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2009 International CESレポート【DigitalExperience編】

OQOのAtom搭載ウルトラポータブルや東芝の512GB SSD

会場の入り口。謎の首輪を配る女性の服装もちょっと謎

会期:2009年1月7日(米国時間)

会場:Mirage Hotel Grand Ballroom



 Digital ExperienceはInternational CESの期間中に行なわれる、広告代理店主催の報道関係者向けの展示会だ。

 Digital Experienceの利点は、CESで展示する新製品などを報道関係者に直接アピールすることができることだ。CESの展示会場では、報道関係者だけでなく一般の来場者も含めての公開になるため、報道関係者だけにピンポイントに呼びかけることができない。Digital Experienceでは、直接、報道関係者にアピールできるので、記事を書いてもらう可能性が高まるというわけだ。

 実際、Digital Experienceを主催する会社は、CESだけでなく、他のイベントでもこうしたメインイベントよりも前に開催される報道関係者のみのイベントを多数開催しており、毎年参加する企業が増えている。報道関係者にしても、広い会場を歩き回らなくても、効率よく新製品を見て回ることができるため、こうしたイベントは歓迎するところであり、毎年多くの報道関係者が参加している。

 ただし、開催時間はCESのキーノートスピーチと重なっているため、多くの関係者はキーノートスピーチが終わった後、結構な距離を歩いて移動することになる。参加者の顔が、お疲れ気味なのも無理はない。

 今回のDigital Experienceでは、OQOの新しいウルトラポータブルPCや、東芝の512GB SSDなどの製品が展示され、報道関係者の注目を集めていた。

会場の内部は、各社のブースがところ狭しと並べられている こちらはLenovoスポンサードによるバー。ドリンクのサーブが行なわれているのだが、テーブルは本物の氷で、思いっきり溶けてました

●Atom Z搭載のポケットPC「OQO Model2+」

 今回のCESで、ウルトラポータブルなノートPCといえば、ソニーの「VAIO type P」が話題独占だが、ウルトラポータブルでは古くからがんばっているOQOも最新モデルをDigital Experienceで展示して注目を集めた。「OQO Model2+」と呼ばれる製品で、一昨年のCESでデビューしたOQO Model2の後継にあたる。

 OQO Model2+の最大の強化ポイントは、採用されている内部コンポーネントがVIA C7からIntel Atom Zシリーズに変更されたことだ。OQOによれば、Atom Zシリーズへの変更により、プロセッサの処理能力では2倍近くになっているとのことで、特にマルチメディア関連の性能という意味では5倍だと算出しているのだという。なお、メインメモリは2GBないしは1GB、IEEEE 802.11a/b/g準拠の無線LANとBluetooth、60~120GBのHDDないしはSSDなどが基本スペックとなっている。

 ただし、基本的な外見はModel2をほぼ引き継いでいる。液晶はタッチスクリーン機能のついた5インチワイドの800×480ドットで、ズームで1,000×600ないしは1,024×768ドットを疑似表示できる点や、HDMI出力を本体側に備え最大で1,920×1,200ドットの外部出力が可能な点もModel2+と同様だ。

 バッテリは標準容量が4,500mAhのリチウムポリマーで、大容量バッテリとして倍の容量になる9,000mAhのものが用意され、標準バッテリで3.5時間、大容量バッテリで7時間の駆動時間が可能になっている。

 OQOによれば、Atom Z520(1.33GHz)/1GBメモリ/60GB HDD/5インチ液晶というスペックのモデルで999ドル、Atom Z540(1.86GHz)/2GBメモリ/120GB HDD/アクティブマトリックスOLED 5インチ液晶というスペックで1,499ドル(日本円で約15万円弱)という価格設定になっており、すでにOQOのWebサイトなどでオーダーが開始されているという。なお、出荷予定は今年前半となっている。

 VAIO type Pと比べると液晶の小ささとキーボードの点が気になるユーザーが多いかもしれないが、それゆえに本当にポケットに入る小ささであるのも事実だ。とにかくポケットに入るマシンが欲しいというユーザーは、チェックしてみる価値がある。

OQOのModel2+。CPUはIntelのAtom Zシリーズが新たに採用された 基本的なフォームファクタは現行のModel2とほとんど変わらない。中身がAtomになっただけという印象。ドッキングステーションも同じものが利用できる 外見ではModel2との差はほとんどない

