10回目を迎えたBCN AWARD授賞式開催
1月23日 開催 株式会社BCNは23日、今回で10回目を迎えた「BCN AWARD」の授賞式を開催、96部門45社が受賞企業となり、式には42社が参加した。 冒頭、主催者を代表し、BCNの奥田喜久男社長が次のような挨拶をした。 「最初にBCN AWARDを開催した2000年には対象となる表彰部門は52だった。今年の受賞対象は96部門となり、10年の間にそれだけ対象部門が拡大したことになる。私自身、先が見えない時期には、誰か1人でも、『あなたのことを信じているよ』と言ってくれる人がいると苦しい時期も乗り越えていくことができる。今回、IT技術を学ぶ学生の皆さんを表彰するITジュニア賞、初めての試みとなるBCN Best Product賞の受賞も同時に行なうが、感動を起こす優れた商品を表彰し、その輝いた背中を次代の技術を作る子供達が見つめることで、受賞企業の皆さんは、元気と勇気をポケットに入れ、皆さんを信じている人がたくさんいることを感じて帰途についていただきたい」 BCN AWARD2009では、ハードウェア部門では内蔵HDD部門とLANカード部門でバッファロー、サウンド関連ボード部門でクリエイティブメディア、タブレット部門でワコムが10年連続同一部門での受賞となった。ソフトウェア部門では、OS部門、プログラミングソフト部門、統合ソフト部門、データベースソフト部門、表計算・グラフソフト部門、プレゼンテーションソフト部門の6部門でマイクロソフト、ワープロ・エディタソフト部門、FEPソフト部門の2部門でジャストシステム、業務ソフト部門で弥生、葉書・毛筆ソフト部門でクレオが10年連続受賞企業となった。
今年の受賞企業の傾向について、BCNの田中繁廣常務執行役員は、「1年の間に大きく市場が躍進した製品はやはり、ミニノートになるだろう。ミニノート単独で部門を設けてはいないが、PC市場全体を牽引する役割を果たした。PCパーツの動向については、前半は好調な推移を見せたが、秋以降前年割れとなる商品が出てきている。2008年はPCパーツ市場の端境期となったのではないか」と分析している。 受賞企業に対して、BCN AWARDのベースとなっているPOSデータを提供する販売店を代表し、エイデンの岡嶋昇一社長がお祝いのコメントを話した。 「BCN AWARDも10年目ということで、10年前を振り返ってみたが、2000年はITバブルがはじけた直後で厳しい年だったことを思い出した。10年目の今回は、ご存知の通り世界経済が大変厳しい時期にあり、BCNさんの区切りの年は波乱の年になるのではないかと考えた。実際に2000年時点では家電量販店は全国に60社くらいあり、販売店が加盟する業界団体(注:2005年に解散したNEBAを指す)も存在していた。それが現在では家電量販店は10社程度に集約され、業界団体もなくなってしまった。実際に米国では大手量販店のサーキットシティの倒産が起こっており、この調子でいけば、10年後には日本の家電量販店の数は1社に集約されてしまうことになる。そうなっては面白くないので、我々としては頑張らねばならないと感じている。そのために、受賞企業の皆さんには魅力的な商品を提供してもらいたい。最近は、家で食事を取ることが人気だそうで、実際に家庭用調理器具の売れ行きも好調だ。皆さんの商品も家庭内で使うものばかりで、まだまだ需要を拡大するチャンスは大きいと思っている。明るい気持ちで頑張って欲しい」。
受賞企業を代表として、ページプリンタ部門で初受賞したブラザー販売の片山俊介社長が挨拶し、「ページプリンタの世界では後発の当社は、TV、量販店などでの宣伝活動に注力しており、今回、受賞できたことを大変光栄に思っている。我々が扱っている商品は、SOHO向けのもので、この市場はまだ開拓の余地がある市場だと考えている」と喜びのコメントを話した。 BCN AWARD授賞式の後、続けて開催されたBCN ITジュニア賞は、大阪府立皇后高等専門学校、鹿児島県立鹿児島工業高等学校、富山県立富山工業高等学校、国立名古屋工業大学、国立一関工業高等学校専門学校、学校法人静岡理科工科大学 沼津情報専門学校、国立詫間電波工業高等専門学校が受賞した。 受賞者に対しては、自身も高専出身であるさくらインターネットの田中邦裕社長が、「自分が起業したのは高専在学中の18歳の時で、時間だけはたくさんあったので、何でもやってみようという気持ちでチャレンジした。その頃に学んだ技術は、現在のビジネスのベースとなっている。大人になり、社会人となると技術を生かすことに時間が費やされるが、学生時代は技術を学び、今後に生かして欲しい」とエールを送った。
その後、授賞式全体の総評をサイバー大学IT総合学部長の石田晴久氏が、「私は経済産業省などが主催するU-20プログラミング・コンテストの審査員もやっているが、ソフトを募集してもなかなか集まらないのが困りもの。しかし、最近ではiPhoneが登場し、個人が開発したソフトでも登録すれば、全世界を対象にビジネスが展開できるようになった。若い開発者が全世界を対象としたビジネスができる環境が整い、若い開発者を大事にする社会が生まれることで、よりいっそう、素晴らしいプロダクトが揃っていくことになるのではないか」と総評を述べた。 今年から新たにスタートした「BCN Best Product」の授賞式では、商品選定に携わった、デジタル・メディア評論家の麻倉怜士氏がこの賞を設立した狙いと、受賞商品について説明した。 「BCN AWARDは客観的データに基づいたものではあるが、このデータでは伝わらないものもある。私は物作りを支えるキーワードは、『感動』となると考え、感動を生んだ製品を選定した。ソニーのBDレコーダー『BDZ-X』シリーズは、画質、音質に優れたこだわりの製品であり、その点を評価した。シャープの液晶TV『AQUOS XS』ラインは、液晶TVの弱点であるLEDバックライトのコントラストを改善し、今後の液晶TVの新しい方向性を作った製品だ。キヤノンのデジタルビデオカメラ『IVIS HF』シリーズは、今年のトレンドを先取りしたビデオカメラとなっている。『iPhone』はソフトを集める面白さと2フィンガータッチができる新しい操作体系が、携帯電話に新しい風を吹き込んだ。キングジムの『ポメラ』は、とにかく面白い製品で、PCではなくともこんなことができるということを見せつけた製品。カシオのデジタルカメラ『HIGH SPEED EXLIM』は、アナログカメラではできなかった、デジタルならではの世界を確立した製品。パナソニックの『Let'snote』はパソコンのあるべき姿を追求したもので、日本エイサーのミニノート『Aspire one』は素晴らしいトレンドを作った」 授賞式の後には、懇親会が開催され、ITジュニア賞を受賞した作品のデモンストレーションなども行なわれた。
□BCNのホームページ (2009年1月26日) [Reported by 三浦優子]
【PC Watchホームページ】
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