Click

Macworld Conference & Expo / NewYork 会場レポート

出展者は増えても、大規模ブースは減少
~ 展示会場でみつけた新製品たち ~

会期:7月18日~21日(現地時間)

会場:NewYork Jacob K. Javits Convention Center


 「ニューヨークで開催されるようになって、出展にかかるコストがかさむようになった」というのは、出展者の間でよく言われることだ。出展料は同じでも、ニューヨークという土地柄から、展示に関わる社員の滞在費はボストンの時に比べて跳ね上がっているのだろう。そんな影響からか、ここニューヨークで開催されるMacworldに限っては大規模ブースの出展が年々少なくなっている。大手のMicrosoftでさえも、Apple Computerのブースと比べると1/6以下のスペースしかない。また、今回はCorelのように出展を見送ったところもある。サンフランシスコ開催ならApple Computer以上の混雑を極めるPalm ComputingとHandspringも、前者はほんのわずかなスペースでの展示にとどめ、後者は出展すらしなかった。

 一方で主催者であるIDGが、コンシューマ・ショーケースなどの企画エリアに力を入れていることもあり、提供される小さな展示エリアのみを確保して、ブースの設営にはコストをかけずに出展する企業は増加傾向にあるようだ。そのため総出展者数は年々増加しており、イメージと数字のギャップが広がりつつある。

 またAppleComputerは、こうした舞台で発表する新製品情報の秘匿について以前にも増して徹底しているので、サードパーティ各社が対応製品を開発するのが正式発表を受けてからとなる。必然的に半年遅れのサイクルが成立しつつあるというわけだ。顕著な例は、iMacに採用された新色の影響だ。今回、Candyカラーをずらりと揃えた周辺機器メーカーは頭を抱えるしかない。

 とはいえ、各ブースには実用的なものからユニークなものまで、興味深い製品が数多く展示されている。こうした製品を一気に紹介していこう。


■周辺機器

「SoundSticks」は、好評のiSubにサテライトスピーカーを組み合わせた製品。これまで販売されていたiSubは、harman/kardon製のスピーカーを搭載したiMac DV以降のiMacでしか利用できなかったが、スピーカーシステムになったことでUSBポートを搭載するすべてのMacintoshで利用することができるようになった。米国ではAppleStoreなどを通じて、199ドルで販売される。日本における販売の詳細については未定とのこと PowerMacintosh G3に初めてFireWireが搭載されたときも、早々にFireWire拡張ボードを発表していたOrangeMicro。今回はUSB2.0に対応した「USBoard2」を参考出展して、評価システムをデモンストレーションしていた。WindowsとMacの両対応ということだが、デモ機はWindowsを使用。MacでUSB2.0がどのような位置づけとなるかはまだ不透明だが、それにしても気の早いことだと思わせる Xircomが展示していた会議室用のHUB「NetStation」。100Base-TXに対応するスイッチングHUBだが、PCに接続するコネクタとケーブル部分がすべて本体に収納されている。使うときは、必要な分だけ引き出して利用し、使い終わったら、ちょっと引っ張ってから力を緩めると自動的に本体に巻き戻される仕組み。掃除機の電源コードを想像してもらえばいい。4ポートと8ポートの製品があって、デイジーチェーンで連結することができる

日本のRATOCシステムが出展したFireWireとUltra-SCSIのコンバータ。まだ市場や仕事の現場にはSCSI対応製品が数多くあり、重要な製品と位置付けているとのこと。日本では1万円前後での価格で販売したいとしている 極小タイプのMultiMediaCardリーダは、MICROTECHの製品。同社はすでに同じコンセプトでコンパクトフラッシュ対応のカードリーダを製品化している。ケーブルレスで、直接USBポートに差し込めるから持ち運びも簡単 メモリーメディアのコンビネーションドライブ自体はそれほど珍しくないが、組み合わせがユニークだったので紹介する。コンパクトフラッシュとメモリースティックの組み合わせだ。出展していたのはDataFab Systemsという会社だが、製造元ではないようなので、今後数社から同等製品が発売される可能性も

デジタルカメラで撮影した画像を、Zipディスクに保管、編集できるIomegaの「FotoShow」。テレビとビデオケーブルで直接つないで利用でき、PC不要。読み込めるメディアはCFカードと、スマートメディアだが、最終的な保存先がZipなので、日本で商品化できるかどうかは微妙 モックアップの形で展示されたIomegaのMP3プレーヤー。メディアはClik!を利用している。この秋に発売される予定とのこと IomegaのCD-RWドライブ。下が現行モデル。上に載っているのが、9月に発売を予定している新型の製品。ずいぶん小型化されているが、現時点ではモックアップ


■ビデオカード

比較的大きめのブースを構えて展示を行なった3dfx。出展されていたのはPCIバス対応の「Voodoo5 5500 PCI」のみだが、説明員との雑談レベルではAGPバス製品や、Appleの新製品に採用されたADC(Apple Display Cable)への対応にも興味津々といった感じ。デモンストレーションは、やはりゲームが中心 結局、展示フロア内にはブースを設けなかったATI Technologies。ミーティングルームを使って、RADEON搭載ビデオカードをひっそりとお披露目した。広告の垂れ幕もよく見ると、なにやら修正のあとがいっぱい。大人の事情というやつなんでしょうか。8月末のSEYBOLDではどうなる? コツコツとMac用のビデオカードを発表し続けているFormac Electronic。最新の「ProFormance 4」では、ついにAGPバスに対応する。搭載しているグラフィックアクセラレータチップは3Dlabs製


■アプリケーションソフト

「:mac」をキーコンセプトに、Macintosh向けビジネスへのコミットを強調する戦略をとったMicrosoftのブース。展示の中心は、10月に出荷を予定している「Office:mac 2001」 パッケージを簡素化する「Office:mac 2001」。写真はプロトタイプだが、だいたいこのようなデザインになるらしい。OfficeのCD-ROM以外にも数枚のディスクを収納できるようになるという FileMakerは現行のVer.5を対象にしたデモンストレーションが中心のブース構成。規模はMicrosoftとほぼ同等で、Adobeとともに3社が隣接する形でブース配置がなされていた


■その他

6GBのHDDを搭載して、6,000分―1,500曲の再生を豪語するMP3プレーヤーを展示していたのがARCHOS。バッテリ駆動で5時間以上の再生が可能とのこと。価格は399ドルで、9月に発売予定。1,500曲も入っていると、聴きたい曲を探し出すの大変そうだが、現時点ではモックアップなので、詳細は不明 Windows版の発売から1カ月を経ずに発売されたMacintosh対応の「Diablo2」。展示会場内の一部ショップでも販売が行なわれ、休憩エリアで早々にパッケージを開くユーザーの姿もみられた。Blizzardのブースではムービーシーンの上映もあったが(たぶんコレクターズエディション付属のDVD)、エピローグまで上映してしまうのはいかがなものかと…… アイディアとしては遙か昔からあるものだが、カバーが無意味にフロッピーディスクのデザインになっている点と、本気でこんなドメイン(http://www.cyber-drinkholder.com/)を取得している意気込みを評価して紹介することにした

□Macworld Conference&Expoのホームページ(英文)
http://www.macworldexpo.com/

(2000年7月25日)

[Reported by 矢作 晃]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp