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E3 2000会場レポート PCゲーム編 その3

特殊な世界観が魅力のEA「Alice」、大量の新作を投入したEidos

会期:5月11日~13日(現地時間)
会場:Los Angeles Convention Center




■ジョージ・ルーカスも注目の「Alice」

「Alice」の世界観はこれまでにないものだ
 ディズニーの映画などでも有名なルイス・キャロルの童話「不思議の国のアリス」。今回Electronic Arts(EA)のブースにおいて、この童話の主人公“アリス”が主人公のアクションアドベンチャーゲーム「American McGee's Alice」がクローズドで公開された。American McGee'sはこのゲームのプロデューサーで、ゲームの世界観を作り上げた本人の名前だ。

 このゲームは、童話の舞台から70年が経過した世界から始まる。奇妙なデザインのウサギがボロボロの屋敷のドアを開け、アリスはまた不思議な世界に引き込まれることになる。

 3人称視点のアクションアドベンチャーゲームで、あちこちに隠されている謎やパズルを解いたり、6つの武器を駆使しながら15のレベルをクリアする。特に目新しいシステムやフィーチャはないが、グラフィックスをはじめとした特殊な世界観が注目ポイントだろう。とにかく悪夢に現われるような敵キャラクタが多数登場し、主人公のアリスも服装こそディズニーの映画などでおなじみの可愛らしい洋服を着ているが、顔はしっかり前方をにらみつけ、両足でがっちりと大地に足を踏ん張っているといった感じ。

 アリスはステージにちりばめられたアイテムを利用し、パズルを解き、危険を切り抜けなければならない。この危機の切り抜け方法もグラフィックス同様異様だ。アリスの上半身だけが筋骨隆々となり敵を蹴散らしたり、断崖絶壁では羽や触覚が生え、バッタに変身してなんとか困難をクリアしたり、まさに不思議の国だ。

 ゲームの好みはこの不思議な世界観を受け入れることができるかどうかにかかっているが、個人的にはぜひ体験してみたい世界だ。ちなみにE3の会場に現われた映画監督のジョージ・ルーカスもわざわざ「American McGee's Alice」の世界を体験していったという。完成は秋を予定しているが、ぜひ一度は触れてみてほしいゲームだ。

【American McGee's Alice】
(c) 2000 Electronic Arts Inc. All rights reserved.


■Eidos、NEXT 「トゥームレイダー」、NEXT 「大刀」を出展

 毎年、3Dアクションアドベンチャー「トゥームレイダー」の主役、ララ・クロフトのショーを派手に行なっているEidos Inreractive。今年は、これまでララのモデルを担当していた女性が交代し、新しいララとなったこともあり、ステージでは写真撮影会などが頻繁に行なわれている。一方、ブースの中ではリリースが一巡したためか、一挙に新作がズラッと並んだ。

 特に注目すべき作品は、CORE DESIGNがトゥームレイダーの次の作品として開発を進めている「PROJECT EDEN」、「大刀(米国でのリリースタイトルDAIKATANA)」のリリースを控えているION STORMの「Deus Ex」と「ANACHRONOX」だろう。

 「PROJECT EDEN」は荒んだ近未来が舞台。上流階級は文字通りビルなどの上層階に住み快適な生活を満喫する一方、犯罪者などは地上の廃墟や地下などで生活していた。そんな中、上流階級に属する知人が何者かにさらわれてしまう。そのさらわれた知人を捜索するところからストーリーは始まる。キャラクタは4人、それぞれ得意分野、不得意分野を持つ。たとえばコンピュータに強い者、格闘に強い者など資質が違うのだ。その4人のキャラクタを切り替えながらゲームを進めていくという。

 3Dエンジンは最新のものにブラッシュアップされており、トゥームレイダーシリーズからは格段の進歩を遂げている。が、今回展示されたのはオートデモだけで、ゲームとしては遊べなかった。たとえば、ネットワークプレイの場合、4人のキャラクタをそれぞれ別のユーザーが選択し、協力してシナリオを攻略するのか、これまでのゲーム同様、デスマッチなど対戦を楽しむのかも未だに決定していないという。

 発売はこの冬を予定しているが、このように仕様が決まっていない現状では開発が延期される心配もある。CORE DESIGNが次世代作品として、どのような提案をするのか楽しみではある。

【PROJECT EDEN】
(c) 2000 Eidos Interactive. All rights reserved.

 CORE DESIGNとならびEidosにとって重要なデベロッパ“ION STORM”は、何年もかけて開発が進められてきた「大刀」のリリースが5月(日本での発売は6月を予定)と決定したことから、今年は新作2作「Deus Ex」、「ANACHRONOX」を展示していた。

 「Deus Ex」はロールプレイング要素を持つ3Dアクションアドベンチャー。サイバーパンクな世界観で、香港のアンダーグラウンドといったステージも用意されている。3Dエンジンは「UNREAL TOURNAMENT」を使用。

 このゲームでは3Dアクションシューティングも重要な位置を占めているが、主人公が成長していくという要素を持つために、これまでの同種のゲームとは異なった印象がある。まず、ゲームの開始時にプレーヤーはスキルの設定をしなければならない。このときアクション要素を高く設定すればアクション性の高いゲームとなり、頭脳系のスキルを高くするとアドベンチャー要素の濃いゲームバランスになるという。また、ゲームを進めていく過程で、ゲームをクリアすることによってスキルはアップしていく。さらにステージ上には“スペシャルスキル”といったアイテムが落ちており、それをとることで“速く走る”といった特殊技能が身に付くという。

 拾ったアイテムや武器に関しては、「Diablo」のように決まった分量しか持つことはできない(升目で仕切られていて大きなアイテムは広い面積を占めることになる)。このほかにも、ステージ上には数多くののNPC(None Player Character)が登場し、仲間となって自動的に戦闘に参加するという。

 ゲームの動きやシステムも目新しさはないもののうまく融合されており、ヘビィな世界観も相まって、アクションものの好きなゲーマーであればハマるのではないだろうか?

【Deus Ex】
(c) 2000 Eidos Interactive. All rights reserved.

 ION STORMのもう1つの新作は「ANACHRONOX」だ。こちらも3Dアクションアドベンチャーだが、若干アドベンチャー要素が濃い印象だ。プレーヤーは探偵となり6つの惑星を股にかけ、活躍することとなる。3Dエンジンは「Quake II」を使用。

 ゲームは基本的に3Dだが、大刀のように2人の仲間を連れてパーティを組んで歩き、敵を倒しながら探偵としての依頼を解決していく。

 ゲーム内では、目的のためには金儲けを行なわなければならないこともあり、会場でのデモではバーのようなところで踊ることで金儲けをするシーンをプレイしてくれた。“踊る”のもただ踊るだけでなく、ダンス・ダンス・レボリューションのように矢印キーで操作しうまく踊ることでより多くのお金をもうけることができる。また、顔の表情などもリアルで、恐いくらいだ。このゲームにはエクスパンションが同梱されており、武器などを合成し、自分だけの武器などを作り上げることが可能だという。

 ハードな世界観の中にコミカルなイメージも織り交ぜた、一風変わった作品のようだ。

【ANACHRONOX】
(c) 2000 Eidos Interactive. All rights reserved.

□E3のホームページ(英文)
http://www.e3expo.com/

(2000年5月15日)

[Reported by funatsu@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp