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2台のATAPI対応BURN-Proofドライブをテスト
~CRD-BP900P対PX-W1210TA/BS~


●遅れて登場した本家のBURN-Proof対応ATAPIドライブ

 三洋電機から発売が予告されていたATAPIインターフェイスのBURN-Proof対応ドライブ「CRD-BP900P」(12/4/32倍速)が、OEM先のアイ・オー・データ機器から「CDRW-AB124B」として発売された。

 BURN-Proofは、CD-Rでの失敗の原因の大半を占める「バッファー・アンダーラン」を防止する技術で、開発元の三洋電機からSCSIモデルのOEM出荷は開始されていたものの、ATAPIモデルはプレクスター「PX-W1210TA/BS」(12/10/32倍速)に先を越されていた。今回は両製品を比較しながら実力をレポートする。

 「CDRW-AB124B」と「PX-W1210TA/BS」の一番の差はCD-RW機能にある。「PX-W1210TA/BS」がHS CD-RWに対応し、10倍速のリライトが可能なのに対し、「CDRW-AB124B」はHS CD-RWに対応しておらず4倍速に留まっている。すでに三洋電機からはHS CD-RW対応CRD-BP1300Pも発表されており、設計時期の差がそのまま出てしまっている形だ。

CDRW-AB124Bパッケージ外観。プレクスターPX-W1210TA/BS同様に内蔵タイプにしては非常に大きい ドライブ正面。BURN-Proofロゴがトレイの下の部分に入っている コネクタ部分。右から、4ピン電源コネクタ、40ピンIDEインタフェース、4ピンアナログオーディオ端子。ファンはなく穴が開いているだけ

【表1:BURN-Proofドライブ機能比較】
ドライブ製造元インタフェースBURN-Proof書き込み書き換え読み込みバッファ備考
CRD-BP900P三洋電機ATAPI12x4x32x2MB出荷中
PX-W1210AプレクスターATAPI12x10x32x2MB出荷中
CRD-BP1300P(参考)三洋電機ATAPI12x10x32x2MB近日出荷予定


●ドライブに三洋電機の名はなし

ドライブ型番ラベル CDRW-AB124B(CRD-BP900P)のプロパティ。GENERIC CRD-BP900Pとして認識される

 CDRW-AB124Bは、三洋電機のCRD-BP900Pを採用しているが、ドライブのラベルには、アイ・オーの名前だけでOEM元の三洋電機の名前は全くない。ドライブに記載されている型番も「CRD-BP900PIO」と最後にアイ・オー(I-O DATA)を示す頭文字が入っている。

 ドライブのOS上の認識は、アイ・オーでも三洋電機でもなく「GENERIC CRD-BP900P」となる。これは、ファームウェアアップデートの時や、対応するライティングソフトをチェックする際に重要なポイントの1つだろう。なお、今回テストしたCRD-BP900PのファームウェアはVer3.22となっていた。

 ドライブの形状は、すでに登場しているSCSI版のCRD-BP2(12/4/32倍速)と全く同じ。LEDは、「WRITE」と「BUSY」の2つがある。

 また、CRD-BP900Pはトレイ部分が非常に丁寧に作られており、密閉するために黒いスポンジのようなものもある。これは、ライバルのPX-W1210Aのトレイが若干貧弱な感じを受けるのとは対照的だ。

CRD-BP900Pのトレイ。密閉するため黒いスポンジのようなものがある PX-W1210Aのトレイ

 数枚を連続して書き込みをしてみたがドライブの発熱はそれほどではなく、手で触った限りはPX-W1210Aとほとんど同じぐらい。ドライブにはファンはないが、ドライブの側面などにスリットが多数設けられており、そこから熱が逃げているようだ。

 ただし、ドライブの動作音(メディア回転音)はPX-W1210TAに比べると比較的大きく、メディアがマウントされる時のスピンアップ音がはっきりとわかる。また、書き込み中にBURN-Proofが動いた場合も、それがはっきりとわかるほど動作音がしている。メディアの高速回転をさせているので仕方がない面もあるが、動作音がほとんど気にならないPX-W1210Aに比べると弱点といえる。


●付属ソフトはビーエイチエー+α

 CDRW-AB124BGの付属ライティングソフトは、ビーエイチエーのB's Recoder GOLD Ver1.69・パケットライトソフトのB's CLIP Ver1.54と、DigiOnDisc Ver1.10が添付されている。ただし、マニュアルによれば「DigiOnDiscとB's Recoder GOLD」または「DigiOnDiscとB's CLIP」を共存して使用できないとのこと。CD-Rドライブを乗り換えて使うユーザーにはB's Recoder GOLDの方をだけ選択すればいいし、全く初めてのユーザーならばDigiOnDiscをとりあえず使ってみるとよいだろう。

B's Recoder GOLD Ver1.71 サポートドライブ一覧 DigiOnDisc Ver1.10起動画面

 これ以外に、アイ・オーのオリジナルソフト「CDRWシリーズサポートソフト(ATAPI用)」が付属する。中身は、CD TEXT対応のCD Playerがメインだ。このCD Playerには音楽CDのトラックをWAVEファイルにキャプチャする機能も搭載されている。

CD Playerの画面。CD TEXTの表示に対応している オーディオキャプチャ画面:音楽CDのトラックをWaveファイルとして保存できる。WAVEファイル名をCD TEXTから引用することも可能

 なお、付属ソフト以外にも、「Easy CD Creator 4.02c 日本語版」、「Nero英語版 V5.0.1.3」での動作が確認できた。

Easy CD Creator 4.02c。ドライブプロパティ nero英語版V5.0.0.9

 Easy CD Creator 4.0については、アダプテックジャパンが公開している対応確認表にはCRD-BP900Pの記載はないものの、米国のサポート情報にはすでにEasy CD Creator 4.0がCRD-BP900Pに対応している旨の情報が掲載されている。ただし、必要はないかもしれないが、BURN-Proofを無効にできず、常時BURN-Proof有効のままとなる。また、日本語版のneroも最新版のアップデータVer4.0.9.5から対応している。

