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【DEMO 09レポート その2】

電池駆動ネットワークカメラやARM搭載のタッチスクリーンノートなど

会期:3月2日~3日(現地時間)

会場:The Desert Springs, A JW Marriott Resort & Spa



●電池駆動も可能な個人向けネットワークカメラ

 ライブカメラやセキュリティ用途に利用されるネットワークカメラ。個人向けの製品も多数発売されており、それほどニッチな存在というほどでもない。こうしたネットワークカメラは、単体でネットワークやWebサーバーの機能を有するのが特徴となる。

 一方で、その情報をインターネット経由で取得するためには手間がかかる。専用のソフトウェアを必要とするものもあるし、Webサーバーを内蔵した製品であっても外部から参照するためにルータのポートフォワーディングであったりDDNSの設定を施す必要がある。また、無線LANを内蔵するネットワークカメラも存在するが電源ケーブルは接続する必要がある。複数台設置するならカメラごとにケーブルを引かなければならないわけだ。

 こうした負担を軽減させたことを強くアピールする個人向けネットワークカメラが、Avaakが紹介した「vue Personal Media Network」である。この製品はネットワークへの接続を行なうゲートウェイと、このゲートウェイに接続されるネットワークカメラから構成される。

 ネットワークカメラとゲートウェイ間はワイヤレスで接続されるうえ、カメラはバッテリ駆動が可能。接続可能範囲は300フィート(約91.5m)以上となっており、ホームユースを主要ターゲットに据えた製品であることを考えれば十分なレベル。バッテリはCR123電池が使用され、およそ1年の駆動が可能という。

Avaak CEOのGioia Messinger氏 ネットワークカメラ(左)とゲートウェイ(右)。カメラは28gと非常に小型 稼働中のゲートウェイ。インターフェイスはLANのほかにUSBポートを装備。USBは無線LANモジュールを接続するためのもの

 取り付けも容易に行なえるようになっており、カメラを取り付けるためのスタンドはカメラ本体とマグネットによって着脱が可能。スタンドを両面テープなどで壁に貼り付け、そこにカメラを付ければ設置が完了する格好になる。

 この製品がネットワークカメラとして独特なのは、それ自身がWebサーバー機能を持っていたり専用アプリケーションを利用してローカルで視聴するわけではなく、データはすべてWebスペースを介して配信されるのが本製品の大きな特徴といえる。ゲートウェイはルータのDHCPサーバーからIPアドレスを受け取りインターネットへ接続。同社が提供するWebスペースへ、自動的に送信を行なうのである。通常の利用範囲であれば、ユーザーがゲートウェイの設定を行なう必要はないうえ、全ユーザーを自社が管理するWebスペースへ誘導できるというビジネス面も考えられた仕様といえるだろう。

 視聴できる動画は320×240ドット/7fpsまたは160×120ドット/15fpsのFLV形式のもの。静止画は640×480ドットのJPEGとなる。ゲートウェイへは最大50台のネットワークカメラを接続することができる。

 ちょっと心配になるのはセキュリティ面だが、ネットワークとゲートウェイ間は同社が特許を持つFrameMeshというメッシュネットワークプロトコルで接続されるほか、インターネットへのアップロードやWebスペースのセキュリティも考慮しているという。

 Webスペースでは、1つのゲートウェイに接続されているカメラからライブ視聴を行なうカメラをドラッグ&ドロップで指定したり、指定した友人へのライブ配信、静止画共有なども可能。こうした共有機能の強化も予定されており、FlickerやGoogle Mapへのアップロード機能なども用意されることになる。

 価格はゲートウェイとネットワークカメラ1台のセットで299ドル。追加のカメラが1台あたり99ドルとなる。発売は今年初夏が予定されている。

車のラジコンにカメラを乗せて壇上に登場。ワイヤレス製品のメリットを端的にアピールした スタンドを両面テープで取り付け、スタンドとカメラをマグネットによって固定するシンプルな方法 Webスペースの左側にゲートウェイに接続されたカメラが一覧表示されるので、ライブ視聴したいカメラを右側のエリアへドラッグ&ドロップする
実際のライブ配信デモ。複数台カメラの映像を同時に視聴することもできる ライブ映像や撮影された静止画の共有機能も備える

●Qualcomm MEMS TechnologyがMirasol Displayをアピール

 米Qualcommの子会社であるQualcomm MEMS Technologyのデモでは、同社が提供するMirasol Displayのアピールが行なわれた。Mirasol Displayは液晶(LCD)に代わるディスプレイとして、主に携帯電話など屋外で使用することが多いデバイスに向けたものとなる。

 Mirasol Displayはバックライト光源を必要としない反射型のディスプレイとなる。基本的な構造はフィルムを貼り付けたガラス板と反射板の2枚から成り、この板の距離を電気的に調節。2枚の板の間が狭くなると黒く、逆に間隔を広げるとその距離によってさまざまな色を表現できる。

 カラーディスプレイの場合は、1画素あたりに複数の板を用意し、それぞれが赤、青、緑の発色を行ない、それを組み合わせることで多彩な色を表現する。バックライトを必要としないほか、この板の維持に必要な電力が極めて少ないことから、液晶に比べて大幅な消費電力抑制につながるという。

 もう1つのメリットとして挙げられたのは屋外での視認性である。バックライトを用いた透過型ディスプレイ一般のデメリットとして、太陽光など強い光のもとでの視認性が著しく落ちるという点がある。反射型ディスプレイであるMirasol Displayはこうした状況に強い。屋外で利用されることが珍しくない携帯電話などのモバイルデバイスに向いているという理由だ。

 一方で、反射型ディスプレイは周辺光が弱い場合に視認性が落ちるというデメリットがあるわけだが、反射型液晶ディスプレイでは偏光板やフィルタを必要とすることから反射率が落ちてしまうのに対し、反射板までシンプルな構造であるため光の反射率が良く、屋内でも極端に視認性が下がることがないのも特徴となっている。

 デモでは、GPSユニットやスマートフォンのサブディスプレイとして採用例(いずれも2色ディスプレイ)や、さまざまなサイズのカラーディスプレイのサンプルを提示。携帯電話向けディスプレイは液晶の代替を狙って有機ELディスプレイなども存在するわけだが、Mirasol Displayもそうしたデバイスの1つとして気に留めておきたい存在だ。

Mirasol Displayの構造。基本的にはフィルムを貼ったガラス板と、反射板の2枚から成る 2枚の板の間隔を調整することで光の干渉を引き起こし色を表現できる カラーディスプレイの場合は1画素あたりに複数の板を用意。それを組み合わせることで色を表現する
すでにGPS端末やスマートフォンのサブディスプレイ(下部の小さなディスプレイ)への採用例がある さまざまなサイズのカラーディスプレイ。構造がシンプルであるため薄型化、小型化がしやすいのもメリットとしてアピールしていた

●ネットブックを意識したタッチスクリーンPC

 Always Innovatingがデモを行なったのは「Touch Book」と呼ばれる製品。ネットブックサイズのタッチスクリーン型PCであるが、さまざまな独創的な発想が盛り込まれた製品だ。

 タッチスクリーン式に限らず、一般的なPCはキーボード側にシステム基板を入れるのが一般的だが、Touch Bookはディスプレイの裏側に内蔵。キーボードから着脱してスクリーン部分のみで稼働することができる。イメージとしてはピュアタブレットPCのオプションに、ノートPC風に使用できるキーボードのオプションが付いた格好ともいえるだろうか。また壁掛けやフォトフレームのように床置きできるスタイルにもなる。

Always Innovating CEOのGregoire Gentil氏 同社がデモを行なった「Touch Book」。こうして見るとネットブックと大きく変わらないデザイン ディスプレイとキーボードが脱着可能。ディスプレイ部単独で動作する。奥の端末では720pの動画を再生中

 ハードウェア的にはTexas InstrumentsのCortex-A8コアのプロセッサを使用しており、ディスプレイは1,024×600ドットの8.9型ワイド液晶を採用。ストレージは8GBのmicroSDHCを使用する。面白いのはUSBポートの配置で外部に3ポートを備えるほか、内部に2ポートを装備。ここに一般的なUSBデバイスを装着し”内蔵”させることができるようになっている。タブレットPC風に使用する際に便利だろう。

【お詫びと訂正】初出時にプロセッサについて、ARM11ベースとしておりましたが、Cortex-A8ベースの誤りです。お詫びして訂正させていただきます。

 本体サイズはキーボード込みで約239×178×36mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約907g。バッテリ駆動時間はキーボード付きの状態で3~5時間、ディスプレイ部のみで動作させたときは10~15時間の駆動が可能とされており、このバッテリ駆動時間も強くアピールされた。

 OSはWindows CEをベースとした独自の「Touch Book OS」がプリインストールされる。これはタッチスクリーンでの利用に適した3Dインターフェイスなどを備えたOSとなる。このOS上ではWebブラウズやワープロソフトなどの一般的な作業のほか、720pまでの動画再生やOpenGLの3Dグラフィック表示が可能。また、ハードウェア、ソフトウェアともに仕様は公開される予定で、オープンソースプラットフォームとしても進化させる予定という。

 キーボードとディスプレイを多様なスタイルで利用できるほか、ソフトウェアの機能も充実していることから、同社ではネットブックやフォトフレーム、ゲーム端末などが1つに集約されている、とアピールする。

 正式発売は数カ月後になるが、米国在住者を対象にプリオーダーを開始。価格はディスプレイ部のみで299ドル。キーボードセットで399ドルとなっている。

キーボード部を足にしてディスプレイを立てたり、壁掛けも行なえるなど、さまざまなスタイルで利用できる 内部の基板。外向きのインターフェイスはUSB×3、オーディオ入出力。奥にmicroSDが見えるが、これがメインのストレージとなる 内部にもUSBポートを装備。ドングルタイプのUSBデバイスを本体へ内蔵できる仕組みになっている
3Dインターフェイスを備えるTouch Book OS。アプリケーションやWebページへジャンプできる OpenGLの3Dグラフィックも表示可能

□DEMO 09のホームページ(英文)
http://www.demo.com/
□DEMOfall08レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/demofall.htm

(2009年3月4日)

[Reported by 多和田新也]

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