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塩田紳二の

LinuxWorld Conference & Expo in New York Cityレポート

Jacob Javits Convention Center
2月1~4日 開催(現地時間)

会場:Jacob Javits Convention Center



 2日目となる2日は、朝一番からLinuxの開発者Linus Torvaldsのキーノートスピーチが行なわれた。朝早くからのスピーチに関わらず、会場一時間前にはすでに列ができており注目度の高さを裏付けた。客層はプログラマ風の人がほとんどで、背広姿の人はさほど目立たず「エンジニアに人気のLinux」という感じは変わらない。

 Linus氏は、Linuxが冷蔵庫からスーパーコンピュータにまで使われているという話のあと、次の安定バージョン(Linuxでは、小数点以下1桁が偶数のものは、一般利用する安定版、奇数のものをさまざまな新機能を組み込んで実験する開発版としている)である2.4について語った。2.4の目玉は、現在の開発版2.3で実装されたUSBやIEEE-1394のサポートとなるという。もともと、2.4は昨年中に出荷される予定だったが、ようやく目処がたったようで、Linus氏がショウから帰ったら、2.4の暫定版を出す予定と述べていた。このほか、UNIXワークステーションなどが装備しているジャーナルファイルシステム(ファイル操作自体を記録して、システムクラッシュ時などに復旧しやすくするためのファイルシステム)なども、現在RaiserFSとExt3などがベータテスト中で、年内にはある程度利用できるようになるとした。

 なお、25,000ドルの賞金が付く、IDG/Linus Torvalds Community Awardは、XFree86へ贈られることになった。

Linuxの開発者Linus Torvalds氏 質疑応答にも丁寧に答える。穏和な感じだが、意外に厳しい答えをすることも Linusの名前を冠するアワードは、定番のXFree86(X Window System)に与えられた


●カンファレンスではIA-64用Linuxをデモ

Linux on IA-64というTrillian Projectのカンファレンスで、デモ用に使われたItaniumマシン。HP製

 IA-64(Itanium)用のLinuxについてのカンファレンスをレポートしよう。IA-64用のLinuxについては、VA LinuxやIBM、IntelなどからなるTrillian projectが共同で開発にあたっている。今回、ある程度の完成をみたため、ベータ版として公開されることになった。

 会場では、実際に機材が持ち込まれ、デモが行なわれた。画面をみる限りは、単なるLinuxなのだが、動作はたしかに早い。'99年の8月に統一的なIA-64 用のLinuxを開発すべく結成された同プロジェクトだが、開発は順調なようだ。なお、IA-64版のLinuxは、IA-32版のLinuxプログラムが実行できる。


●コンピューターメーカーはIBM、Sunなど多数が出展

 会場は、大小さまざまのベンダーが出展している。コンピューターメーカーの大手は、Compaq、DELL、HP、IBM、SGI、SunSUNなどが出展している。なかでもIBMのブースは大きく力が入っていた。インフレームのSystem/390用Linuxのデモまで行なわれている。なおIBMは、Via Voice、Thin Client、ジャーナルファイルシステムへの協力など多数の発表も行なった。

 SGIのブースも大きく、当日発表したLinuxサーバーや高速グラフィックアクセラレータを装備したマシンを展示。Linux中心へのシフトが本格的になったように感じられる。

 Compaqは、旧DEC系のAlphaプロセッサマシンと、最近発表したiPaqなどでLinuxを展示。ただ、IBMやSGIと比べても、ブースそのものは小さくはないのだが新鮮味に欠ける。

メインフレームであるSystem/390で動作するLinuxのデモ CompaqのAlphaサーバー。ブースは、一面がAlpha、反対側がx86ベースに分かれる 会場内で一番大きいと思われるSGIのブース

 Dellは、LinuxがプリインストールされたノートPCを展示していた。デスクトップに比べてノウハウが必要なノートPCを用意するところには意気込みが感じられる。

 HPによるIA-64関連の展示は前述のカンファレンスでのデモのみ。ブースには、サーバーや高速グラフィックアクセラレータ装備のマシンがならぶ。

 Sunは、どちらかというとJavaやSolarisなどソフトウェア中心。最近発表したLinux版のJavaや、Linuxとの互換性を高めたSolarisなどを展示。

Linux on IA-64というTrillian Projectのカンファレンスで、デモ用に使われたItaniumマシン。HP製 IBMのブース。規模も大きく、作りも凝っている。Via Voiceなどの展示も行なっていた 昨年発表したユニークな形状のiPaq。これでもLinuxのデモを行なっている

Dellのブースは、小さくはないのだが、会場の一番奥にあり場所的に不利。そのためか人だかりが少ない感じ Dellのサーバーマシン HPのグラフィックアクセラレータ搭載マシン

Sunのブースは、ソフトウェアが中心。JavaとSoralisなどを展示 昨年末に発表したLinux用のJava開発環境。Sun側のミスで、コミュニティを怒らせてしまったが、今後はどうなるだろうか? Athlonを使った高速サーバーシステム。こうした汎用PCをベースにシステムを構築して販売する企業は、多いようである

Linuxを使ったシンサーバーで著名なCobaltは、同社のマシンを巨大にしたブースで登場。Linuxで成功した会社の1つと言えるだろう サウンドカードで有名なCreativeのブース。同社は、Linux版ドライバを自社開発して提供中 Linux関連企業として2番目にIPO(株式公開)に成功したVA Linuxの大規模サーバーシステム

□LinuxWorld Conference & Expoのホームページ
http://www.linuxworldexpo.com/

(2000年2月3日)

[Reported by 塩田紳二]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp