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DEMOfall08レポート

【ソーシャルネットワーク編】
人間関係をビジネスへ活かすアイデアが続々登場

会期:9月7日~9日(現地時間)

会場:米国Sheraton San Diego Hotel & Marina



●社会的な人間関係をマップ化

Accordia Group創業者のAlexander Todorovic氏

 Accordia Groupがデモを行なった「Accordia RM」は、データベースに登録された人物の情報から、各人の関係を知るためのソリューションである。名称のRMはRelationship Managementの略。

 このソフトウェアでは、データベースに登録された人物の人間関係をつなぎ、ビジュアル化することがすることができる。日本でも、mixiに登録している人同士の人間関係をマップ化する「mixiGraph」というアプリケーションが流行したことがあるが、グラフィックのイメージはこれに近いものである。

 ただ、Accordia RMは単にグラフィカルの人間関係図を作り上げるだけでなく、人間関係を“サーチ”する機能が強力な点が特徴となる。アプリケーションの右側ペインに設けられた検索バーに、独自のコマンドを入力することで、さまざまな条件で人間関係を知ることができる。

 例えば「Connect A氏 to B氏」と入力すれば、両氏のつながりがないかをデータベースから検索してくれる。また、つながりの数などを条件付けすることで、よりつながりの深い人物同士を探っていくこともできる。こうした検索条件や情報のカスタマイズ性が高いこともアピールしている。

 ビジュアル的にそそられるアプリケーションであるが、本来の目的はCRM(Customer Relationship Management)に利用されることを想定したもの。顧客同士の人間関係を把握することで、そうした情報を経営に活かそうというものである。

Demo CEOのChris Shipley氏を中心に広げていった人間関係図。マップに表示されたアイコンをドラッグ&ドロップすることで、範囲をどんどん広げていける こちらがデータベースの顧客管理画面。顧客の情報のほか、人間関係も登録していくことで、この情報を基に検索が行なわれる
検索バーには簡単なコマンドが提供され、さまざまな手法で検索できるようになっている 関係の深さなどを条件付けしていくことで、対象を絞った人間関係の検索も可能だ

●家系図作成支援のための安価なDNA鑑定サービス

Family Builder創業者およびCEOのIlya Nikolayev氏

 Family Builderは、同社が2007年6月にサービスを開始した「Family Tree」と、その新サービスについて紹介を行なった。

 Family Treeは日本で言うところの家系図を作成することができるサービスで、MySpace、FaceBook、Hi5などのソーシャルネットワークサービスに登録されているユーザー同士で利用できるのだ特徴となる。これらのサービス上で動作するAPIとして動作させ、登録されている親類同士を結びつけて、家系図を作っていくことができる。

 日本で家系図を作るというと、祖先を調べていくことで自身をルーツを可視化するような目的が大きいわけだが、Family Treeはいま現在存在する血縁関係者をまとめるという点で、ちょっと目的が異なるものといえる。

 今回はこのサービスを一歩進め、DNA鑑定サービスを実施するのが大きなトピックとなる。父方、母方それぞれのDNAを鑑定し、これを登録することで、サービスに登録されている意外な親類を見つけ出せるかも知れない。

 このDNA鑑定サービスは、父方・母方それぞれの鑑定を59.95ドルという価格で利用できる。日本ではかなり高価なイメージがあるDNA鑑定であるが、同社によれば米国でもDNA鑑定サービスは100ドルを超えるのが当たり前らしく、この価格は破格であるとして強くアピールしている。

 利用したいユーザーには、専用のキットが送付される。このキットに含まれるスティック状のパーツに、口の中の粘膜を着けて送付するだけ。送付されてきたキットの箱はそのまま送付用に使え、手軽に利用できるように配慮されている。

Hi5などのソーシャルネットワークサービスから血縁ユーザー同士を結びつけて家系図を作るサービス DNA鑑定用のキット。このスティックに頬の裏側の粘膜を着けて送付する

