会期：1月6日～9日(現地時間)

会場：San Francisco The Moscone Center

基調講演を行なったフィル・シラー上級副社長

　Appleが参加する最後のMacworld Expoで発表された新製品は、17型のMacBook Proと2つのアプリケーションスイート「iLife'09」と「iWork'09」だった。本稿では開幕速報として、写真を中心に基調講演の概要と開幕直後のAppleブースの様子を伝える。

　オープニングを飾る基調講演は、午前9時からワールドワイドマーケティング担当の上級副社長であるフィル・シラー氏によって行なわれた。ジョブズCEO不在ということもあってかセカンダリールームまでがあふれそうだった昨年ほどの混雑ではなかったにせよ、講演会場は満席の賑わいとなった。

　シラー上級副社長は、簡単に現在のマーケットを解説したあと、この日に3つの新製品を紹介することを明らかにした。1つめは「iLife'09」。すべてのMac本体にバンドルされているアプリケーションスイートの最新版にあたる。

　講演では5つのアプリケーションのうち、iPhoto、iMovie、GarageBandがフィーチャーされ、それぞれ紹介とデモンストレーションが行なわれた。iPhoto'09には顔認識機能と、GPSジオタグへの対応が追加され、それぞれの機能を使った写真のスマート管理が可能になっている。また、FaceBook、Flickrといった外部サービスとの連携も強化されている。またiMovieは編集機能が大幅に強化された。

　GaregeBandにはLeran to Playとして、ギターやピアノの演奏を、画面を見ながら学べる機能が追加されている。このLeran to Playには、Artist Lessonというオプションがあって、スティングやノラ・ジョーンズをはじめとする大物アーティスト達が映像でレッスンをしてくれるのがユニークなところ。ただし、このサービスは米国とカナダのみとなっている。

　iLife'09は、1月下旬に発売予定。新たに出荷されるMac製品にバンドルされるほか、既存のユーザー向けには79ドルで提供される。日本国内の価格は8,800円で、従来のiLife'08に比べて1,000円ほど値下げされた形となっている。

iPhone'09に追加された顔認識機能。フォトライブラリの中から同じ人物の写真だけを抽出して、スマートライブラリを作ることもできる	写真に記録されたGPSジオタグを元に、同一エリアの写真を抽出。地図にピンを落としてその場所で撮影された写真を表示したりできる	編集機能が大幅に強化されたiMovie'09

GaregeBand'09に加わった演奏方法が学べる「Learn to Play」	スティングやノラジョーンズなどに教えてもらうことができる	Artist Lessonは米国とカナダで4.99ドルで配信される

　2つめの新製品は「iWork'09」。こちらも従来の'08から数々の機能向上が図られている。それぞれの新機能は写真で簡単に紹介する。iWork'09は、同日より出荷がはじまっており、こちらもiLife'09と同様に79ドル。国内価格は8,800円で、やはり従来のiWork'08に比べて1,000円ほど低価格となっている。またMac本体との同時購入なら49ドルにディスカウントされる。日本国内では本体との同時購入で5,800円。

　また今日付けで「iWork.com」というオンラインサービスがβ扱いでスタートする。これは、iWorkの各種アプリケーションで作成したドキュメントをユーザー間でシェアするもの。該当のアプリケーションを持っていなくてもブラウザベースで参照したり手を加えたりすることができるのが特徴だ。

　またiLife'09、iWork'09、そして現行のMac OS X 10.5 Leopardを1つのパッケージにした「Mac BOX Set」を新たに発売することも発表された。個別に買えば3つで287ドルのところ、169ドルになるのがお得なところ。日本国内では18,800円となる。

Keynote'09に加わる新たな機能	iPhoneをKeynoteのリモコンにする。次に表示するスライドを手元で確認する	リモコンのアプリケーションは、App Storeで99セントで提供される

Pages'09に加わる新たな機能	Numbers'09に加わる新たな機能	Mac本体とiWork'09を同時購入すると割引されるようになった

本日付でβサービスが提供される「iWork.com」	ブラウザベースでiWorkのドキュメントをシェアして手を加えたりすることができる	iLife'09、iWork'09、そしてLeopardのBox Setも販売される

　17型MacBook Proの発表は、昨年10月に登場した新MacBookファミリーを補完し、ラインナップを完成させるものだ。先行した2機種同様にユニボディの本体を採用している。サイズの拡大にあわせて、インターフェイス部分ではUSB2.0のポートが15型に比べて1つ多い3個になっている。また最大で8GB(4GB×2枚)の1,066MHz DDR3メモリを正式に搭載できるようになったのが大きな違い。

　17型の登場でもっともクローズアップされたのが、バッテリの部分。MacBookや15型のMacBook Proのような交換可能なタイプとは異なり、MacBook Airと同じように本体内に内蔵するスタイルがとられている。Appleによれば、最大1,000回の充電を可能として、バッテリのライフサイクルを伸ばす新しいテクノロジーを搭載したとしている。

　17型MacBook Proの主な特徴は写真を参照してほしい。

17型MacBook Pro。1,920×1,200の画面サイズ	ノングレア液晶も50ドルの追加でオプションとして選択できる。額縁部分が黒くない	最大で8GB(4GB×2枚)の1066MHz DDR3メモリを正式に搭載できるようになった

主な特徴は昨年10月に発表されたMacBookファミリーとほぼ同一	取り外しが容易な15型とは異なり、バッテリは内蔵タイプになった	最大1,000回の充電を可能として、バッテリのライフサイクルを伸ばす新しいテクノロジーを搭載

ディスクリートGPUのGeForece 9600Mを利用したときには7時間のバッテリ駆動。統合タイプの9400Mでは最大8時間駆動する	17型MacBook Proのコンフィギュレーションは1つ。AppleStoreでのCTOにより最大2.93GHzのCPUやSSDも搭載できる	基調講演会場のフロアに用意されていた大型のバナー。エコをアピールしている

　3つの新製品を紹介した後、シラー上級副社長は「One Last Thing」として、サービス開始から6年を迎えるiTunesについて触れた。米国内ではこれまで一曲あたり99セントで提供されている楽曲だが、2009年4月1日からは69セント、99セント、1ドル29セントの段階的な価格が導入されるという。またこれまでは一部楽曲に限られていたiTunes Plus(DRMフリー、256K AACエンコーディング)が本日付けで800万曲に拡大、四半期の終わりには1,000万曲になり、すべての楽曲がDRMフリーとしても提供されることになるという。

サービスの開始から6年を経た4月1日に段階的な価格体系に移行する	最大1,000万曲がDRMフリーのiTunes Plusに移行する	iPhoneからのiTunes Storeの利用にも強化が図られる

　展示ホールは11時ちょうどにオープンした。基調講演で発表されたばかりの17型MacBook Proは、Appleブース正面に向かって右手のテーブルでデモンストレーションが行なわれている。テーブルには合計で16台の17型MacBook Proが用意されており、スタッフが来場者の問いかけに答えていた。

　ユニボディをはじめとした外見的な特徴は、昨年10月に一新されたMacBookのラインナップに準ずる。ディスプレイパネルのサイズを除いては、15型のMacBook Proと比べて差異は少ない。向かって左側面にあるインターフェイス部分でUSB 2.0のインターフェイスが1つ増えているぐらいである。

　基調講演でもクローアップされていたバッテリ部分だが、本体内に内蔵されているとあって持ち上げてもらった底面はシンプルなものだった。大きさは違うが、やはりバッテリを内蔵するMacBook Airに近い印象だ。

Appleブースに展示されている17型MacBook Pro	15型と比べて、USB2.0のポートが1つ多い3個になっているインターフェイス部分	バッテリが内蔵タイプとなったことで、フラットになった底面部分

1つのテーブルに16台の17型MacBook Proを載せて、デモンストレーションされている	17型MacBook Proの展示台はあっという間に人だかりとなった	展示ホールオープン直後のAppleブースの様子

□Macworld Conference&Expoのホームページ(英文)
http://www.macworldexpo.com/
□米Appleのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□関連記事
【1月7日】アップル、8時間駆動の17型MacBook Pro
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0107/apple1.htm
【1月7日】アップル、「iLife '09」と「iWork '09」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0107/apple2.htm

(2009年1月7日)

[Reported by 矢作 晃]