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CeBIT 2000会場レポート

松下電器、国内未発売の耐衝撃ノートを展示


会場:Hannover Messe

開催期間:2月24日~3月1日

 CeBIT 2000は欧州のPC業界勢揃いというイベントだが、欧州だけでなく米国、日本などの大手PCベンダも多く参加している。今回は大手ベンダーの展示内容で目立ったものを取り上げていきたい。


●松下電器は国内未発売の耐衝撃ノートなどを展示

 松下電器は衝撃などへの耐性を強化したノートパソコンであるToughbook(日本名PRONOTE FG)の最新版として、Toughbook34を展示していた。CPUはCeleron 300MHzを搭載しており、液晶ディスプレイは8.4インチのTFT液晶というスペックながら、B5サイズで1.7kgと軽量にできている。日本では未発売のモデルで、このサイズでも衝撃耐性を確保できるというのだから興味深い。もはや、お約束とも言える耐水テストなども行なわれていた。

松下電器のToughbook34。B5サイズ、1.7kgという小さなボディながら、高いショック耐性を実現

 また同社は、通例ともなったSDカードを利用した将来の家電のモックアップの展示を行なった。ただし、ほとんどのものが1月にラスベガスで開催された2000 International CES(以下CES)で展示されていたものと同じで、特に目新しいものはない。なお、国内のイベントでも行なわれているSDカードを利用したオーディオプレーヤーの試聴も行なわれていた。

 ソリッドオーディオプレイヤーに関しては、松下の永遠のライバルと言えるソニーがメモリースティックウォークマンで先行しており、松下電器がどういう製品を出してくるのかには注目が集まるところだ。ただ、展示はされていたものの、実際にどういうフォーマットを採用しているかなどは明らかにされず、説明員は「これはプロトタイプでそうした詳細は不明」と述べるに留まった。この分野に松下のような大メーカーが参入する意義は決して小さくなく、そうした意味でも早期の製品化を期待したい。

松下電器のブースに展示されていたSDカードに対応したソリッドオーディオプレイヤー。なぜか右側にはシールが貼られており、隠されていた。何か秘密があるのだろうか?


●夢のDynasheetを展示した東芝

 東芝の展示で最も注目されるのはDynasheetと呼ばれるディスプレイ部分を丸めて収納可能なモバイルPCのモックアップだろう。説明員によると、このDynasheetのディスプレイ部分はポリマー素材で作られ、柔軟性を持たせることができるようになるという。また、ディスプレイ部分は手書き認識機能を持っており、キーボードやマウスを使わないですむのでモバイル向けのパソコンとしては理想的な姿であるというわけだ。

 しかし、こんなものが今すぐ実現できるわけもなく、モックアップの展示にとどまり、PCとしても動作していない。ただ、ポリマー素材のディスプレイ部分は、現在イギリスにある研究所で研究が進んでおり、近い将来には実現可能になるかもしれないという事だった。確かに、持ち運びも楽だし携帯電話に応用して必要なときに大きなディスプレイで利用するという時代が来るかもしれない。ちょっと期待したいところではある。

 このほかにも東芝は面白いモックアップを展示していた。それがメモリ内蔵のはがきだ。しかも、それには日本の郵便局の切手が貼ってある。「すわ、郵政省と東芝の提携か!」と思ったのだが、これはあくまで東芝が参考に作ったもので、別に具体的にビジネスとして進んでいるわけではないということだ。確かによく見ると、単にスマートメディアを2枚のはがきで挟んで、読みとり部分に穴を開けただけのものだった。しかし、実際に製品化されるまでに乗り越えなければならない壁は多そうだ。

 このほか、東芝は1月のCESでメディアや限られた顧客にのみ公開していた実際に動作する液晶ディスプレイ付きDVD-ROMドライブ兼DVDプレーヤーを展示していた。

東芝が展示していた「夢」のDynasheet。ディスプレイは本体部分に丸めて収納できる。現在ポリマー素材のディスプレイは研究中とのことだ。本当に製品化されたら、ぜひとも欲しい 東芝が展示していたメモリ内蔵のはがき。でもよく見たらはがきにスマートメディアを挟んだだけ 東芝のDVD-ROMドライブ兼DVDプレーヤー。便利なので、ぜひとも欲しい一台ではある


●ソニー、NECは携帯電話を展示

 ソニーの展示は基本的には既存の製品が中心だったが、来場者の興味を引いていたのがVAIOカラーのGSM携帯電話だ。説明員によると、これはWAPサービスに対応したE-MAILの送信機能なども持っており、やはりジョグダイヤルを備えているという。ただ、日本でトレンドとなっている薄型のデザインとは対極的な、厚ぼったいデザインになっており、残念ながら日本では発売される予定はないようだ。

 また、NECが出展していた携帯電話には多くの人が群がっており、盛んに質問をしていたのでなんだろうと思ってみてみると、それはなんという事のないiモードの端末だった。既に日本ではこれらが販売されていて、E-MAILの送信も携帯電話だけで可能と説明員が説明すると「それはどこで買えるのだ」とか「どこのキャリアがサービスしているのだ」などの質問が飛んでいた。このあたりにも日本と海外の携帯電話サービスの差がかいま見られて面白い。このほか、NECはIMT-2000に対応した携帯電話などを出展していた。

ソニーのWAPサービスに対応したVAIOカラーの携帯電話。VAIOマニアにはたまらない製品か? 何だろうと思って見たらなんて事のないiモードの端末 NECはIMT-2000に対応したブラウザーフォンなどを展示


●とにかく人、人、人のMicrosoftブース

とにかく人でいっぱいだったMicrosoftブース。特に発売直後ということもあってかWindows 2000関連の展示は来場者を集めていた。
 先日Windows 2000をリリースしたばかりのMicrosoftブースには、実に多くの来場者が詰めかけ、それこそ身動きがとれないほど混雑していた。特にWindows 2000関連の展示は注目を集めており、多くの来場者が盛んに質問しているのが目に付いた。

 ただ、それ以外の展示で特に目に付いたものはなく、CESで展示されていたClearTypeの対応のMicrosoft Readerがバージョンアップして、Windows CE対応版だけでなくPC(Windows 98)上でも動作していた。また、カシオのCASSIOPEIA E105を利用した、Palm-size PC上でのデモも展示されており、製品化にまた一歩近づいたという印象を持った。

Microsoftのブースに展示されていたClearTypeに対応したMicrosoft ReaderのWindows版を出展。さらにはPalm-size PCでもデモンストレーションを行なった


●三洋電機はメガネなしで3D表示可能なディスプレイ

 三洋電機は、特殊なメガネを使わないでも3D表示が可能になる「イメージスプリッタ方式メガネなし3Dディスプレイ」の展示を行なった。具体的にはディスプレイの上部に備え付けられたCCDカメラが頭や眼の位置を計測し、対になっている液晶上のドットのどちらかが点灯するという仕組みになっており、実際に筆者も試してみたが確かに立体的に見える。ただ、頭をちょっとでも動かすと3D表示されなくなったり、ほんの少し見続けただけでも眼が痛くなってきた。そういう意味ではこれからさらに改善の余地があるだろう。

 シャープは最新Windows CE搭載携帯端末「HC-7000」を公開した。日本ではTeliosのブランドでHC-VJ1Cとして発表されている。ちょうど東芝のLibretto ff(こちらはPCだが)と同じようなデザインになっている。液晶のサイズは7.1インチで800×480ドット。

 また、HewlettPackardのブースにはWAPサービスに対応したカーステレオが展示されている。WAPブラウザ、音声認識機能を持ったE-MAIL機能、ヨーロッパ各国のカーナビゲーションシステムに対応するインターフェイス、CDプレイヤー、オーディオCDをMP3に変換しメモリにダウンロードする機能など多彩な機能が搭載されている。展示員によれば出荷時期などは未定で、これはあくまでデモということだったが、期待したい製品ではある。

上についているのが頭の動きなどを察知するCCDカメラ。実際にディスプレイの前に座ると、それを関知してディスプレイの表示を変更し、人間の眼に立体的に見えるように調節する シャープのHC-7000。日本で発売されているHC-VJ1Cの英語版 HewlettPackardのブースに展示されていたWAPサービスに対応したカーステレオ

□CeBIT 2000ホームページ
http://www4.cebit.de/index_e.html

(2000年3月1日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp