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NEC、RFIDイノベーションセンターを公開
~双方向通信が可能なアクティブタグなども投入

東京流通センター内にあるNEC RFIDビジネスソリューションセンター

12月9日 発表



 NECは9日、RFID検証施設であるRFIDイノベーションセンターを公開するとともに、RFIDの新製品として、双方向通信を可能とするアクティブタグなどを発表した。

 NECユビキタスソリューション推進本部の松尾泰樹本部長は、「NECは、RFIDの自社導入をはじめとする導入実績に裏付けされた確固たる技術力を背景に、導入コンサルティングからソリューションメニューの提供、ミドルウェアの開発、リーダ/ライタやタグの提供などの一貫して提供できるのが強みといえる」とする。

 また、「NECが持つ半導体技術、ITソリューション技術に加え、NECトーキンのセンサー技術、アンテナ設計技術を組み合わせられることが、NECのRFIDにおける技術的なコアといえる」(NECトーキンのアクティブデバイス事業部 武田武二氏事業部長)としている。

NECユビキタスソリューション推進本部 松尾泰樹本部長 NECトーキンのアクティブデバイス事業部 武田武二氏事業部長

 NECでは、RFIDチップやリーダ/ライタなどを製造元から購入し、NECトーキンでRFIDタグを製造。システムインクデレーションの形でユーザーに提供する。さらに、「WebOTX RFID Manager Enterprise」などのRFID向けミドルウェア、RFID対応ハンディ端末の製品化のほか、PC生産を行なうNECパーソナルプロダクツやNECコンピュータテクノといったNECグループへの導入による運用を行なっている。また、EPCglogal、響プロジェクトへの協力などのRFIDに関する標準化への取り組みも行なっている。

 「RFIDは、タグのコストが高いこと、コスト負担者が部品メーカーなどの川上であるのに対して、受益者が販売店などの川下というような仕組みも普及に向けた課題になっている。だが、RFIDに対する関心は高まっており、現在の顧客層を獲得することで、企業間利用が開始された段階では、NECはいいポジションにいることができるだろう。いまの時点からこの事業に力を注いでいる理由もそこにある」(松尾本部長)とした。

 東京平和島の東京流通センター内に設置しているRFIDイノベーションセンターは、2006年にRFIDの実証/実験施設として開設したもので、これまでに約900社以上の顧客が利用しているという。

 RFIDの導入に際しては、RFIDの性能そのものに加えて、アンテナの配置位置、RFIDタグの貼付位置によって、読み取り精度を高めることができるなど、細かなノウハウが必要とされる。また、設置された環境によってRFIDの特性を活かせる環境が異なるため、ユーザーの導入現場と近い環境を構築して検証する必要もある。RFIDイノベーションセンターは、こうした実証実験が行なえる場として用意されているものだ。

 「実証施設および仮設環境を構築することで基礎検証が可能になり、体感、理解が可能になるほか、環境確認、運用検証、設置設計(概要)といった観点からの導入前評価ができる」とする。

 オフィス内でなく、流通センター内とすることで、ベルトコンベアの設置や、フォークリフトを活用したゲートの設置など、工場や倉庫のような環境を再現できるのも特徴といえる。

NECのこれまでのRFID関連事業への取り組み NECのRFID事業の強み 来場社の業種比率

 なお、同社では中国にも同様にRFIDイノベーションセンターを設置しており、中国をはじめとするアジア地域へのRFID普及の足がかりとする。

 では、NEC RFIDビジネスソリューションセンターの様子を見てみよう。

東京流通センターの環境では、まさに倉庫の中に実験場を再現できる RFIDタグの一例。この中にチップが埋め込まれている 食品を販売する小売店の環境を想定したRFIDによる実験スペース
こちらは衣料品を販売する小売店での実証実験例。万引き防止などにも活用できる RFIDを一括で入出庫管理するシステム。同社のミドルウェアを活用している 製造現場や倉庫でのラインを想定したRFIDの認識するための環境も
こうした梱包段階でもRFIDによる管理を可能とする 東京流通センターという立地を活かして、フォークリフトで認識する実験も行なえる RFIDによって仕分けする実験。複数のゲートと隣接しても誤認識しない
商品管理にRFIDを活用する実験。実際にユーザーが管理する対象物を持ち込んで実験が可能 金型の管理をRFIDで行なう環境。油が塗られている状況でも認識する NECが提供する各種RFID関連商品
スマートフロントコントローラのデモストレーション。隣接するゲートを2台が同時に通過する フィルターをOFFにしていると隣のレーンのものまで認識してしまう ところがフィルターをONにすると対象のものだけを認識する

 また、同社では、RFIDの新製品として、アクティブタグおよびスマートフロントコントローラを発表した。

アクティブタグのUSB型の親機(上)と子機

 アクティブタグは、約50mの長距離での双方向通信を可能とし、センサー技術との連携できめ細かな監視を実現する製品。PCにUSB接続するアクティブタグの親機と、管理する物品につけるアクティブタグ子機で構成。子機側に電池を内蔵しており、子機が自発的に電波を発信することで、約50mの長距離/双方向通信が可能となる。

 子機には、温度や湿度、照度、加速度などの各種センサーを搭載し、センサーが収集した情報は、PCに接続したアクティブタグ親機に無線通信で定期的に送られるため、リアルタイムに情報を可視化できる。

 開封厳禁の箱にアクティブタグを貼付しておけば、箱を開けたときに照度センサー機能によって、それを検出。PCの画面上での警告や、ブザーなどによって担当者に知らせるといった使い方も可能になる。

 電力センサー、温度センサー、湿度センサー、照度センサーは省エネ領域で活用が想定されるほか、圧力センサーは安全面で、振動センサー、赤外線センサーは防犯領域での活用が想定される。また、LEDやブザーも子機に搭載することが可能であることから荷物管理なども利用できる。

 現在、RFIDは、電機メーカーや自動車メーカー、自動車部品メーカーなどへの導入が始まっているが、ほとんどが入出庫管理、在庫管理、工程管理、持ち出し管理などの用途。「今後は、危機管理、エコロジー、トレーサビリティ、セキュリティといった観点での導入が期待される。流通業向け、製造業向けのソリューション提案は各社とも同質化しているが、RFIDを活用することで、価値提案が可能になる。アクティブタグの導入によって、活用シーンの広がりも期待される」(松尾本部長)としている。

 主な販売ターゲットとして、流通業をはじめとする店舗での消費電力量や室内空調、照明などの管理、防犯/セキュリティ、物流現場における保管状態モニタリングと保管場所検知などを想定している。

スマートフロントコントローラ

 アクティブタグは、NECトーキンが開発し、NECがアプリケーション開発およびシステム構築を行なう。サンプル出荷価格は15,000円から。

 スマートフロントコントローラは、電波干渉や誤読などを解決するための機器。UHF帯RFIDリーダ/ライタの最大の課題である電波干渉を回避し、誤読み取りなどを防止することができる。

 同社独自のフィルタリング機能を搭載し、RFIDゲートの周囲にある、読み取り対象外のRFIDタグを識別することで、誤読み取りを回避。RFIDゲートの複数同時運用や、製造や物流業界などにみられる物品が密集した環境での運用を可能にする。NECエンジニアリングが開発し、NECがアプリケーション開発およびシステム構築を担当する。単体価格は、約180万円から。2009年2月の出荷を予定している。

□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0812/0901.html

(2008年12月9日)

[Reported by 大河原克行]

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