●東芝が512GB SSDを展示

 東芝は先日発表したばかりの容量512GBのSSDを展示した。

 東芝の説明員によれば、利用しているフラッシュは43nmプロセスルールで製造されたMLCのNAND型フラッシュメモリで、インターフェイスはSerial ATA(SATA2)になるという。読み出し時の最大速度は240MB/秒、書き込み時の最大速度は200MB/秒となる。

 SSDはモバイルノートがメインのターゲットになっているため、1.8インチのフォームファクタも多いが、今回発表された512GBのSSDは2.5インチのフォームファクタになっている。これは、ハイエンドノートPCなど、パフォーマンスだけでなく容量も重視される市場を意識したためとのことで、それゆえに大容量を実現することができたということだ。

東芝の512GB SSD。43nmプロセスルールのMLC NANDフラッシュを利用している。フォームファクタは2.5インチ PCI Express Mini Cardスロットに装着ができる32GBのSSDモジュール、ネットブック向け

 また、フラッシュメモリ関係では、SDアソシエーションが新しいSDカード規格「SDXC」の発表を行なった。現行のSDHCの後継となり32GB~2TBまでの容量をサポートする。リード/ライト性能は104MB/秒が見込まれており、将来的には300MB/秒越えを目指すという。

 SDHCとの最大の相違点はファイルフォーマットで、SDHCがFAT32を利用していたのに対して、SDXCではexFATを利用する。このため、利用するにはOSや機器側でexFATをサポートしていることが必要になる。また、SDHCまでは存在していたminiSDが消滅し、SDXCでは通常サイズのSDXCとmicroSDXCの2本立てになる。

 なお、今回のSDアソシエーションのブースに詳しい情報がわかる関係者がいないということだったので、より詳しい情報(現行製品との互換性)などに関しては、追ってお伝えしていきたい。

SDアソシエーションのSDXCに関する看板。形状は現在のSDと互換になるので、今のところはサンプルなどは展示していないということだった SanDiskのSSD。左側がSATAインターフェイスで、右側がPATAインターフェイス(ZIFコネクタ)。容量は32GBで、やはりターゲットはネットブックになる。すでに搭載製品がリリースされているとのこと

●Lenovoは液晶一体型PC「IdeaCenter A600」を展示

 Lenovoは、コンシューマ向けの“Idea”ブランドを積極的に展開している。日本では、ネットブックの「IdeaPad S10e」のみのラインナップとなっているが、米国ではフルサイズのノートPCや12型クラスのウルトラポータブルなノートPCなどの製品がラインナップされている。

 今回のCESでは「IdeaCenter A600」と呼ばれる液晶一体型PCをリリースした。IdeaCenterはLenovoのデスクトップPCのコンシューマ向けブランドで、すでに米国ではタワー型PCなどが販売されている。

 IdeaCenter A600はCore2 Duo T8500、1GBメモリ、500GB HDDというスペックで、21.5型のディスプレイを内蔵している。キーボード、マウス、Windows Media Centerリモコンなどがワイヤレスになっているのだが、ユニークなのはリモコンで、Wiiのリモコンのようにモーションセンサーが内蔵されており、それをゲームパッドに利用して卓球ゲームのようなゲームをすることが可能になっている。価格は999ドルからで、米国では4月頃から出荷が開始される予定だという。

LenovoのIdeaCenter A600 リモコンはモーションセンサー内蔵で、Wiiリモコンのように利用することができる
PowerStickの外部バッテリ。iPodや携帯電話などを充電することができる。バッテリ自体の充電はUSBで行なうことができるのが特徴。昨年のCESでも展示していたそうだが、見落としてました……ごめんなさい。すでに販売が開始されており59.99ドルで販売されているという
AUDIOVOXのプログラマブルリモコン、LogicoolのHarmonyシリーズと同じように、PCに接続して自分の好みのリモコンにプログラムできるほか、Harmonyにはない機能として、リモコン単体でのプログラムも可能になっている CISCOがLinksysブランドでリリースする、家庭内ミュージックサーバーシステム。各部屋におかれたスピーカーをリモコンで操作してサーバーから音楽をストリーム再生できる

□2009 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/

(2009年1月9日)

[Reported by 笠原一輝]

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