 これ以外にも、B's Recoder GOLDと同じライティングエンジンを採用しているメガソフトの「MUSIC CDデザイナー2」、「MUSIC CDデザイナーLite」もCRD-BP900Pがすでに対応リストに掲載されている。


●書き込み性能比較

 書き込みにおいて、BURN-Proofにより最適化した書き込みが行なわれているかどうか、メディア診断ソフト三洋電機「UM Doctor Pro Ver1.01」を用いて測定した。メディアは、リコー TYPE74と太陽誘電のCDR-74ZYの2種類を使用した。

太陽誘電「CDR-74ZY」使用時
CRD-BP900Pで記録 PX-W1210Aで記録

リコー「TYPE74」使用時
CRD-BP900Pで記録 CRD-BP900Pで記録。BURN-Proofを意図的に連続動作

リコー「TYPE74」使用時
PX-W1210Aで記録 PX-W1210Aで記録。BURN-Proofを意図的に連続動作

 メディアのC1エラーは、どちらも12倍速とは思えないほど少ないのだが、僅かにPX-W1210TAに軍配が上がった。また、原因は不明だがリコーメディアをCRD-BP900Pで書き込みした場合、後半部分でC1エラーが増えていく傾向がみられた。

 また、BURN-Proofを意図的に連続して発生させる条件でテストしたところ、CRD-BP900PではほとんどC1エラーに変化がみられなかったのに対して、PX-W1210Aではエラー率が若干アップしている。開発元の三洋電機CRD-BP900Pの方がBURN-Proofへの最適化がされていると推測できる結果となった。

●測定条件
・書き込み条件
すべての書き込みを12倍速、BURN-Proof有効で設定
HDD内のCDイメージファイル(CD-DA:約74分)を作成して書き込み
・BURN-Proof動作テスト条件
10Base-Tで接続したPCのHDDにイメージファイルを置いて、ネットワークを経由して12倍速書き込みを行なう。数秒に1回の割合で、BURN-Proofが動作していた


●読み出し速度性能比較

 ドライブの読み出し性能を、データCDと音楽CDを測定した。

【表2:読み出し速度結果】
ドライブF/WデータCD音楽CD
StartEnd平均StartEnd平均
CRD-BP900P3.2214.1x32.7x23.4x(CAV)13x13x13x(CLV)
PX-W1210A1.0014.7x34.2x24.4x(CAV)14x24x21.5x(PCAV)

CRD-BP900P測定結果
データCD 音楽CD

PX-W1210A測定結果
データCD 音楽CD

 データCDの読み出しは、CRD-BP900PもPX-W1210Aもほぼ同等の結果となっている。しかし、音楽CDではCRD-BP900Pは約13倍速しか出ておらず、読み出し速度ではPX-W1210Aが圧勝している。CRD-BP900Pの音楽CDのWAVE吸い出し(DAE)は、聞いた限りではノイズはなかった。

●測定条件
・マザーボード(Freeway FW-K7VM)のIDEポートに、それぞれのドライブをセカンダリのマスターに接続。IDEドライバーは、VIAのIDE Busmaster Ver.2.1.47を使用
・使用ソフト
 CDVD Banschmaak Version 1.02(Jorn Fiebelkorn氏作、ドイツ語のソフトだが、詳細な読み出し速度のグラフ表示ができる)


●結論:いま買うならプレクスター、アイ・オーはノート用に注目

 書き込みはややCDRW-AB124B有利、読み出しは音楽CDについてPX-W1210TA/BSが有利。使った印象では、CDRW-AB124Bの動作音の大きさが気になった。秋葉原の店頭価格では、両者の差はほとんどないか、CDRW-AB124Bがわずかに安い。HS CD-RWに対応していることも考えるとPX-W1210TA/BSがお勧めだ。

 しかし、CRD-BP900Pも、BURN-Proofにしっかり最適化されており、丁寧に作られたトレイなど、基本に忠実に作られたドライブであるという印象を受けた。三洋電機からは、HS CD-RW対応のSCSI版のCRD-BP3とATAPI版のCRD-BP1300Pも、発表されているので、その製品化を待つという手もあるだろう。

 アイ・オーのお勧め製品は、同時に発売された外付けドライブ「CDRW-i124B/CI」(12/4/32倍速)の方だろう。これは、CRD-BP900Pをケースに入れ、ATAPI PCカードとセットにした製品だ。転送スピードが制限されるノート向けユーザーにとってBURN-Proofの恩恵は大変に大きいだろう。ノートユーザーにとっては安全に焼ける高速ドライブの選択肢として注目したい。

●テスト環境
CPU:AMD Athlon 500MHz
M/B:フリーウェイ FW-K7VM/MR Rev1.04
RAM:SD-RAM 128MB PC100 CL=2
HDD:Maxtor DiamondMax VL30 M31536U2(15.3GB)
VGA:ATI RageIIC AGP
LAN:プラネックスコミュニケーションズENW-8300-T(PCI、10-Base-T)
OS: Windows 98 SE

□アイ・オー・データ機器のホームページ
http://www.iodata.co.jp/
□CDRW-AB124B製品情報
http://www.iodata.co.jp/products/cdrw/cdrwab124b.htm
□関連記事
【6月23日】BURN-Proof対応ATAPI CD-RWドライブ
「プレクスター PX-W1210TA/BS」レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000623/plextor.htm

(2000年7月11日)

[Reported by 山田 暢貴@BURN-UP! CD-R]


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