会期：3月8～12日（現地時間）

会場：サンノゼ・マケナリー・コンベンションセンター

■開発者向けのイベント、GDC

　シリコンバレーの中心地、サンノゼ。ハイテク関連の仕事に従事している者にとっては憧れの地であるこの街で、今年もGame Developers Conference（GDC）が開催された。初日となった3月8日（現地時間）、登録受付会場となったサンノゼ・マケナリー・コンベンションセンターには、時折激しい雨に見舞われるあいにくの天候にも関わらず、午前中から長蛇の列ができ、午後になっても途切れなかった。

　GDCは、今年で第14回を迎え、アメリカで開催される数あるコンピューターゲーム関連のイベントの中でも、もっとも古い歴史を誇るもののひとつ。とはいえ、海外のゲーム事情に興味を持つ人の中でも、このイベントのことを知っている人は少数だろう。なぜならGDCは、“Game Developers Conference”という名称が示す通り、あくまでゲームソフト開発者向けのイベントであるからだ。

　例えば、同じコンピューターゲーム関連のイベントとして、E3（Electronic Entertainment Expo）がある。あちらも業界関係者以外は入場不可のイベントではあるが、各ソフトハウス及びハードメーカーのその年の一押し商品が展示されるため、一般の関心も高い。それに対してGDCでは、そうした一般の人でも興味を持てるものは、残念ながらまず展示されない。その会場で披露されるのは、特定の“商品”ではなく、最新の“技術”なのだ。

■充実したレクチャー群

　GDCというイベントは、道を挟んでコンベンションセンターの対面に位置するサンノゼ･シビック・オーディトリアムで開かれる各種基調講演、コンベンションセンター及び隣接するヒルトンホテルの会議室で開催される各種レクチャー、そして各企業のバックアップで開催されるセッション（主にコンベンションセンター内）の3つの要素で構成されている。初日となる8日は、まだ基調講演と企業主催のセッションは行われななかったが、各種のレクチャーはすでにスタート。自分の技術をブラッシュアップしようとするプログラマーたちの熱意で、会場はいっきに熱気に包まれた。

　それでは、GDCでは具体的にどのような内容のレクチャーが実施されるのか、開催されたレクチャーのタイトルを見てみると、

・Advanced OpenGL Game Development
（OpenGLを利用したゲーム制作）

・CuttingEdge Techniques in Modeling and Simulation
（モデリング及びシミュレーションにおける最新テクニック）

・Design 3D Fantasy Worlds:A Workshop in Exploring Concepts and Developing Ideas
（3Dファンタジー世界のデザイン:基礎概念の設定とアイディアの構築）

・Game Design Fundamentals
（ゲームデザインの基本）

・Math in Programming
（プログラミングにおける数学）

といった具合で、具体的かつ実践的な講義ばかり。その内容も高度で、まさに現在プログラマーとして一線で活躍している人向け。門外漢としては、ここで学習した知識を反映した優秀なゲームソフトが、今後どんどんリリースされることを望みたい。

■今後の日程、ビル・ゲイツがX-Boxを語るか!?

　GDC2000は、本日3月8日から同12日まで、5日間の日程で開催される。基本的には、明日以降も比較的地味な内容のレクチャーやセッションがメインとなるのだが、大きな例外がひとつ。それは、10日に開催される基調講演。なんとこの日スピーチを担当するのは、ビル･ゲイツなのだ。ゲイツがGDCに参加するのは、もちろん今回が初めてのこと。これだけの大物が、単なる業界の未来予想といった内容のスピーチをするために、わざわざやってくることはまず考えられない。業界では、その講演の中には、何らかの重大発表が含まれるのでは？ と、もっぱらの評判なのだ。

　彼が具体的に何について話すのかは、いまのところ明らかにされていない。しかし、時期的に見て、本日日本でも発表したマイクロソフトの家庭用ゲーム機、「X-Box」に関する具体的な仕様の発表を行なうのでは、との予測が広まっている。コンシューマーゲーム機市場の勢力図を塗り替えるやも知れないこのニューマシンに対しては、大きな関心を持っている人も少なくないはず。ともかく、詳しい話は、追ってレポートする予定だ。

□GDC 2000のホームページ
http://www.cgdc.com/

（2000年3月10日）

[Reported by 小笠原　誠]