●使いやすいインタフェースの旅行計画サイト

TravelMuse創業者およびCEOのKevin Fliess氏

 TravelMuseがデモを行なったのは、同名の旅行プランニングサービスサイトの紹介である。こうしたオンラインの旅行計画サイトは数も増えており、市場規模も増している。

 同サービスの洗練された使いやすいインタフェースを持っている。例えば、旅行計画の最初のステップで、出発地や予算、やりたいこと、行き先の範囲などを指定するのだが、この行き先の範囲は、出発地からの移動時間を指定するスライダーを動かすだけでマップ上の表示エリアがリアルタイムに拡大・縮小するのでイメージが掴みやすい。また、日ごとの行動プランを計画するページでは、各行動予定をドラッグ&ドロップで自由に移動できる。例えば、2日目に予定されていたレストランを3日目に変更する、といったことを直感的に操作できるのだ。

 また、上述した行動プランの計画ページなどは他の人とシェアできるようになっている。つまり、友人や家族などと旅行計画をたてるとき、皆がこのページへアクセスして、あーでもないこーでもないと行動計画を詰めていくことができるのだ。もちろん。計画した情報に含まれる航空券やホテルなどの必要な予約は、同社と提携した旅行代理店を通じて、まとめて手配してもらえる。

 さらに、同社が提供する旅行の専門家による旅行地の案内や、友人の旅行計画を参考にして行動プランに追加することもできる。このように、他の人との関わりを持って計画していける「社会的な旅行計画サイト」である点を強くアピールしているのも大きな特徴となっている。

計画作成の最初の画面。出発地や予算、人数、その程度n時間で行ける範囲かなどを指定する 登録された情報に応じて、いくつかの候補を示してくれる。到着地の情報をチェックしたり、オプションなどを追加・削除して決定していく
具体的な行動プランを立案する画面。3日目の行動を2日目に移動、といった作業をドラッグ&ドロップで操作できて分かりやすい。この画面は友人など旅行を共にする人と共有することもできる 本サービスはソーシャルネットワークの一種でもあり、友人の旅行計画などを参考にしたりできる

●ソーシャルコミュニティの口コミを買い物に活かす

TurnTo Networks創業者およびCEOのGeorge Eberstadt氏

 TurnTo Networksがデモを行なった「TurnTo」は、買い物の口コミ情報を得るためのサービスだ。インターネット上には買い物のさいに参考になる多数の情報が集まっているが、それらは基本的に“他人”が記したものであるが、このサービスは、社会的につながりのある人物からの口コミを得ることに特化している。

 例えば、筆者と読者諸氏の大多数は他人の関係であるわけだが、筆者の言葉と友人の言葉のどちらを信じるかといえば、信頼関係が成り立っている友人を信じる人のほうが多いだろう。そうした社会的な信頼関係をマーケティングに持ち込もうというのが本サービスの主旨である。

 このサービスは、TurnToと提携したeコマースサイト上で、ウィジェットとして動作する。eコマースサイト上に配置されるアイコンからウィジェットを呼び出すと、そのサイトで買い物をしたことがある友人のリストが表示される(このリストはOutlookやソーシャルネットワークサービスから引き継ぐことができる)。リストから指定の友人へインスタントメッセージやメールなどを送信して情報を得るという、作業としては古風な手続きを取る。

 サービスはすでに開始されており、現在は4つのeコマースサイトで利用可能。ユーザーは無料で利用できる。同社はさらにパートナーサイトを求めている。

TurnTo対応サイトにはウィジェット起動アイコンが配置される。ウィジェットを呼び出すと、そのサイトで購入したことのある友人のリストと、友人が何が買ったが表示され、情報を求めるメールやIMを送信することができる ユーザアカウントの管理画面では、自身の情報を公開する範囲の指定などを行なう。このサイトで購入したことは一定の友達にしか知らせない、といった設定ができる

