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Platform 2000レポート

Micron TechnologyがDDR SDRAM対応の
Samurai DDRチップセットを公開

1月26~27日 開催(現地時間)

会場:Silicon Valley Conference Center

 Platform 2000は、CPUベンダやチップセットベンダのみならずメモリベンダにとっても格好のアピールの場となっており、特にIntel/Rambus連合のDirect RDRAM陣営の躓きにより勢いがつきつつあるDDR SDRAM陣営は、DDR SDRAMのアピールや技術資料などの開示を積極的に行なっていた。このレポートでは、DDR SDRAMや次世代SCSIなどCPUやチップセット以外で目に付いた最新技術についてお伝えしていく。


●Micron TechnologyはSamuraiチップセットの最新版を展示

Micron TechnologyのSamurai DDR
 Micron Technologyはメモリチップの製品で有名で、SDRAM、SRAM、Direct RDRAMなど多種多様なメモリチップを生産しており、DDR SDRAMにも力を入れている。

 今回行なわれたDDR SDRAMに関するセミナーは、どのセッションも出席者の数が多く、参加者がDDR SDRAMに注目していることが伺える。その中でMicronは「Current DDR-Based Systems」というセッションを行ない、同社が開発してきたDDR SDRAMをサポートしたチップセット「Samurai DDR」の計画を明らかにした。MicronのSamuraiチップセットは、P6バス用のノースブリッジとして開発されてきた製品で、'97年にリリースされた製品を最後に新しい製品はリリースされていなかった。今回発表されたSamurai DDRは2年間の沈黙を破って発表されたニューバージョンで、やはりノースブリッジのみが提供される(サウスブリッジはPCIバスの汎用品が利用される)。

 スペックは以下のとおり。

・P6バス(FSBクロックは100/133MHz、デュアルCPUサポート)
・PC-2100/PC-1600(DDR SDRAM)サポート
・AGP(1X/2X/4X)
・32bit/64bit PCIバスサポート

 デュアルCPUや64bit PCIバスがサポートされていることからもわかるように、本チップセットはサーバー/ワークステーションなどがターゲットのチップセットで、残念ながら一般ユーザー向けの製品ではない。そういう意味ではIntel 840と同じような位置づけのチップセットだと考えるとわかりやすいだろう。Samurai DDRがユニークなのは「デュアルノースブリッジ」と呼ばれる機能で、2つのノーブリッジをマザーボード上に搭載することで、メモリのバンド幅をCPU毎に確保することが可能になっている。

 MicronのブースにはこのSamurai DDRをサポートした2枚のリファレンスマザーボードが展示されていた。1つがDETROITというコードネームのマザーボードで、CPUスロットはデュアルのSlot 1、FSBは133MHzに対応、シングルのSamurai DDRというスペックになっている。さらにもう1つがMADISONというコードネームのマザーボードで、CPUスロットも133MHzに対応したSlot 2(つまりはCascadeに対応している)が2つ、ノースブリッジが2つ、AGPのスロットも2つというユニークな設計になっている。実際にSamurai DDRを搭載した製品が登場するかどうかは現時点ではわからないが、とにかくユニークで、気になる製品ではある。なお、MicronによるとAthlonに対応したSamuraiの計画もあるそうで、Athlonユーザーも要チェックだろう。

MicronのSamurai DDRを搭載したデュアルSlot 1マザーボードDETROIT デュアルノースブリッジに対応したMicronのマザーボードMadison。AGPスロットが2つ搭載されているなど、とてもユニーク


●名前の混乱に象徴されるDDR陣営が越えなければならない壁

Hyundaiのブースに展示されていたPC-2100のメモリモジュール。ここでもPC266との表示が見られる。奥に小さくシールで「PC-2100」と書いてあるのが、DDR SDRAMの名前をめぐる混乱を象徴している
 今回のPlatform 2000で話題の中心は、間違いなくDDR SDRAMだろう。会場にいると、DDR SDRAMが次世代メモリの主流と思える内容だった。しかし、筆者はそう話は簡単ではないと思う。

 例えば、DDRの名称について統一し切れていない。Micron TechnologyのDRAMプロダクトマーケティング DRAMアプリケーションエンジニアリングマネージャのスコット・スケーファ氏によれば「PC266やPC200などはメモリチップのことを指している。これに対してPC-2100/PC-1600はそれらを搭載したメモリモジュールの規格のことだ。これらの名称はJEDECで統一を図っているが、一部で混乱が起きているのは事実。よい解決法があれば教えて欲しい」と述べるなど、名称についての混乱が起きていることを認めた。例えば、PC266(133MHzのDDR SDRAM)を搭載したメモリモジュールのことを「PC-2100」とよぶということになるわけで、実にわかりにくい。

 こうした名称の混乱が発生する原因は、業界標準を複数のメーカーが決めている、つまりIntelのような強力な独裁者がいないからだ。確かにこれは民主的なやり方かもしれないが、しかしそういうやり方は混乱を招き規格の決定までに時間がかかる。これでは、いつになったら製品化できるのかは、誰にもわからない。これに対して、Direct RDRAM陣営はIntelとRambusだけで物事を決めていけるので、すべてIntelやRambusに従ってさえいれば、きちんと製品化できる訳で、例えば互換性チェックもIntelのテストを通りさえすればよい。

 このように、現状では誰がDDR SDRAMのイニチアシブをとっているのかが明確ではない点が、DDR SDRAM陣営が抱えている問題点と言え、DDR SDRAMを本当に普及させたいのであれば、早期に解決しなければいけない壁と言えるだろう。


●AdaptecがUltra320やUltra640など次世代SCSIについて言及

Adaptecのセミナーで表示されたSCSIの将来の規格

 1月29日のAKIBA PC Hotline!では現時点では最高速のSCSIの規格であるUltra160(160MB/秒)に対応したホストカードやHDDなどが発売されたことを伝えていたが、Platform 2000では早くもその次世代であるUltra320(320MB/秒)やUltra640(640MB/秒)についての説明が行なわれた。

 Adaptec アドバンスドプロダクトグループのズーウジ・クズバッシュ氏によると、Ultra320は、PCI-Xと同時進行で考えられているという。というのも、Ultra320のホストカードを2枚挿した場合(320MB×2=640MB)、64bit PCIの転送速度(533MB/秒)を超えてしまうからだ。そのため、Ultra320のホストカードはPCI-Xの拡張カードとして登場するそうだ。なお、Ultra320の製品が登場するのは早くても2001年で、今年のCOMDEX/Fallではサンプルが登場するという。なお、Ultra640に関しては2003年の製品化が予定されている。一般ユーザーにはあまり関係のない話ではあるが、SCSIマニアは今年のCOMDEX/Fallが要チェックだ。

(2000年1月31日)

[Reported by 笠原一輝]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp