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【PCゲームグッズLab.】
実売4,000円のゲーミングマウス「A4Tech XL-740K」

A4Tech XL-740K

発売中

価格:オープンプライス



 株式会社フォスターは、A4Techのゲーミングマウス「XL-740K」を日本国内で販売開始した。XL-740Kは、実売価格4,000円前後と廉価でありながら、16KBのオンボードメモリによるボタン割り当て記録機能、重量カスタマイズ、マクロ機能、最高3,600dpiのレーザーセンサーを備え、9,000円台の製品に匹敵する機能を備えたゲーミングマウスだ。今回編集部で1台購入したので、レビューをお届けしよう。

 A4Techについて軽く紹介しよう。同社は台湾で'87年に設立され、マウスを中心にPC周辺機器を手掛けているペリフェラルメーカーである。日本では知名度がそれほど高くないものの、中国では「双飛燕」の名前で広く知られており、ユーザー数は多い。

 日本でも以前は一部店舗や代理店で輸入販売しており、知っているユーザーならば、縦/横スクロールが可能な「デュアルホイール」を搭載したマウス「WOP-35PU」などが販売されていたことが記憶に新しいだろう。

 今回のXL-740Kは、同社のラインナップの中でゲーマー向けブランドである「X7」シリーズに属するもので、多機能と高性能をウリにしている。

●とってもシンプルな国内向けパッケージ

 パッケージはフォスターが輸入代理販売にあたり特別に制作した日本語パッケージで、すべて日本語で印刷されている。しかし中身はマウス本体(重りは装着済み)とドライバ/英語マニュアルが収録された8cm CD、交換用ソール2セット、FCCをクリアしたという紙だけで、説明書がなく、保証書はパッケージ本体となっている。至ってシンプルだ。

 説明書がないあたりは、やや上級者向けというイメージだが、フォスターのサイトでは簡易日本語マニュアルがダウンロードできるようになっており、初心者でもそれほどハードルは高くない。

 重さ調節用の重りはあらかじめすべて内蔵しており、ロジクール製品のG9 Laser MouseやマイクロソフトSidewinder Mouseのように別箱で収納できるわけではない。重りは小さく紛失しやすいので、良くカスタマイズをするユーザーにはやや不親切な仕様と言えるが、それも4,000円の値段からすれば許容できる範囲だろう。

パッケージ。印刷はすべて日本語化されている カバーはマジックテープで貼られており、開くとマウスが見える。購入前に一回手を当ててみてフィットするかどうか試すといい パッケージの内容物。マニュアルはなく、CD-ROM内に英文マニュアル(PDF)が収められている

●大柄だが使いやすい本体

 マウス本体はやや大柄で、マイクロソフトの「Habu」を彷彿とさせるデザインだ。手の小さいユーザーにはやや厳しい評価かもしれないが、筆者にはちょうど良い大きさだった。フォルムもエルゴノミクスに基づいてデザインされており、手のひらにぴったりフィットし、長時間の利用でも疲れることはない。

 本体上面はザラ付いているが、この素材が結構特殊で、手のひらの汗でベットリした感じになることはなく、非常に好感触だ。親指が当たる部分も溝が深いラバーでコーティングされており、滑りにくい仕様となっている。

 左右のクリックはストロークがやや深めだが軽快で、サイドの2つのボタンとホイールの上のボタンも「カチッ」と鳴るタイプに揃えられている。ボタンの配置や大きさはいずれも妥当であり、不満を感じることはないだろう。

 ソールは小型のものが4つ、やや大きめのが1つ貼りつけられている。マウスパッドとの組み合わせによってはかなり滑りやすく、ポインタの動作が軽快に行なえる。

X7のロゴを大きくあしらっている フォルムは右手専用エルゴノミクスデザインで握りやすい 左側面にはサイドボタンと大きめに取られた溝入りラバーを装備。このおかげでフィット感が高まっている
右側面はボタンを一切備えておらずシンプル 本体底面。ソールは小さいが滑りがいい。重りは本体後部寄りに装着する 重りを取り出してみたところ。特に収納ケースなどは付属しないので、紛失に注意

 特徴的な重量調節機能は、本体底面の後部に搭載されている。製品情報のホームページによれば重りはマウンタ入りで合計19.5gとなるようだ。実測では重り1個あたり2.5g前後であり、これを7個までマウントできる仕組みとなっている。マウンタはリボルバーの回転式弾倉をあしらったデザインで面白い。

 実際に重りの変化を試してみると、本体後部に装着されることもあり、前後の重量バランスの変化がみられた。未装着の場合はやや前よりに重量がある感じだが、重りを加えていくと後よりになる。このあたりは好みに合わせてカスタマイズするといいだろう。

 スペック上でもゲーミングマウスとして抜かりはない。搭載されているレーザーセンサーは最大3,600dpiで、フレームレートは7,080fps、レイテンシは1ms。このあたりはロジクールやマイクロソフト製ゲーミングマウスと肩を並べるスペックであり、不満を感じることはないだろう。解像度切り替えはホイール下部にあるLED付きボタンで変更でき、赤/黄/青の3色で現在の解像度を表示する。

 基本的な部分の作りとしては、さすが老舗のマウスという感じであり、よく練られている製品だ。あえて不足を挙げるとすればチルトホイール非搭載というところだろうが、ゲーマーにとって利用頻度があまり高くないので特に問題にはならないだろう。

重りを装着しない状態の重量は約110g 重り1個の重さは約2.5g。写真では3gだが、これは秤が小数点以下の表示に対応していないためである
回転式弾倉をあしらったユニークなマウンタ。全部装着すると19.5gになる これをマウスに装着すると合計約130gになった

●多機能な設定ユーティリティ

 ドライバCDを入れると、どのマウス向けのドライバをインストールするか、写真で選択肢が出てくる。本製品の場合はXL-740をクリックすればよいが、実際の本体色がブラックであるにもかかわらず、インストール画面では赤い模様がついたものとなっている。これは海外向けのXL-740ではブラックとレッドの2種類のカラバリが用意されているからであり、中身は一緒である。

 設定ユーティリティは「OSCAR Mouse Script Editor」で、タスクトレイに常駐するタイプになっている。タスクトレイにあるアイコンを1クリックすれば設定画面が立ち上がる仕組みで、起動はクイックだ。

 ユーザーインターフェイスは英語だが、マウスのイラスト入りで直観的にカスタマイズでき、さほど戸惑うことはないだろう。対応したボタンを押すとプルダウンメニューで割り当て可能な機能が表示される。設定できる項目はカテゴリ別にサブメニューでわけており、インターネットやショートカット、メディアコントロールなど、多岐にわたる。

 ここまでは他のゲーミングマウスと大差ないが、ユニークなのはマウスジェスチャー機能だ。これは割り当てたボタンを押しながらマウスを上下左右に振ったりすることで、指定した動作を行なうというもの。ジェスチャーは上下左右+斜め方向の8種類に加えて、90度曲がりを入れ合計16種類のジェスチャーに対応する。マウスで特定の機能を実行したいが、ボタンとして割り当てたくないユーザーは、機能をジェスチャーに振っておくとよいだろう。

 なお、ジェスチャーも同様に割り当て可能な機能をプルダウンメニューで選択できるが、これには(当然ではあるが)マウスジェスチャー自身の機能、およびマクロを割り当てることはできなくなっている。

インストーラ画面。イラストと実機は違うが、型番からして本製品は左から2番目を選べばよい OSCAR Mouse Script Editorのメイン画面 機能はプルタウンメニューで表示され、カテゴリ別になっているため目的を探しやすい
特徴的なジェスチャー機能は16種類まで割り当て可能 ボタン6は解像度切り替え専用であり、縦横軸に違う値を割り当て可能なほか、LEDの色も選べる。ボタンを押すごとに上から順に切り替える仕組み

 マクロの割り当ては、一連のマクロを保存済みのマクロファイルをロードするか、マクロマネージャーを開いて新規に作成するかの2択になるが、マクロマネージャについてはやや複雑なので後述する。

 メイン画面でやや戸惑ったのは、左下にある矢印とインターネットエクスプローラのアイコンと、矢印とマウスのアイコンだった。実際前者はX7シリーズのWebサイトへのリンクであり、後者は設定したプロファイルをマウスのオンボードメモリに保存する機能だった。

 オンボードメモリへは2種類のプロファイルを保存でき、プロファイルの切り替えはキーボードのScrollLockキーから行なうことになる。このため、本ソフトを入れていない状態ではプロファイルの切り替えができず、2つのプロファイルがマウス内に保存されているにもかかわらず、ソフトで最後に保存したプロファイルの方が有効となる。マウスを持ち出してLANパーティーに参加するなどの用途には向かないかもしれないが、個人で1台のPCで使うだけなら十分だろう。

 プロファイルをファイルとして保存しておくことや、プロファイルの切り替えなどもメインUIの上部から行なえる。

 このほか、タスクトレイのアイコンを右クリックするとメニューが表示され、マウスのレポートレート(最大1,000Hz)や、ボタンのレスポンス(3~30ms)の設定なども行なえるようになっている。

基本的な設定はタスクトレイのアイコンを右クリックして行なう ボタンのレスポンスタイムも変更可能 レポートレートも4段階に変更可能で、現在のレポートレートがリアルタイムに表示される

●変数も利用可能なマクロマネージャ

 付属のマクロエディタはちょっと変わった風貌で、一見プログラミングに特化したテキストエディタのように見える 。だが実際にテキスト表示ウィンドウに直接マクロを入力することはできず、左ペインと下ペインからアクションをXL-740Kに登録する仕組みになっている。

