鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第38回:7月6日~7月10日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


7月6日

■■ラディウス、Windows/Mac両対応のDVキャプチャカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980706/radius.htm

AVハードディスク(AV=Audio Visual)

 動画データや音声データの記録再生用に最適化されたハードディスクドライブ。
 長時間にわたって大量のデータを転送する関係から、高速であると同時にコンスタントに安定したデータ転送を保証するための機構や素材が用いられている。

 一般のハードディスクドライブを使用した場合に特に問題となるのが、定期的に行なわれるサーマルキャリブレーションである。一般的なハードディスクは、内部の温度によって変化するディスクの盤面に適応させるために、電源投入時および稼働中に、サーマルキャリブレーションという補正が自動的に行なわれる。チェックは短時間で終わるが、この間は一時的に転送が中断されるため、連続転送が命のAVデータでは、ドロップアウトやクリックノイズを招く要因となる。

 AV仕様のハードディスクでは、このサーマルキャリブレーションを排除あるいは、転送中は行なわないようにし、常に一定のスピードで連続転送できるようにしている。


■■コダック、オンライン画像サービス「Kodak KiDS」を開始(INTERNET Watch) http://sphere.watch.impress.co.jp/internet/www/article/980706/kodak.htm

フォトCD (Photo CD)

 Eastman KodakとPhilipsが共同で開発し'90年に発表した、ネガやスライドの写真をCDに記録するシステム。
 フィルムをスキャンし、フォトCDディスク(CD-Rと同様の追記型のディスク)に記録するシステムで、サービスは通常のプリントと同じく街のラボなどで受け付けており、出来上がったディスクは、パソコンに接続したCD-ROMドライブやフォトCDに対応した家庭用ゲーム機などで再生することができる。

 フォトCDの大きな特徴は、複数の解像度の画像がひとつのファイルにパックされている点で(64BASEは別ファイル)、用途に合せた解像度の画像を取り出せる様になっている。
 フォトCDには3種類のタイプがあり、一般的なマスター・フォトCDの場合には、35mmフィルムを元に、128×192ピクセルから2,048×3,072ピクセルまでの5段階の解像度で記録。1つのファイルは約4.5MB程度に圧縮され、1枚のディスクに最大100枚の写真が収録できるようになっている。

 ちなみに他の2つは、120(ブローニーサイズ)や4×5(4インチ×5インチ)サイズのフィルムを、4,096×6,144ピクセルの高解像度で記録する「プロ・フォトCD」と、画像や音声を組み合わせたインタラクティブなタイトルの作成をサポートする「フォトCD・ポートフォリオ」という構成になっている。

【フォトCDがサポートする解像度】
名称ピクセル数マスタープロポートフォリオ
1/16BASE128×192
1/4BASE256×384
BASE512×768
4BASE1,024×1,536
16BASE2,048×3,072
64BASE4,096×6,144

□Kodak Photo CD Menu
http://www.kodak.com/US/en/digital/products/photoCD.shtml
□Photo CD Acquire Module (ソフトウェアダウンロード)
http://www.kodak.com/global/en/service/software/pcdAcquireModule.shtml



JPEG(Joint Photographic Experts Group)
ジェイペグ

 静止画像のデータ圧縮方式の標準化を行なうために設立された委員会の略称、およびそこで標準化された圧縮技術の名称。
 JPEG委員会は、ISO(International Organization for Standardization~国際標準化機構)とITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector~国際通信連合電気通信標準化部門)の共同プロジェクトで、グレイスケールやフルカラー画像等の階調表現を行なう画像の符号化を扱っている(白黒2値はJBIG~Joint Bi-level Image Experts Group~という別のプロジェクト)。

 JPEGには、データを元通りに復元できる可逆圧縮(loss-less)と、一部の情報を切り捨てることによって効率的に圧縮して行く非可逆圧縮(lossy)とがあるが、一般には後者の非可逆圧縮が用いられており、インターネット上のフルカラー画像やデジタルカメラの画像フォーマットとして広く浸透している。

 JPEGの非可逆圧縮は、自然画は色や明るさが急激に変化する部分が少なく、隣接するピクセルの多くは近い値を示すという、ピクセル間の相関性を利用したもので、画像を小さなブロックに分け、ブロックを代表する成分を残して精細な成分を率先して削り落として行くことによって、画像の劣化を抑えつつ高い圧縮率を実現している。具体的には、ピクセルデータを離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)という方法を使って、変化の度合を示す係数の分布に変換。これを特定の値で割り算して余りを丸め、得られた結果をさらに、ハフマン法(出現率の高い値に短いビットを、出現率の低い値に長いビットを割り当てて圧縮する手法)を用いて圧縮している。


7月8日

■■NEC、250MHz対応PBSRAM
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980708/nec.htm

PBSRAM(Pipelined Burst SRAM)
パイプラインバーストエスラム

 RAM(Random Access Memory)は、1つのメモリセルを1個のトランジスタで構成し、これに電荷を蓄えさせているDRAM(Dynamic RAM)と、数個のトランジスタで論理回路(フリップフロップという)を構成しているSRAM(Static RAM)とに大別される。DRAMは中身が単純なだけに、安価で大容量化が容易なのだが、蓄電池と同じスタイルなので、再充電(リフレッシュという)を繰り返さないと記憶内容を保持できないという欠点がある。一方のSRAMの方は、高価で大容量化が難しいものの、通電し続ける限り記憶内容を失わないという性格から、高速化がたやすく、消費電力も抑えることができ、高速性が要求されるキャッシュ用のメモリや、バッテリでバックアップしておく必要のあるメモリなどによく用いられている。

 Pentium以降のプロセッサでは、1回のアドレス指定で複数のデータ(64bit×4個)をまとめて転送するバースト転送がサポートされ、メモリ間の連続転送が高速に行なえるようになった。これに呼応して、マザーボード上の外部キャッシュには、内部にアドレス計算を行なう回路を設けたバースト転送をサポートするタイプが好んで使われる様になる。このSRAMは、ちょうど工場の流れ作業の様に、データを送り出す一方で次のアドレス生成するというパイプライン処理を行なうことから、パイプラインバーストSRAMと呼んでいる。


7月10日

■■キャラベル、CD-R/PD兼用ドライブを出荷。秋葉原店頭に並ぶ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980710/caravel.htm

PD(Phase change Disk)
ピーディー

 松下電器産業が'95年にリリースした、書き換え可能な大容量リムーバブルディスク。メディアには、CDと同サイズの12cmのディスクを使い、CD-RWやDVD-RAMと同じ相変化(Phase Change)記録方式を用いて650MBの容量を実現する。

 PDディスクの記録層には、高いパワーで急激に加熱/冷却を行なうと非結晶状態に、低いパワーでゆっくり加熱/冷却を行なうと結晶状態に変化する記録材が用いられており、照射するレーザーのパワーを調整することによって、データを結晶状態の変化として記録する(記録層を物理的に変化させる関係から、書き換え回数に限界がある)。結晶状態に変化した部分は、非結晶の部分よりも光の反射率が高くなるため、記録された内容は、反射光の変化として読み取ることができる(メディアや読み取りの機構はCDと似ているが、あくまで対応ドライブが必要)。

 製品としてのPDドライブは当初からCD-ROMドライブの機能も兼ね備え、数社から発売されており、メーカー製パソコンの標準搭載ドライブとしても使用された。

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp