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E3 2000会場レポート PCゲーム編 その1

きらりと光る最新ゲームが多数登場したPCゲーム

会期:5月11日~13日(現地時間)
会場:Los Angeles Convention Center



 ゲーム関連のトレードショウ「E3 2000」が今年もロサンゼルスで開幕した。アクション系のPCゲームに関して言えば、発売が間近に迫ったビッグタイトルがないため、きわだった特徴はないが、各ブースでは次世代を担う最新タイトルもちらほらと公開されはじめている。こういったタイトルはクローズドで公開されることが多いため、そのすべてを把握することはなかなか難しいが、できる限り紹介していく。


■まだまだ続くスターウォーズ関連ソフト

 毎年クローズドでしか公開されないのが、スターウォーズなどの映画を制作しているLucas Filmのゲーム部門LucasArts。やはりスターウォーズ関連のゲームが多いが、今回は同社の往年の名作アドベンチャー「MONKEY ISLAND」シリーズの久々の新作「ESCAPE OF MONKEY ISLAND」が出展されていた。100のパズルを解きながらストーリーを進めていく合間にムービー(3Dのためゲームからムービーへはシームレスに移行する)が流れるという、一昔前のスタイルのアドベンチャーゲームを踏襲しているが、コミカルなストーリーに、魅力的なキャラクタとなかなかの注目作だ。タイトル通りサルが登場するのだが、これがなかなか可愛らしく、日本人でも受け入れることができるキャラクタだと思う。

LucasArtsはクローズドブースなため、アポイントの取れた人しか入場できない
【ESCAPE OF MONKEY ISLAND】
(C) Lucasfilm Ltd, & All rights reserves.

 しかしメインはやはりスターウォーズ。昨年は「EPISODE I」が公開されたこともあり、いくつもの新作ゲームが並んでいた。そのなかでも昨年はタイトルのみの発表だった「STARWARS EPISODE I OBI-WAN」がかなり完成度を上げていた。プレーヤーはジェダイの騎士“オビ・ワン”となりライトサーベルやそのほかの武器、そしてフォースを駆使し敵を倒していく3Dアクション。視点はQuakeのような1人称視点だけでなく、自分が画面に表示される3人称視点に切り替えることもできる。

 映画でオビ・ワンが、空中でクルッと一回転しアクロバティックなアクションで活躍したように、ゲームでも簡単な操作で多彩なアクションが実現できる。またフォースを使うと、敵ロボットや側に置いてある箱を動かすことができる。この能力をうまく活かすことで、ゲームをクリアしていくようなイベントも用意されているようだ。また、このストーリーモードの他に16人まで参加できる対戦ゲームも用意されている。ここではオビ・ワンの他、宿敵ダースモールなどでプレイすることも可能となっている。会場で行なわれたデモではダースモールが敵の放ったレーザー銃をライトサーベルで器用に打ち返し、敵を倒していた。まだまだ開発途中であり、キャラクタのモーションなどはさらにブラッシュアップされると思われるが、なかなかの期待作といえるだろう。

【STARWARS EPISODE I OBI-WAN】
(C) Lucasfilm Ltd, & All rights reserves.

 このほかのスターウォーズ関連製品としては、子供向けの教育関連ソフトを制作しているLucas Learningが開発中のレーシングゲーム「STAR WARS SUPER BOMBAD RACING」が面白い。このゲームに登場するキャラクタはすべて2頭身。ヨーダはともかく、アミダラ姫もダースモールもすべて可愛らしい2頭身キャラとなっている。ゲーム自体は映画のポッドレースを再現した内容だが、キャラクタが2頭身なだけにハードな雰囲気は減少している。音楽もベースはEPISODE Iのものだが、ポップなアレンジに変更。子供向けと言うことだが、日本でもキャラクタ商品としての魅力を十分備えている。

【STAR WARS SUPER BOMBAD RACING】
(C) Lucasfilm Ltd, & All rights reserves.


