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DEMOfall08レポート

【写真&音楽サービス編】
写真や音楽の新技術やWebサービスなどを紹介

会期:9月7日~9日(現地時間)

会場:米国Sheraton San Diego Hotel & Marina



●顔検出によって写真を管理

Blue Lava Technologies創業者およびCEOのLorenz Sell氏

 Blue Lava Technologiesがデモを行なった「iLovePhotos」は、一種の写真管理ソフトであるが、顔検出によって人物管理を行なえるのがユニークな点。検出した顔から同一人物であることを判定し、その人が含まれる写真を抽出。それらの写真に一緒に収まっている人物の管理もソフトウェア上で行なえる。

 デモでは同社CEOのSell氏が写っている写真を抽出し、同じく自動的に認識している一緒に写っている人物の顔の範囲を右側のペインへ次々にドラッグ&ドロップ。人の名前やメールアドレスなどのタグを入力していくことで、短い時間のうちに多数の人物のアドレス登録を進めていった。このアドレス入力に付いては、Mac OSのアドレス帳と連動してのオートコンプリート機能も実装されている。

 さらに、顔検出&認識を利用して同じ人物が含まれる写真だけを抽出したスライドショーを作成する機能や、写真共有サイトへのアップロード機能、iPhotoとの連動によるiPodなどへの転送機能なども含んでいる。

 このアプリケーションはフリーで提供され、すでにMac OS対応のベータ版をリリース済み。Windows版は現時点で用意されていないが、来年にも登場させる予定としている。

顔検出・顔認識機能を備えており、同一人物が写る写真に含まれる人物の顔を次々に切り取ってアドレス帳を作成できる 同一人物が写るものだけを集めたスライドショーも作成可能

●PCレスで利用できるフォトフレーム技術

UGA Digial General ManagerのNick Fothergill

 台湾のUGA Digitalが実施したデモは、フォトフレームに関する技術「YouGotPhoto」の紹介だ。日本でも注目が高まっているフォトフレームであるが、写真を映し出すためには利用者のPCでの操作が不可欠である。例えば、USB接続でPC上から操作したり、SDカードなどに画像ファイルをコピーして装着する必要がある。

 こうした利用方法は、PCリテラシーが低い人には難しい作業に感じることもある。デジカメを使っている人なら何とかなるかも知れないが、例えば、孫の写真を祖父母へ送った、といったシチュエーションの場合は、祖父母がまったくPCを使えないこともあるだろう。同社のデモは、そうしたユーザーにとっても簡単にフォトフレームを利用できるようにするための技術だ。

 仕組みは、フォトフレーム側にWiFiアダプタと専用のソフト(ファームウェア)を内蔵することで、サーバー側から自動的に写真を取得、表示するというものである。写真の管理はリモートで行なえるので、前述の例でいえば、孫の両親がインターネット上で表示すべき写真を指定すれば、祖父母の元にあるフォトフレームに写真が映し出されることになるのである。

 管理サイトは同社が提供するが、ストレージサービスは実施しておらず、Flickr、Picasa、Yahooなどのフォト共有サービスにアップされている写真を指定するようになっている。また、フォトフレームの管理自体もリモートで行なえるようになっており、例えばファームウェアアップデートの項目などもサイトに用意されている。

 現状ではあくまで技術デモで、実際の対応製品はまだ存在していない。同社ではフォトフレームベンダーへのライセンス販売のほか、液晶ディスプレイベンダーへ売り込むことで街頭のディスプレイ広告サービスへの活用などもアピールしていた。

どんなフォトフレーム、液晶ディスプレイにも埋め込めて、どんな場所でも利用できる技術であるとアピール 管理サイト。PicasaやYahooなどのIDを登録しておいて、それらのサービス上にアップした写真を指定することで遠隔地のフォトフレームへ写真を映し出すことができる
Trinity Convergence CEOのAjit Pendse氏

 Trinity Convergenceがデモを行なった「Gloop Digital Photo Sharing Technology」も、やはりPCレスで利用できるフォトフレーム技術の一種だ。こちらもやはり技術のアピールであり、実際の製品が登場しているわけではないが、よりスタンドアロンでの利用を想定しているのが特徴といえる。

 基本的な仕組みは、この技術を盛り込んだセットトップボックス同士をインターネットでP2P接続し、データを転送するというもの。片方のSTBに装着したSDカードから写真を取り込みアルバムを作成。そして、そのアルバムを別のSTBへインターネット経由で転送して、そちらでも閲覧可能にする、といった具合の動きになる。P2Pということでセキュリティ面でも考慮されており、ユーザー(つまりSTBを持つ人)ごとにアクセス許可の設定などを施せるようになっているという。

 また、フォトアルバム転送機能だけでなく、遠隔地のユーザーとのボイスチャット機能や、ウィジェット追加機能なども装備。フォトアルバム機能を中心としたSTB向けファームウェアとして機能の充実を図っている。

 また、前述のYouGotPhotoのように、PC上からこれらのSTBを遠隔管理することもできる。専用アプリケーションを用いて、複数のSTBを一つのPCから管理することができ、PCで取り込んだ写真を特定のSTBへ転送するような作業も容易に行なえる。

同社の技術デモに使われたSTB。写真取り込みのためのSDカードスロットを備え、リモコンによる操作を行なえる SDカードから取り込んだ写真などをアルバム単位で管理可能。そして、アルバム単位、写真単位で、別のSTBへP2P転送できる
写真の閲覧、転送機能以外にも、さまざまな機能を実装可能 フレンド機能からも写真送信を指定できるほか、ボイスチャット機能も備えている

●広告収入も得られる写真売買サイト

Photrade創業者およびCEOのAndrew Paradies氏

 Photradeがデモを行なった同名のサービスは、その名称からも伺えるとおり写真の売買を行なうWebサービスの一種。いまや同種のサービスは珍しくないが、本サービスはアップロードした(つまり売り手)側に対するサービスの多さが特徴的だ。

 基本的には、写真を売る側がサービスへアップロードして価格を付け、買い手が目的に応じたサイズ、形態で写真を購入することになる。ここで売買される写真には、同社のサービス側で電子透かしが埋め込まれ、不正使用を防ぐよう対策が施される。

 売り手へのサービスとしては、このサービスを介して自分の写真を利用しているサイトを完全に把握することができるほか、写真を広告利用した場合は、その広告収入を一部を得ることができる仕組みが提供される。この仕組みのおかげで、例えば個人利用の場合は無料で提供し、広告用途の場合のみ支払いが発生する、といったモデルも可能になるわけだ。

 買い手側へは、利用する写真へのブログ埋め込み機能などを提供。写真のライセンス・著作権を保護しながらもFlashなどではなく、JPEGファイルとして提供されるので、イメージ検索でヒットしやすいメリットもアピールしている。

 このサービスは現在ベータ版を無料で提供中。将来的に本サービスが実施された場合には、利用可能なアップロード容量が異なるなどの複数の有償のプランが提供されるとのこと。

アップロードした写真の管理画面 アップロードした写真には、利用形態に応じた価格設定を行なえる
アップロードした写真が利用されている先を知ることもできる。不適切な場合など、売り手側がブロックすることもできる 購入した写真をブログなどへ貼り付けるための機能。広告リンクであることの指定も可能

●楽曲の共同製作と販売支援を行なうWebサービス

MixMatchMusic CEOのCharles N.Feinn氏

 MixMatchMusicがデモを行なった同名サービスは、アマチュアミュージシャンの楽曲製作や販売を手助けするためのWebサービスだ。このサービスでは、いくつかの機能が提供される。

 一つは音楽の共同製作を可能にする機能だ。ギター、ドラム、ベースなどの得意な楽器のパートのみを演奏しサイトにアップロード。そのほかの楽器で演奏されたパートは、ほかの人が演奏したものを組み合わせていくことで一つの楽曲を製作していくことができる。

 この作業は非常に簡単で、選択したパートにアップロードされているデータのリストから選択し、追加していくだけ。画面もシーケンサソフト風になっている。また、アップロードされたデータを、ほかのパートに合わせて改変して利用することもできるようになっている。

 また、アップロードした演奏データから収入を得るための仕組みも提供されている。作成した楽曲は同サービスが展開するサイト上で販売することができる。この85%が演奏者側の取り分となり、複数人の演奏データを活用した楽曲場合は分配されるようになっている。もちろん、アップロードしたデータを利用したという情報も、アップロードした側が把握できるようになっているので、無断利用で収入を取り損ねるようなことはないとしている。

 このサービスは、バンドを組んでいない音楽家などでも収入を得ることができる新しいビジネスモデルであると同社はアピールしている。利用者は基本的に無料で利用でき、同社は楽曲販売の一部から利益を得ることになるという。

アップロードされている演奏データを組み合わせて楽曲を作っていくシーケンサソフト風のサービス 作成した楽曲は同サービス上で販売も可能。この一部を利益として演奏者が受け取れる 作成した楽曲をリスト化してMySpaceなどのサービス上に表示するためのウィジェットも提供される

●さまざまなコンテンツの集中管理サービス

Kadoo創業者およびCTOのDaniel Cane氏

 KadooがDEMOfall08に合わせてベータサービスを開始した同名のサービスは、さまざまなコンテンツをサービス上で一括管理できるもの。そして、そのコンテンツの共有機能に優れるのが大きな特徴になっている。

 例えば、プライベートなビデオを友人や家族に見せるためにYouTubeを活用する人も多いが、個人のコンテンツを公共の場に置くことに抵抗がある人も少なくないだろう。また、家族と友人、同僚とでは、自分が見せたいもの、対象となる人が見ていいものが異なることもある。Kadooは、そうした個人的なコンテンツを、個々の関係に合わせて共有する仕組みを持っているのである。

 Kadooのサービスでは、10GBのスペースがユーザーに提供され、このスペースに自分のコンテンツやファイルなどを自由にアップロードできる。

 そして、サービス上ではユーザー同士のソーシャルネットワーク機能も提供される。登録したユーザーは、家族、友人、同僚といったカテゴライズも可能で、アップロードしたコンテンツを閲覧可能なユーザーを、カテゴリ単位、ユーザー単位で任意に指定することができるのだ。

 また、管理画面とは別に用意される、ホーム(ポータル)ページもカスタマイズが可能で、この画面も家族や同僚ごとに別の画面を表示させることもできるようになっている。

Kadooの管理画面。左側のメニューからコンテンツ管理とユーザー管理、コンテンツの活用をすべて実施できる コンテンツ共有に関する管理画面。自分のコンテンツを共有するために友人、家族などをカテゴライズするなどの設定ができるほか、共有している・されているコンテンツも確認できる
友人や家族向けのホームページ。この画面も、登録ユーザーのカテゴリに応じて別の画面を用意できる コンテンツ共有をしたことを友人などにメールで通知する機能も用意。当然、送信先とメッセージだけ記入すれば、コンテンツへのリンクは自動的に付加される

□DEMOfall08のホームページ(英文)
http://www.demo.com/

(2008年9月11日)

[Reported by 多和田新也]

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