マクロエディタの画面。「Mouse action」の項目に注目。Mouse absolute Coordinateは絶対座標指定で、右側にある照準アイコンをドラッグすれば指定した場所の座標を取得してくれる。一方relative coordinateは相対座標で、現在の位置からの移動量を±で選択できる

 まずは左下ペインのマウスアクションから見ていくと、それぞれのボタンを押すという基本動作のほか、スクリーンの絶対座標(X,Y)を指定することや、マウスの相対移動量(X,Y)を指定することができるところが最大の特徴だろう。

 絶対座標を指定できるということは、1ボタンでその位置にマウスを移動できることを意味する。例えば、リアルタイムストラテジー(RTS)ゲームにおいて、画面中どこにマウスポインタがあったとしても、1クリックで指定したユニット生産ボタンに移動して、生産を行なうなどといった動作も可能になるだろう。

 一方、相対移動量は一人称視点シューティング(FPS)ゲームにおいて、銃を撃つとともに、銃の反動を自動的に修正したり(もちろんランダムで反動が加わるゲームの場合は修正が難しい)、一気に180度振り向き背後の敵を撃つといった動作が可能になる。いずれもタイミングをシビアとするゲームプレイにおいて有効な機能だ。

 下ペインのキーボードエミュレーションエリアは、表示されているキーを押すとマクロに記録されるというシンプルな仕組みで、改めて説明する必要はないだろう。

 マウス/キーボードアクションにおいてはいずれも左ペイン中部で遅延を設定することができる。もちろんキーの押下とリリースを両方記録する仕組みで、レイテンシも各々に設定することができる。

 一連のマクロは、設定したボタンのクリックで1連のマクロを実行できる設定のほか、押下している間だけマクロを繰り返して実行し、離すとその時点でマクロ中断する設定や、1クリック目でマクロの実行を開始し、再クリックで実行を中止する設定にすることもでき、なかなか芸が細かい。

 そしてこのマクロマネージャにおいてもっとも特徴的なのは、左上ペインの条件式機能である。

 条件式では、マクロの何行目から何行目までを指定した回数を繰り返して実行することや、ジャンプ命令、変数を取り入れマクロの作成が可能なる。

 変数はA/B/Cの3つで、それぞれの変数にあらかじめ定数を代入可能となっている。そしてこの変数を指定した定数や変数で加減したりすることができ、IFで条件を満たした時に指定した行にジャンプするといった処理ができるようになっている。

タブ「KEY」を選択したところ。写真では「Key 1のステートが押されたのとき、7行目にジャンプする」というマクロのはずなのだが、Key 1が何を示すのかは不明で、マニュアルにも書かれていない タブ「IF」を選択したところ。もし変数=設定した定数だった(または変数)だった場合、もしくはそうでなかった場合のジャンプ動作をカスタマイズ可能 タブ「EQU」を選択したところ。変数の宣言や変化をここで設定することができる
マクロエディタで編集したマクロはファイルとして保存でき、プルダウンメニューから選べるようになる

 これにより、ユーザーは非常に自由度の高いマクロが作成できる。まるでマウスの中にプロセッサがあり、それをプログラミングしているような感覚だ。

 しかし、ゲーム内の変数と同期する機能などは備えておらず、具体的に何に利用できるかはパッと考えただけでは思い浮かばない。このあたりはユーザー自身の創造力が問われるだろう。ちょっと考えた感じでは、あらかじめ変数を残り弾数と一致させておき、変数が0になったら自動的にリロード動作を行なう命令へジャンプする、というぐらいだろうか。

●高いコストパフォーマンスが魅力、幅広い層にお勧め

 以上見てきたように、XL-740Kは非常に多機能なゲーミングマウスであることがわかる。ことマクロにおいては競合他社以上の高機能ぶりであり、肩を並べられる製品は少ないだろう。また、筐体がやや大ぶりであること以外は、本体の作りもしっかりしており、マウスとしての完成度も高いレベルにある。

 それにもかかわらず、実売で4,000円前後という価格は、これまでのハイエンド向けゲーミングマウスの約半分であり、コストパフォーマンスは非常に高い。ゲーミングマウスは欲しいが価格で躊躇していたエントリーユーザーはもちろん、とにかく多機能を追求するパワーユーザーにも広くお勧めできる製品だ。

□フォスターのホームページ
http://www.fosternet.co.jp/
□製品情報
http://www.fosternet.co.jp/item/item-xl740k.htm
□A4Techのホームページ(英文)
http://www.a4tech.com/ennew/
□関連記事
【8月30日】今週見つけた新製品「XL-740K」(AKIBA)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20080830/ni_cnx740.html

(2008年9月4日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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