■X-Boxだけではない! 多数の新作を用意しているMicrosoft

 Microsoftは今回も数多くの新作を用意している。アクション系ではWing Commanderシリーズで知られているDigitalAnvilが制作する期待の作品「FreeLancer」、そしてHOMEWORLDを制作したRelic Entertainmentのまったくの新作「Sigma」だ。

 「FreeLancer」では、プレーヤーは宇宙のなんでも屋となり酒場などで依頼主から話を聞き、ミッションをクリアしていくアドベンチャー要素を持った3Dスペースシミュレータ。宇宙船が独特なデザインで、これまでにないファンタジックな仕上がりとなっている。ミッションクリアすることで報酬をもらい、宇宙船をアップグレードできるが、ミッションに合わせた装備を整えることが重要だろう。ミッションは多岐にわたるため、プレーヤーは宇宙のあちらこちらにワープしていくことになる。これらのワープするところの描写や戦闘シーンはさすがDigitalAnvilで、こだわりのある派手で爽快感あふれる画面となっている。ただ、依頼主から情報を得るアドベンチャーパートはむしろ地味で、このギャップに違和感を覚えるかもしれない。

 このほかにムービーシーンなども公開されたが、同社は映画の制作も手がけているため、クオリティの高いものだった。ただ、今回は初めての公開と言うことで、ゲームの完成がいつになるかは想像もつかないところが、残念なところだ。

【FreeLancer】
(c)2000 Microsoft Corporation. All rights reserved.

Sigmaの説明会。大変狭いブース内のミーティングルームで行なわれた
 一方「Sigma」は今回初めて発表された作品で、生物を合成するというこれまでにないシミュレーションゲーム。プロデューサーによれば、'98年から制作していると言うことで、すでに2年ほど経過していることになる。

 ゲームはとある島が舞台。その島にはゴリラやキリン、トカゲ、チーター、ハイエナなど数多くの動物が住む。これらの動物は実在の動物をモデルとしたリアルな動きを再現。最新の技術を利用しているという。ゲームの目的の1つがどのような動物を新しく作るかということ。トカゲとゴリラといったあり得ない組み合わせでもシミュレートし、それらしく動かしてくれる。新しく作った動物を走らせるだけでなく、戦わせたりする事もできる。
 随所に新技術が取り込まれていることはわかるが、現状ではゲーム自体の目的が希薄で、ゲームとしては未完成といえる。これからの展開に期待したい。


■未だグラフィックエンジン開発中も絶大な人気「Halo」

ブースは小さいが周囲はプレゼンテーションを待つ人でいっぱい
 昨年のMacworldの基調講演で公開されたBungie Softwareの「Halo」。とある惑星を舞台にした戦争を描いたゲームだったが、あの時点ではムービーのようにも見えた。今回のE3 2000では実際に動くDEMOも実演。ただし、プラットフォームはiMacではなくWindowsマシン。そして、配られた資料によればDVDに収録されたプログラムを稼働しているという。

 強化宇宙服を着た2人の爬虫類型宇宙人が基地を守っている。が、突然倒れる宇宙人。それを待っていたかのように基地に突入するヒューマノイド。作戦成功と思われたそのとき爬虫類型宇宙人の逆襲が始まった。逆に窮地に追い込まれたヒューマノイド。もはや絶体絶命と思われたときヒーローが現われる……。といったムービーが公開されたが、これがハードな雰囲気で実にかっこいい。リアルタイムで動く3Dグラフィックエンジンもなかなかの完成度で楽しみだ。


 今回、シアター内で総入れ替え制でのプレゼンテーションだったが、ブースの周りには常時、長蛇の列ができるほどの大人気。昔から技術力のある会社でファンも多いが、納得のいくところまでゲームを作り込む同社なだけに、開発はまだまだかかりそうだ。

□E3のホームページ(英文)
http://www.e3expo.com/

(2000年5月12日)

[Reported by funatsu@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp