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プレステ2のDVDプレーヤーバージョンアップを検証
――前バージョンへの書き戻しは問題なし、音飛びは激減

 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は、4月1日から開始された郵送での交換受付開始に続き、4月7日からセブン-イレブン店頭でもプレイステーション2のユーティリティディスクの交換を開始した。PC Watch編集部でも早速、ユーティリティディスク「Ver 1.01」を入手し、バージョンアップについて検証を行なった。なお、セブン-イレブンでの交換は4月21日までとなっている。


●DVDプレーヤーはVersion 1.01に

 3月25日の生産分までのプレイステーション2には、Version 1.00のDVDプレーヤーが同梱のユーティリティディスクとメモリカードに収録されている。このメモリーカードに、今回交換したユーティリティディスク「Ver 1.01」を使用して、DVDプレーヤープログラムを上書きすることになる。実際ダウンロードを行なったところ約1分45秒かかり、プレイステーション2の詳細表示でDVDプレーヤーがVersion 1.01にバージョンアップしたことが確認できた。なお、容量は634KBで、1.00から変更されていない。

 このダウンロードの作業手順は簡単なのだが、ユーティリティディスクを起動してから目次をたどって行なわなければならず少々面倒。たびたび行なう作業ではないが、ブラウザ画面上でユーティリティディスクから直接メモリーカードにコピーを行なえるようにしてほしいところだ。

●やはり、リージョン2以外は不可に

 もちろん、今回のDVDプレーヤーのバージョンアップは、海外版(リージョンコードが2以外の)のDVDビデオソフトが再生されてしまうという問題に対処することが主目的だ。

 なぜ、このような問題が発生するのかは、DVDプレーヤーのプログラムを解析したわけではないので、正確なところはわからない。しかし、編集部が検証した限りでは、DVDプレーヤーのプログラムがリージョンコードをチェックする前に、コントローラのキースキャンを行なっているため、そのタイミングにボタンが押されると、キー入力イベントが発生。リージョンコードのチェックルーチンが回避され、結果的にリージョンコード2以外のDVDビデオも再生できてしまうのではないかと推測している。

 また、リセットしてからDVDが再生されるまでの時間を計測してみると、1.00では27.36秒(手動計測5回の平均値)だったものが、1.01では25.30秒(同)と約2秒短縮された。これはもしかすると、1.01では起動時になんらかの処理を省いた結果とも考えることができる。

 なお、Version 1.01でリージョンコード1のディスクの再生を試みたところ、1.00で成功した方法を10回以上行なっても1度も再生することができなかった。

●Version 1.00へのバージョンダウンも可能

 今回のバージョンアップに関して、BBSなどで気になる情報がまことしやかに流れた。「一度バージョンアップすると、1.00に戻すことができない」、あるいは「1.00に戻してもリージョンコード2以外のディスクは再生できない」などの噂だ。

 今回検証して限りでは、そのいずれもが否定される結果となった。一度1.01をダウンロードしたメモリカードに、何の問題もなく1.00をダウンロードすることができた上、元の1.00と同じようにリージョンコード2以外のディスクが再生可能だった。また、メモリカードに1.01をダウンロードしたプレイステーション2に、1.00が入った別のメモリカードをさした場合でも、同様にリージョンコード2以外のディスクが再生できた。

 つまり、Version 1.01のディスクをVersion 1.00と交換しても、メモリーカードに1.00を残しておくことで、リージョンコード2以外のディスクを再生できることになる。

 なお、これらのことは、初期出荷ロット2台で数度試しただけなので、すべての機種で“こうだ”と断言することはできない。また、SCEIでも「早期にプレイステーション2本体をVersion1.00が動作しない構造に変更する」としているので、今後は1.00を保存していても、無駄になる可能性も高い。

●音飛びは、激減

 今回の改善点の1つである、光デジタル出力で音声が途切れる現象を、ドルビーデジタルトレーラー(Dolby Trailers)ロゴ5種類(各30秒)を2回ずつ計10回と、ライフ・イズ・ビューティフル(約1時間56分)を再生して確認を行なった。

 結果としては、Version 1.00ではドルビーデジタルトレーラーで計3回、ライフ・イズ・ビューティフルで6回音声が途切れたが、1.01にバージョンアップするといずれでも音飛びを確認することはできなかった(2層への移行時を除く)。ただし、この音飛びの現象は、再現性が低く同じ場所で必ず発生するというわけではないので、1.01では絶対に起こらないとは言い切れない。また、SCEIでも「限界まで軽減」と表記しており、完全になくなったとはしていない。

 しかし、今回確認した限りでは“激減”といってもいいレベルの改善であることは確かだ。

【音飛び回数】
Versionドルビーデジタルトレーラーライフ・イズ・
ビューティフル
TrainCityCanyonEgyptRain
1.00010016
10000
1.01000000
00000

●アナログ音声調整、アスペクト比変更がレジューム停止対応に

 以上の他にも、2点の改善点を確認することができた。まずSCEIのリリースにも書かれているとおり、アナログ音声出力のレベルを「標準」、「+1」、「+2」の3段階に調節できるようになった。なお、この機能はアナログ音声にのみ対応するので、光デジタル出力を「切」にしないと有効にならない点に注意が必要だ。

 元来ドルビーデジタルはテレビ放送に比べダイナミックレンジが大きいため、どうしてもアナログにダウンミックスしたときに全体的に音量が小さく聞こえる傾向がある。これは、プレイステーション2特有の現象ではなく、専用プレーヤーでも発生する現象だ。しかし、プレイステーション2がゲーム機であるが故に、ゲームをした後に、DVDを再生する時にかなり音量を大きくしなければならないと、どうしても違和感が大きくなってしまう。このため、ユーザーから「DVDの音声が小さい」という意見が多く出ていた。今回は、これらの意見を取り入れたかたちだ。

 この機能は再生中でも変更可能で、実際に+2にしてみるとかなり音量が大きくなることが確認できた。ただし、3段階しかないので、もう少し細かく調整できればとも感じた。

 また、これはリリースには書かれていなかったのだが、今までは停止ボタンは2度押して完全な停止状態でないと変更できなかったTVタイプ(アスペクト比)が、停止ボタンを1回押したレジューム可能な停止状態でも変更できるようになっていた。つまり、再生途中でアスペクト比を変更しても、先頭に戻らなくてすむことになる。

●RCフリーが必要ない人は交換に応じる価値あり

 今回のSCEIの対応方法については、いろいろな意見があるだろうが、純粋にVersion 1.01を見れば、ユーザーの細かな意見を取り入れた改良がなされており、評価してもいいものだった。もし、リージョンコードが2やフリー(オール)以外のタイトルを再生する予定がないなら、素直に交換に応じる価値はあるといえるだろう。

□関連記事
【3月30日】プレイステーション2、DVD再生用ユーティリティディスク交換へ
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【3月22~24日】今からでも間に合う! “実践的”DVDビデオ入門 全3回
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000322/dvd_i.htm
□関連記事
【3月9日】プレイステーション2のDVDプレーヤー機能を検証
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000309/ps2.htm

(2000年4月10 日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp