Jacob Javits Convention Center |
会場:Jacob Javits Convention Center
データベースメーカーSybaseのブースに、メーカー名の入っていないノートPCが2台。それは、TransmetaのCrusoueを使った試作機であった。Sybaseは、Transmetacを支援する契約を結び、ワイヤレスネットワーク接続を使ったデータベースアクセスのデモ(Linux上で動作する)を展示したのである。
展示機では、RedHat版のLinuxが動作しており、ちょっとさわったところ、パフォーマンスはそこそこといった感じだった。推測は難しいが、少なくともPentium II 200MHz以上は達成している印象。
CrusoeノートPC。薄型で、ファンらしきものが見あたらない以外は、ふつうのノートPCと変わらない。銀とグレーの2色あり、キーボード手前部分のデザインが違っている。横に飛び出しているのは、無線LANカードで試作機とは無関係 |
●サーバー向け中心のハードウェア展示
これ以外のハードウェアでは、Pentium Xeonの8プロセッサマシンや、RAIDドライブ、高速ネットワーク機器などサーバー向けの機器が中心。
気になったのは、VXA Technologyのテープドライブ。8mmビデオテープ(テープ自体は、蒸着テープを使用)を使い。独自フォーマットで非圧縮33GB、圧縮時66GBと、最近の巨大化するハードディスクにここしばらくは対応可能な容量を持ち、ドライブがストリートプライスで899ドル程度という。Exa-Bytesのものとはフォーマットが違うとか。
VXAの66GBテープドライブ | Pengin Computingの8way Xeonマシン。8つのプロセッサがフロントパネルの後ろに並ぶ |
●WindowsをエミュレートするVMware など
ソフトウェア関連では、LinuxやWindows NTの上に仮想マシンを作り、さまざまなOSを動作させることができるVMwareが出展していた。このソフト、Windows 2000のインストール画面のスクリーンショットが撮れると最近、PC関連の出版社では人気のソフトでもある。仮想マシン内からネットワークを使えるように仮想ネットワークカードの機能を組み込むなど、実用性も高い。
このほか、古くからUNIX用のオフィスソフトを手がけるApplixwareが、Office for Linux 5.0をデモしていたり、IE、Netscapeに続き、第三のWWWブラウザとの呼び声も高いOperaのデモが、Troll Tech(LinuxのKDEデスクトップ環境で使われているQtというGUIライブラリの開発元)にあるなど、全体としてLinuxのデスクトップ環境も進歩しつつあるようだ。
なお、日本からは、日本Linux協会などが日本ブースとして展示を行なっていた。
VMwareのブース。狭いが、多くの来場者で混んでいた。画面は、Linuxの中でWindows 98を動かしているところ |
●VA Linuxの基調講演
2日目(2月3日)の基調講演は、LinuxシステムベンダーのVA Linux SystemsのCEO Larry Augustin。前日のLinus Torvaldsほどではないが、多くの観客を集めた。同社は、Linux関連企業では、Red Hatに続いて2社目にIPO(株式公開)を成功させ、業界での注目度は高い。ひとしきりOpen Sourceとビジネスについて述べたあと、同社が協力しているプロジェクトでもあるTrillianのIA-64用Linuxをデモ。
そのあと、オープンソース情報を提供しているANDOVER NETの買収を発表した。このANDOVER NETは、昨年6月にオープンソースの情報提供サイトであるSlashDotを買収し、IPOを成功させたところ。
VA Linuxは、昨年、Linux.comドメインを買い取り話題を呼び、さらにオープンソースの情報提供サイトも持っている。同社は、ハードウェア中心だったが、その意味では、サービス系への進出という予兆はあったのだが、すでにIPOを果たしたANDOVER NETの買収とは、ちょっとびっくり。業界では賛否両論という感じ。
VA Linux SystemsのCEO Larry Augustin | 舞台にならぶ、ANDOVER NETのメンバーたち。急遽買収が発表された |
●ディストリビューション各社の展示
Conectiva Linuxのブース。説明員もラテン系でのりがよかった |
Open LinuxのCalderaブース。日本語版の紹介のパネルになぜか閉じ鍵かっこだけが…… |
slackwareのブース。開発者自ら、説明にあたっていた。日本のファンの中には思わず記念写真を取る人も |
フランスのMandrakeのブース。次期バージョンでは、日本語対応も行なわれるとか |
SuSEのブース。Compaqのほか、Motorolaなどとも提携。Power PCにも移植するのだとか。また、配布メディアにDVDを採用 |
Storm LinuxのStormix社。比較的新しいディストリビューションだが、注目度も高い |
かなり大きいRed Hatのブース。開発ツールで有名なCygnusを買収し話題になったばかり |
Corelのブース。デモは、ブース内のミニシアターが中心で、じっくりとはものをみることができなかった。デモをみる限り、WordPerfect officeはかなり完成しているよう |
これで、SUNのStar OfficeやAplixのLinux Officeと併せ、Linux用オフィススウィートが3つそろうことになる。
TurboLinuxのブース |
●アメリカのショウに着ぐるみは必須?
アメリカのショウにいくと、日本のように商品も理解していない、コンパニオンのお姉さんがいない代わりに、着ぐるみを着た人がかならずいてチラシなどを配っている。
会場では、LinuxのシンボルのペンギンやSuSEのカメレオン(カエルみたい)、Hackerに人気のマンガ“User Freindly”(大きな毛玉というか、隣のトトロの真っ黒黒助といった感じ)、BSDのアイドル悪魔がいた。このほか、トンガラシの格好をした人も。また、会場で宣伝の入ったTシャツの配布は当たり前、中には「現金つかみ取りマシン」まで持ち込んでいるところもあった。
□LinuxWorld Conference & Expoのホームページ
http://www.linuxworldexpo.com/
(2000年2月7日)
[Reported by 塩田紳二]