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【Intel基調講演編】モバイルとMoorestownの可能性を強調

米Intel上席副社長 兼 ウルトラ・モビリティー事業部長 アナンド・チャンドラシーカ氏

9月30日 開催



 9月30日、インテルは、CEATEC JAPAN2008のゲスト・コンファレンスで「インテルが考えるモビリティーの世界 ~変革のプラットフォーム~」と題した講演を行なった。

 米Intel上席副社長 兼 ウルトラ・モビリティー事業部長 アナンド・チャンドラシーカ氏は、インターネット普及当初は利用者数増加が注目点となっていたが、現在では使い方の変化に注目すべきだと指摘。

 「日本における2005年と2008年の人気サイトを比較すると、mixi、ニコニコ動画といったユーザー主導のサービスが人気を集めている。これは日本に限らず他の国においても顕著な傾向」だと話した。

2005年と2008年では利用者が多いWebサイトが大きく様変わりしていると言及 2008年利用者が多いWebサイトの代表として、ユーザー主導型のmixiとニコニコ動画を紹介

 それを支えるPCも、2005年と2008年では様変わりしており、「2年前はノートPCでは簡単に実現できなかったことが、楽々とできるようになっている。さらに、2008年にはネットブック、モバイルインターネットデバイス(MID)など、モバイル環境で利用できる新たな端末が登場し、クアッドコアCPUを搭載したノートPCが発売されたことで、モバイル環境でもっとインタラクティブな使い方が当たり前の時代となってきた」とモバイル環境で、さまざまな使い方ができるハードウェア側の環境が整ってきたとした。

 ただし、「ネットブック、MIDによる変革は2008年から始まったもので、これから本格的な変化が起こる」という。

'90年代はソフトトリブンの時代だったが、現在はインターネットトリブンな時代へ 「インターネットサービスをさらに加速させるのがモバイル」とアピール 2008年にはモバイル・インターネット・デバイスやネットブックが登場し、モバイル機器の利用者は特別な人ではなく一般ユーザーへと拡大
モバイル環境をさらに加速するのがWiMAX。米国では商用サービスがスタートし、全世界でサービスが始まる見込み UQコミュニケーションズ 田中孝司社長 フォレスターリサーチの調査では、外出先でもインターネット接続を望むユーザーが増加していることが明らかに

 変化を後押しするネットワーク環境としては、WiMAXがある。米国ではすでにトライアルサービスが開始されており、日本ではインテル、KDDIなどが出資したUQコミュニケーションズが2009年からサービスを開始することを表明している。

 壇上にはUQコミュニケーションズの田中孝司社長が壇上に登場し、「当初は東京、阪神地区からサービス始めるが、エリア拡大を実現し、早い段階で人口カバー率90%まで拡大したい」とした。

 提供機器については、当初はWiMAXをサポートしたPC、次にMIDを提供する計画だという。

 田中社長は「こちらとしてもビジネスにしなければならない部分はあるので、市場を見ながら提供デバイスをチョイスしていくが、インテルとは協力関係を持ってデバイス開発に取り組みたい」と語った。

最高のモバイルインターネット体験を実現するために必要な要素として4つのポイントを提示 インテルが考えるモバイルインターネットの中核要素 Atomを搭載した小型端末は小さくとも最新Webサイト表示が可能で、HDビデオの再生が可能であることが必要
実際に小型端末を使ったデモも実施 Atomを搭載した小型端末は、OSとしてWindows及びLinuxが動作し、両OS用に作られたソフトウェアがリコンパイルなしで動かせる Atom搭載の小型端末でも、画像が利用できることをデモで実証

 こうしたネットワーク環境の変化と共に、インテルのチャンドラシーカ上級副社長は、「端末側の性能が重視されるようになる」とした。

 その理由としては、「インターネットで利用するコンテンツは全てPC上で書かれたもの。これを携帯電話で利用しようとするとそのためのリコンパイル作業に大きな手間がかかる。ところが、動きの速いインターネットの世界では、時間がかかりすぎるというのは死活問題となる」(チャンドラシーカ上級副社長)とサービスを新たに移植する必要がないアーキテクチャーを持った携帯端末が必要だと説明する。

 その条件にかなったプロセッサとして、「Atomがまさにそこに合致する。Core 2 Duo対応のアプリケーションは全て動作するし、リコンパイルの必要がなく、ユーザーからのニーズが高まっているビデオの視聴についてもHDビデオの視聴が可能だ」とAtomが戦略的なプロセッサだと強調した。

 モバイルのエコシステムとしては、Windowsだけでなく、Linuxベースのモバイル機器間のエコシステムを確立するMoblin@orgが活動を行なっているが、「参加するベンダーの数は大きく増加している。日本独自のベンダーも参加するようになって、この波はさらに大きく拡大していくだろう」という。

 MIDについては、ビジネス向け機器として誕生した第一世代機器には、シャープ、パナソニック、富士通と日本のベンダーからの製品が登場。さらに、コンシューマ向け機器である第二世代のものも登場してきている。

MoblinベースのMIDエコシステムも拡大 MIDエコシステムは日本独自のベンダーにも波及 携帯端末であってもビデオの再生が可能であることをデモで実証
Atom搭載の携帯端末は第二世代に入り、日本のベンダーからも製品が提供される 壇上に展示された日本製端末を指して、「日本は携帯端末普及の鍵となる地域」とチャンドラシーカ上級副社長 第二世代MIDは、ビジネス向けだった第一世代とは異なりコンシューマ向け製品に

 第二世代の機器を発売したベンダーの代表として米国及び欧州で発売するナビゲーションシステム「ClarionMiND」を発表したクラリオンの篠崎雅継取締役が登場。「インテルと共同開発を進め、ようやく発表にこぎ着けることができた。基本はナビゲーションシステムだが、リアルタイムで現地の情報を取得することで、これまでにはないナビゲーションの世界を実現するものとなった」と、新時代のナビゲーションシステムとしての可能性を、デモンストレーションを交えてアピールした。

Atom搭載のナビゲーションシステム「ClarionMiND」を米国及び欧州で発売することを発表したクラリオンの篠崎雅継取締役 ClarionMiNDのインターフェイスをデモで紹介

 チャンドラシーカ上級副社長は、次世代のCentrino Atomとなる「Moorestown」によって実現する、更なる小型端末の可能性について言及した。Moorestownは、一円玉と比較しても二回りほど大きなだけの、世界最小のマザーボードに納まり、名刺サイズの端末や、ポケットに入る小型端末の開発を可能とする。

 モックアップの端末をポケットから取り出したチャンドラシーカ上級副社長は、「小型化によってこれまではできなかったことが実現できるようになる。そのパワーの発信地が日本になるのではないかと私は期待している。これまでも携帯端末は日本発で成長しており、この製品についても同様の期待ができるのではないか」と日本のベンダー及び、ユーザーへの期待を述べた。

Moorestownがもたらすイノベーション 小型であることの利点をあらためてアピール
世界最小のマザーボードを手に持って紹介 世界最小マザーボードは一円玉と比較してもこのサイズ

□CEATEC JAPANのホームページ
http://www.ceatec.com/
□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
□関連記事
【8月22日】【IDF】アナンド・チャンドラシーカ基調講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0822/idf05.htm

(2008年10月1日)

[Reported by 三浦優子]

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