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クレイ、Intel CPUとWindows搭載のスパコンを発表

クレイ・ジャパン・インク 中野守 社長

10月中旬 出荷



 クレイ・ジャパン・インクは、マイクロソフトのWindows HPC Server 2008とインテルのXeonプロセッサを搭載したパーソナルスーパーコンピュータ「Cray CX1」を発表、10月中旬から出荷を開始する。

 クレイは、科学技術計算や自動車メーカーなど大手製造業が衝突解析シミュレーションなどに利用するスーパーコンピュータメーカー。既存の大規模スーパーコンピュータは、独自のベクトルプロセッサなどを搭載し、価格が億単位のシステムを年間数十件、直接販売するビジネスを展開してきた。

 それに対しCX1は、インテルのXeonプロセッサと、マイクロソフトのWindows HPC Server 2008を搭載。価格も最小構成で200万円からで、売れ筋となる構成でも300万円から600万円程度となる見込みだ。

 「CX1は、ビジネスが拡大する可能性がある領域をターゲットとした製品。調査会社のIDCさんが発表したデータによれば、ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)市場で今後大きく伸張するのは、ミッドレンジからローエンド。今回の製品はまさにその規模のお客様をターゲットとしたもので、大学の研究室単位での導入や、数人のスタッフのみがシミュレーションを利用する製造業など、従来の組織単位の導入よりも小規模の導入を想定している」(クレイ・中野社長)。

クレイのビジネス戦略 製品ラインナップは、従来の大規模システムに加え、今回の小規模システム、さらに今年度末にはミッドレンジ製品を拡充する計画だ 調査会社IDCの調査をもとにしたHPCの今後のビジネストレンド

 CX1は、最大8つのノードと16基のデュアルコアもしくはクアッドコアのインテルXeonプロセッサ搭載が可能で、1ノードあたり最大64GBのメモリを搭載できる。ストレージは最大4TBの内蔵が可能で、計算、ストレージ、可視化のための各ブレードは、導入企業の個々の要件に合わせて配分、構成できる。

 クレイの中野社長は、「これまで提供してきた大規模システムには、独自のベクトルプロセッサなどを搭載してきたが、今回、当社としては初めてインテル製CPUを採用した。これは今年の春に発表したインテルと当社の戦略的提携関係によるもの」と説明している。

今回発表したCray CX1の製品コンセプト CX1の特徴の1つは、「どこでもHPC」 CX1は構成も選びやすく、自由度が高いことも特性の1つ
CX1のブレード構成例 OSとしては、Linux系OSも利用できるが、Windowsに対応したことが大きなポイント

 会見に参加したインテル マーケティング本部 デジタル・エンタープライズ・グループの徳永貴士統括部長は、「当社とクレイが提携発表を行なったのは今年の4月28日で、その発表からわずか5カ月で製品発表を行なうのは、開発スピードとして相当早い。インテル自身でもこれまでHPC分野に戦略的に取り組みを続け、業界最高水準のものを開発すべく取り組みを進めてきた。その結果、世界トップ500システムのうち375がインテル製プロセッサ搭載であり、今回の製品もHPC分野におけるひとつの成果といえるのではないか」と話した。

 CX1はこれ以外にもこれまでのスパコンとは異なる特徴を持ち、これまでのスパコンのように専用の部屋を用意しなくても、通常のオフィスに置いて利用できるように形状は310.4×904.2×444.5mm(幅×奥行き×高さ)のコンパクトサイズで、電源は100V/240Vで、騒音対策として筐体の下にアクティブノイズキャンセラを搭載。ブレードとしてはCPUブレード2種類、ストレージブレード2種類、ハイエンド3次元グラフィックスブレード1種類が用意されている。

インテル マーケティング本部 デジタル・エンタープライズ・グループ 徳永貴士 統括部長 インテルとクレイは、2008年春に戦略的提携関係を結んだ インテルのHPC分野での取り組み

 OSとしては、Windows HPC Server 2008もしくは、Red Hat Linux V5+Platform OCS5の利用が可能となるが、「最近ではWindowsのCADを使って設計を行なったお客様が、同じWindowsでシミュレーションを行ないたいといったニーズが出てきている。今回、Windows HPC Server 2008に対応したことで、こうしたニーズに対応することができる」(クレイ・中野社長)と、Windowsへの対応がターゲットと合致しているという。

 マイクロソフトは10月2日にWindows HPC Server 2008の発表を行なう予定で、「OSの詳細については、10月2日に説明を行なう。マイクロソフトとしてもこの2年間、HPC市場に参入し製品を投入してきたが、一貫して取り組んできたのがHPCを大衆化し、裾野を広げること。今回のCX1もまさにそこに合致した製品で、当社の取り組みとも合致している。この2年間、ISVなどパートナーとのエコシステム構築、技術の強化という2点に取り組んできたが、新たに発表するWindows HPC Server 2008ではさらにそれを拡大させていく」と、マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部 梅田成二副本部長が強調した。

マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 梅田成二 副本部長 マイクロソフトがHPCに取り組んできた歩み
マイクロソフトとクレイ社との連携 日本でのWindows HPC Sever2008の正式発表は10月2日を予定

 クレイではCX1に関しては、これまでの直販だけでなく、間接販売も行なう予定で、現在2社との協議を進めている。

 販売目標についても、これまでの製品よりもボリュームを増やす計画で、「今年はビジネス起ち上げ期間となるが、2009年1年間で200台を販売したい」(中野社長)という。

□クレイ・ジャパン・インクのホームページ
http://www2.cray.com/global_pages/japan01.html

(2008年9月17日)

[Reported by 三浦優子]

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