Click

西川和久の
「たまにはこんなPCも!! 小型ベアボーンキットBKi810」


My Desktop

 現在、Intel Pentium IIIとAMD Athlonがスピード競争真っ只中。1GHzも目前に迫っている。しかし世の中みんながみんな、そんな超高速PCを使う必要もなく、コストパフォーマンスやスペースファクタも重要であろう。そこで最近秋葉原などでよくみかける小型ベアボーンキットを購入したので、そのレポートをお届けする。

P.S 今年も宜しくお願いします!!

Text by Kazuhisa Nishikawa


●BKi810はどんなPC!?

BKi810
極めてシンプルな小型PC。このスタンドも付属する。もちろん横置きもOK。

 筆者はどうも毎年年末になると、小型PCが欲しくなる癖があり、'98年末はASUSのP2B-Nを使ったNLXを組んだ。この時のスペックはCeleron 300A(FSB100MHz/Overclock 450MHz)、HDD IBM DTTA351010、128MB DIMM。確か7万円程度かかったと思うが、現在自宅のメインPCとなっている。そして'99年年末は、今回紹介するBKi810(通称、BookPC)だ。

 このBKi810は、Intelのi810チップセットを搭載したSocket 370専用マザーボードが使われている。標準でサウンド、ビデオ(i810ビルトイン最大1,600×1,200ドット/256色、フルカラーは1,280×1,024ドットまで)、100BASE-TX/10BASE-T、56kbpsモデム、USB×2、52倍速CD-ROM、3.5inch FDDと、PCIやISAバスは全くないとはいえ、必要十分なデバイスを装備。秋葉原界隈では2万5千円前後で販売しているベアボーンキットで、OS、CPU、HDD、メモリを加えればPCの完成となる。筆者の場合は、HDDにMaxtor 91021U2(但し、ATA/33接続)、128MB DIMMを購入、そして手持ちのCeleron 300Aと、トータルでも5万もかからず、一台組めてしまった。各パーツのコストを抑えれば更に安く上げるのも可能であろう。

 特徴としては、

デザインがすっきりしている。また同クラスと比較してもコンパクト。
CD-ROMドライブがスリムタイプではなく、普通のCD-ROMドライブなので、後からCD-RやDVD-ROMドライブにするのが容易。
BIOSのセットアップでFSB66/75/83/100MHzの設定が可能。但し、VCoreの項目はなく、Overclockに失敗すると、マザーボード上にあるジャンパーピンを触らなければならず面倒。筆者は真面目に(?)FSB66MHzで使用している。
PAL/NTSCのVideo/S-Video出力がある。また、1,280×1,024ドット/フルカラーモードでもリフレッシュレートは75HzまでOK。画質も良好。
簡単なベンチマークの結果は以下の通り。最新パーツを搭載したPCと比べればかなり見劣りするものの、事務処理やInternet端末としては十分な性能だろう。主に、Office2000、Netscapeなどを使っているが、速度的な不満は全くない。
シリアルポートがない。モデムと外部には出ていないが、IrDAに2ポートとも割り当てられている。
× メーカーのHPがない。BIOSや各ドライバのアップデートができない。
× FC-PGAのPentium IIIには未対応。
× ATA/66未対応。

と、こんな感じである。特にメーカーのHPがないのはかなり気になるところであるが、これについては裏技を後述する。

【HDBENCH Ver.3.22の結果】

CPU Integer Float      
  13,696 13,644      
Memory Read Write Read&Write    
  6,547 10,083 9,101    
Video Rectangle Text Ellipse BitBlt DirectDraw
  10,754 10,597 2,378 155 37
HDD  Read Write FileCopy    
  22,236 20,236 2,510    

※OSはWindows 2000 Professional RC3(Build 2183)、Videoは1,024×768ピクセル/16ビットカラーでの測定

付属品
本体の他にキーボード、マウス、外部スピーカーも付属。CD-ROMにはデバイスドライバなどが入っている。
各コネクタ
唯一困るのはシリアルポートが全くないことか!?
本体内部
小型の割には中はすっきりしている。ちょっとスカスカで拍子抜け!?

●ちょっと特殊なデバイス

デバイスマネージャ
Windows 2000のシステムプロパティ
 もともと筆者は、このマシンを業務用で使っていたDual Pentium Proマシンと入れ替えるつもりだったので、OSは迷わずWindows 2000 Professionalにした。インストール自体は非常に簡単で、CD-ROMブートし新規インストールで一発だ。ただ肝心のサウンド、ネットワーク、モデムについては標準対応していないものばかり。OSのセットアップ終了後、個別にインストールする必要がある。

 付属のCD-ROMにはWindows 3.x、Windows 9x、Windows NT、Windows 2000、Netware、OS/2、Linuxなど、多くのドライバが含まれるが、Windows 2000のドライバについてはβ版。更にモデムに関しては未対応と、動くには動いているものの、Windows 2000出荷後、正式対応版と入れ替えるのが望ましい状態だ。

 ところが、先に書いたようにBKi810のHPはどこにもなく*1、ドライバのアップデートは不可能。「これは困った!!」と、デバイス名を頼りに検索し、適合するドライバのあるHP発見した

CMI8X38 Modem Driver
PCI Audio -CMI8X38 Driver for I810
DAVICOM PCI Fast Ethernet LAN Driver

 ここにあるWindows 2000又はWindows NT 5.0のものを使うとOKだ。既にこの状態で1ヶ月近く使っているが、今のところ問題なく動いている。但し、あくまでも裏技なので、個人のリスクで行ない、筆者やメーカーへの問い合わせはしないで欲しい。BIOSに関しては該当するHPをまだ見つけていないものの、とりあえず先日発表のあったCeleron 533MHzまでは対応済み。動作上の不都合もないので特にアップデートの必要性は感じていない。

*1 販売店レベルのHPはある。検索エンジンでBKi810をキーワードに探せば見つけることができる

【各デバイス・リスト】

サウンド C-Media CM8738
ネットワーク DAVICOM 9102 PCI
モデム HSP56 MicroModem

●総論

 全体的には非常に良くできたPCであり、スペックの範囲内で動かす分にはとても満足できる仕上がりだ。ただ、製造元のHPがないのはサポート面でかなり不満。もちろん、販売店レベルで対応しているケースも多く、現実問題としてはそれほど困らないかも知れないが、このInternet真っ盛りのご時世、サポート用のHPぐらい自社で持って頂きたいと思う。

[追記]
読者の方からBKi810のHPがあることをご連絡頂いた。URLはhttp://www.pcchips.com/bookpc.htmlである。付属のマニュアルなどには一切記述が無く、販売店からはHPが無いと聞いた上で、12月中旬、筆者が検索エンジンを使い探した範囲では見当たらなかったため、今回のような記述になったことをお詫びすると共に、ご連絡頂いた読者の方々にはお礼を述べたい。但し、現状ではドライバも含めあまり有効な情報は掲載されていないのが残念である。Coppermine-128Kが出た時にH/W的に対応可能であれば、BIOSアップデートに期待したい。(2000/01/22 2:00AM)

[Text by 西川和久]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp