できず、手動設定しても使えない」などトラブルも出ているようだ。基本的にはWindows 98と同じVXDとWDM混在のドライバモデルなので、Windows 98が動いているマシンであれば大丈夫のハズであるが、インストールする時には事前にメーカーやベンダーのホームページを見て確認した方がよい。
●終わりに
冒頭で書いたように、Windows MeはWindows 9x系列最後のOSとなり、以降はWindows 2000を拡張したコードネーム「Whistler Personal」へ統合される。従って動作条件さえクリアすればWindows 9xを使っているユーザーにとって最後のアップグレード・チャンス。“もとの環境を保存しインストール”するオプションもあるので、中級者以上の方であれば一度セットアップしてみるのもいいだろう。少なくともWindows 98からWindows 98 SEの時よりは新しいOSを使っている気分を味わえるハズだ。もちろん、既にWindows 2000を使っているユーザーは余程の理由がない限りWindows Meへ乗り換える必要はない。