●ソーシャルコミュニティの口コミを買い物に活かす

Giftag創業者のSteve Bendt氏

 Giftagが開始した同名のWebサービスは、Web上のeコマースサイトからお気に入りの商品リストを作成するためのもの。分かりやすくいえば、Amazonのウィッシュリストのようなものを、どんなサイトからでも情報を引用して作成できるものと考えて良い。

 このサービスは、同社が提供するWebサービスと、FireFoxのプラグインとを連携させて動作する。eコマースサイトでお気に入りの製品を見つけたらならば、ツールバーからプラグインを起動。Webサイト上の任意のエリアを画像として指定し、リンクなども付加したうえでリストに追加される。当然ながら、このリストは公開が可能である。

 このサービスの大きな特徴は、何といっても、どのサイトでも使える点にあるわけだが、この仕様はオープンにされる点もアピールされている。Webサイト画面上の任意のエリアを指定すると上述したが、Webサイト側に定められたフォーマット形式の記載があれば、この部分は自動化される。

 また、APIの仕様も公開されるので、例えば、ボタンを押すだけで商品画像を自動的にリストへ追加するなどの動作も可能になる。eコマースサイトにとっては、Giftagと連動させることで、このようなウィッシュリスト機能を容易に提供できるようになるというのが本ツールのメリットになるのである。

FireFoxのプラグインとして動作。青色に黄色い十字が描かれているものがGiftagのアイコン Giftagプラグインを起動すると画面下部に専用エリアが表示される。追加するさいは、Webサイト上の特定エリアをドラッグ&ドロップで指定し、任意にタグなどを入力して登録していく
作成されたリストを表示すると指定した画像が一覧表示され、商品購入ページへのリンクとして機能する リストは複数作成することも可能。Facebookなどのソーシャルネットワークと連動して、特定の人だけに公開することもできる

●iPhoneでも利用できるWebパッケージ作成サービス

Koolage CEROのMythili Sankaran氏

 Koollageが紹介したのは、さまざまなWebサイトを単一のパッケージとして構築、閲覧できる同名のサービスだ。これは、テキストや画像、音声、動画などを含むWebサイトのデータを、専用のPODsという形式に収納し、小さな画面内で閲覧できるようにしている点が特徴となる。

 PODsはサーチエンジンでヒットした結果をまとめてPODsとしてまとめてしまうことができる。もちろん、必要な検索結果のみを抽出してPODs化することも可能で、これを利用すると興味のあるジャンルの情報だけが収録されたPODsを簡単に構築できることになる。また、有名サイトの内容を表示するためのPODsが提供されており、こちらはWebサイトのRSSフィードを参照して自動的に情報がされるようになっている。

 構築されたPODsはWebブラウザ上で動作するウィジェット上で参照できるほか、iPhone上でも動作が可能。さらに、FaceBook用のAPIも用意されるので、FaceBookの画面内にPODs化したWebページを表示することも可能だ。こうした仕組みからも分かるとおり、iPhoneのようなモバイル端末で見やすいということに加え、ほかの人への公開も意識したものとなっている。PODsは、複数のWebサイトから興味のある対象のみをパッケージ化する、という性格も持っているわけだ。

PODsをウィジェットで動作させた例。PCで表示させた場合は、右上のリンクアイコンをクリックすることで、元サイトへ移動することができる PODsは小さな画面で見られるようにパッケージ化されており、iPhone上でWebサイトを閲覧するのにも便利
Webサーチの結果から特定のタグにマッチしたものを抜き出して1つのPODsにまとめる、といったことも可能PCのブラウザ上で動作させる場合、ウィジェットのフレームは変更も可能。FaceBookへの埋め込みも可能で、お気に入りのWebコンテンツをまとめたPODsを公開したりできる

□DEMOfall08のホームページ(英文)
http://www.demo.com/

(2008年9月12日)

[Reported by 多和田新也]

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