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Game Developers Conference 2000レポート第3弾
ビル・ゲイツ基調講演「ライバルはPlayStation2!」

会期:3月8~12日(現地時間)

会場:サンノゼ・マケナリー・コンベンションセンター



■GDC 2000の本命登場!

 8日(米国現地時間)にスタートしたGame Developers Conference 2000(GDC 2000)もはや3日目を迎え、本日10日には各企業がブースの展示を開始した。しかし、せっかくブースがオープンしたというのに午前中の時点では、メイン会場であるサンノゼ・コンベンションセンター内の人影はまばらな状態。それもそもはず、ほとんどの人はその時間、コンベンションセンターの向かいにあるシビックセンターに向かっていたのだ。そう、シビックセンターでは、Microsoftのビル・ゲイツ会長の基調講演が行なわれるのだ。
 講演開始の予定時間は、午前10時30分。だが、シビックセンターの前に行列が出来始めたのは、8時前後のこと。会場直前の10時の時点では優に1Kmを超える状態になっていた。この講演に対する関心がいかに高いか、この状況を見れば一目瞭然だろう。

会場直前のシビックセンター前。前も後ろも、人、人、人だ



■3,000人を前にX-Boxを披露

ゲイツの基調講演を聞こうと詰めかけた観客で満員の会場
 開場後、3,000人の収容人数を持つというシビックセンターは、ほぼ満席に。そしてその満場の観客がいまかいまかと待ちうける中、ゲイツ氏は予定より約10分ほど遅れて登場。まず最初に彼が切り出したのは、“コンピューターゲームマーケットがまだまだ成長過程にある”といった、言ってみれば差し障りのない話だった。その後も20分ほどの間は、新しいバージョンのDirectXについてなど、PCに関する話題が取り上げられた。いい加減、観客が焦れているのを察したのか、彼はこういった。
「それではコンソールの話をしましょうか?」
すると、満場の拍手。みんな、この話を待っていたのだ。

■CPUはPentium III

スピーチはそれほど得意ではないとされるゲイツだが、その話っぷりは威風堂々
 それ以降、講演はX-Boxに関する話題が中心となった。すでに日本でも資料が発表されたX-Boxだが、今回のゲイツ氏のスピーチでは、より詳しい情報が公開された。細かい数字は後述するとして、とりあえず目立った点を幾つか紹介しよう。

 まずは、CPU。日本でリリースされた資料には、x86互換チップとのみ表記されていたが、今回それがPentium IIIであることが判明。また、注目のグラフィックチップは、NVIDIAとMicrosoftが共同開発する、“X-Chip”という仮名称が与えられていることがわかった。このチップは、NVIDIAの次世代チップ“NV20”をベースに、さらなる改良を加えたものになるという。また、OSには、Windows 2000のカーネルにDirectX 8を組み合わせたものになることも表明された。

 ゲイツ氏によるスペックの発表の後には、マシンデモがスタート。もちろんまだ実機は完成していないので、Athlon(!)を搭載した仮バージョンのマシンを利用していたのだが(残念ながらグラフィックチップは特定できず。恐らくNVIDIA製チップか?)、それでもそのクォリティの高さには驚かされた。数百匹の蝶が舞うデモや、部屋中でピンポン玉が飛び跳ねるデモ、そして風に揺らぐ水面が光線を乱反射させるデモ。いずれも実写さながらの動きを実現しており、仮バージョンのマシンでこれだけのことができるなら、完成版の実機はいったいどんな化け物マシンになるのかと感心することしきり。
 さらに、講演の最終段階では、X-Box参入を表明したソフトハウスに対するインタビューフィルムを上映。Sierra OnlineやTake 2 Interactiveといった海外のPC中心のソフトハウスに混じって、日本からはコナミの上月社長が登場していた。

■CPUはPentium III

 ゲイツ氏のスピーチの中には、“PlayStation 2”及び“PS2”という単語が何度も登場した。やはりそれだけ同機を、強力なライバルとして認識しているのだろう。もちろん我々としても、両機種の実力差は非常に気になるところ。まあ、ライバルとのスペック比較が大好きなMicrosoftのこと、いずれはそうした資料も出てくると思ったのだが……。さっそくやってくれました。講演後に入手した同社のプレス向け資料には、お得意のスペック比較が掲載されていたのだ。さっそくその内容を紹介しよう。

  PlayStation 2 X-Box
CPU 300MHz MIPS Pentium III
Graphics Processor 150MHz Sony Graphic Synthesizer 300MHz custum-designed“X-Chip”developerd by Microsoft and NVIDIA
Total Memory 38MB 64MB
Memory Bandwidth 3.2GB/sec 6.4GB/sec
Polygon Performance 66M/sec 300M/sec
Sustained Polygon performance(full features) 20M/sec 100M/sec
Micropolygons / particles per second Not supported 300M/sec
Particle Performance 150M/sec 300M/sec
Simultaneous Texture 1 4
Pixel Full Rate-No Texture 2.4G/sec 4.8G/sec(anti-aliased)
Pixel Full Rate-1 Textures 1.2G/sec 4.8G/sec(anti-aliased)
Compressed Textures No 8:1
Full Scene Anti-alias No Yes
Micropolygon Support No Yes
Storage Medium 2 X DVD、8MB Memory card 4 X DVD、6MB Memory card、8GB Harddisk
I/O Game controller×2、USB、PCMCIA Game controller×4、Ethernet(10/100)
Audio Channels 48 64
3D Audio Support No Yes
MIDI DLS2 Support No Yes
Broadband enabled Future Upgrade Yes
Modem Enabled Not Planned Optional
DVD Movie playback Utility required to be on memory card Bulit in
Game Pad Included Yes Yes
Maximum Resolution 1,280×1,024 1,920×1,080
Maximum Resolution(2×32bpp frame buffers plusZ) 640×480 1,920×1,080
HDTV Support Limited Yes
US Launch Date Fall 2000 Fall 2001b
(Microsoft資料による)
注:SCEIの発表によればプレイステーション2のDVD-ROMは4倍速



 I/O部分以外の部分では、すべての面でX-Boxがプレイステーション2を凌駕しているのは驚かされる。後発のマシンが性能面で上回るのは当然のことではあるのだが、まさかここまでやるとは。さらにゲイツ氏のスピーチでは、ハードディスク標準搭載によるデータ管理の容易さや、Windows 2000カーネルを利用することによるソフト開発の容易さ、そしてMicrosoftが提供する強力なツール群など、X-Boxの優位性が強くアピールされた。Microsoftは本気でコンソール市場を狙っていることは、もはや疑う余地がないだろう。

□GDC 2000のホームページ(英文)
http://www.cgdc.com/
□ビル・ゲイツの講演内容(英文)
http://www.microsoft.com/billgates/speeches/03-10gdc.htm
□X-Boxのニュースリリース(英文)
http://www.microsoft.com/presspass/press/2000/Mar00/XBoxPR1.asp
□関連記事
【3月10日】マイクロソフト、コンシューマゲーム機「X-Box」を遂に発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000310/xbox.htm

(2000年3月13日)

[Reported by 小笠原 誠]


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