NVISION08レポート 展示会場&やじうま編
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会期:8月25日~27日(現地時間)
会場:米国カリフォルニア州サンノゼダウンタウン
NVIDIAが主催する初めての大規模イベントとなったNVISION08。業界関係者だけでなく、こうしたジャンルに興味があるギークやゲーマーも集まり、非常に多くの人が来場していたのが印象的だ。ここでは、NVISION会場内で気になったものなどをレポートしたい。
●Expo Hallではハードウェアの新製品も展示
業界関係者にとってのNVISION08というのは、主にソフトウェア開発者やデザイナーなどを中心したセッション、イベントが多く、ハードウェアに関する情報は多くない。NVISION08の展示会場であるExpo Hallも、NVIDIAのお膝元ということもあって、“うっかり”展示されてしまった未発表のビデオカードなどもなく、PCのハードウェアに興味のあるユーザーにとっては、やや寂しい印象も残る。とはいえ、各社PC関連のパーツや周辺機器を展示しており、なかには目新しい製品も存在している。
ZOTACのブースで展示された「NITRO」は、ビデオカードのオーバークロックを行なうUSB接続のデバイスを展示。ビデオカードのコアクロック、シェーダクロック、メモリクロックを、デバイスのボタン操作によって変化させることができるというもの。本体には液晶ディスプレイも備えており、各種クロックのほか、温度やファン回転数も取得して表示される。ブーススタッフは「温度やファン回転数が表示されるので、これらの情報を元にクロックを決定できる」とする。
PC側に必要なソフトウェアは、パッケージに含まれているとのこと。第一世代の製品はZOTAC製ビデオカードにのみ対応するが、第二世代以降の製品では、他社のビデオカード搭載製品にも対応していくとのこと。ただし、GeForceではないGPUを搭載するビデオカードに対応させる予定は、いまのところないらしい。すでにパッケージも完成しており「米国では9月末に99ドルで発売する予定」と述べている。一方、日本での発売に関しては「代理店次第」とされた。
ZOTACが展示を行った、USB接続のビデオカードオーバークロックツール「NITRO」。ボタンでクロックを変更できるほか、温度とファン回転数のモニタが可能 | 9月末にも発売の予定。第2世代の製品では他社ビデオカードにも対応予定とのことで期待される |
Qimondaのブースに展示された、3枚セットのDDR3モジュール。3chメモリインタフェースとなるNehalemを対象とした製品だ |
Qimondaのブースでは、DDR3 SDRAMの2GBモジュールを3枚セットにしたパッケージ製品を展示。これは、3chメモリインタフェースを持つIntelの次世代CPU“Nehalem”を対象とした製品になる。デュアルチャネル全盛のいま、とくにオーバークロック向けメモリモジュールは、ほぼすべて2枚セットで販売されており、「1枚単位では買えないから、Nehalemでは1枚が無駄になってしまう」(ブーススタッフ)とのことでユーザーの利便を考えたパッケージといえる。
また、コンシューマユーザー向けのNehalemでは、DDR3-1066の3ch動作となるが、本製品はDDR3-1600(CL9)へのオーバークロックに対応。NVIDIAのEPP2.0、IntelのXMPにも対応する。しかも、DDR3-1600動作時に、定格となる1.5Vで動作できるという。これはIDFで得た情報であるが、NehalemではメモリコントローラをCPU側に内蔵する関係で、メモリの動作電圧を高めることに危険があるという。低い電圧でオーバークロック動作が可能な点も含めて、Nehalemに特化した製品といえそうだ。
Antecからは、アーチ型の橋脚のようなユニークなデザインのケース「Skeleton」を展示。ケースといっても、パーツを収納する部分は取り出してメンテナンスが行なえるようになっており、PCパーツを裸の状態で利用する“まな板”系の製品でもある。
まな板系の製品の場合、密閉空間であるPCケースに収納した場合と異なり、マザーボード上にエアフローを起こしにくいという問題があるが、本製品ではマザーボードに直接吹きかける格好で250mmの大型ファンを装備。このファンは3段階に色と回転数を調整可能になっている。また、HDDを冷却するために92mmファンを備えており、冷却面も考慮したまな板環境として配慮が行き届いている。
このほかの仕様としては、ATXフォームファクターのマザーボードに対応。ドライブは、5インチ×2、3.5インチ×2を収納可能で、サイドパネルに取り付け可能なオプショントレイを利用することで、3.5インチベイをさらに4基追加可能となっている。米国では「2カ月以内」に発売するとしており、価格は179.95ドルが予定されている。
Antecが展示したまな板風PCケース「Skeleton」。周囲のアーチ部分はプラスチックだが、マザーなどを乗せる台座は冷却面の配慮から金属製になっている | 天部に250mmの大型ファンを搭載。回転数を3段階に調節可能で、色も7種類から選択できる |
PCを搭載する部分は、後部から引き出しが可能。メンテナンスを頻繁に行なう環境には嬉しい | 5インチ×2、3.5インチ×2の各ベイを搭載。3.5インチベイの前には92mmファンが設置され、やはり冷却面を配慮している |
eVGAのブースでは、液晶ディスプレイ2台を合体させたユニークな製品「NINE」を展示。ノートPCで利用される1,440×900ドットの17型液晶パネルを利用。入力系統は物理的には1つしか備えていないが、付属のDVIまたはミニD-Sub15ピンの二股ケーブルを利用することで2系統入力となる。DVIとミニD-Subを組み合わせたケーブルは用意されないそうだが、DVIケーブルはDVI-Iとなっているので変換アダプタを利用することで利用は可能だ。このほかに、130万画素Webカメラ、スピーカー、マイクなども内蔵する。
液晶ディスプレイ部分は水平方向に90度回転(つまり2枚のディスプレイを閉じたような格好に)できるほか、180度のフリップ回転も可能。フリップ時は、水平を超えた時点で表示の上下が反転する機能も備えているので、向き合ってのプレゼンテーションなどにも活用できるとする。
発売は「まもなく」とのことで、価格は決まっていないがブーススタッフは2,500ドル程度になるだろうとしている。国内での発売はコメントが得られなかったが、1台分のフットスペースで2台のディスプレイを用意できるというのは魅力的な製品だ。
eVGAのブースでは、このほか、USB接続の外部ディスプレイアダプタの展示が目にとまった。国内では未発売であるが、米国ではすでに4カ月前から発売しているという。もはや珍しいアイテムとはいえなくなったDisplayLinkのチップを用いたものだが、興味深いのはその形状。非常に小型であるうえ、積み上げしやすいような形状になっているのだ。本製品は最大6台を1台のPCで利用可能なので、マルチディスプレイ環境をスマートに構築できるデバイスとして興味深い。
製品は2モデルがラインナップされており、最大1,680×1,050ドットの出力に対応するUV-16が80ドル前後、最大1,400×1,050ドットの出力に対応する下位モデルのUV-12が59.99ドルとなっている。日本での発売は予定がないという。
eVGAが展示した「NINE」は、2台の17型ワイド液晶を搭載した製品。ニコイチ製品といっては失礼な作りではあるが、それに近く、2系統入力を2枚のディスプレイに表示する格好となる | 液晶パネルは90度の水平回転と、180度のフリップが可能。フリップ時は画面の上下も自動的に反転する | 物理的なディスプレイ入力は1系統だが、二股ケーブルを使って信号的には2系統を入力する |
DisplayLinkチップを使ったUSB接続ディスプレイアダプタである「UV Plusシリーズ」。非常に小型で、積み上げやすい形状にあっているので、マルチディスプレイに便利 | 対応解像度の違いで2製品をラインナップ。残念ながら日本での発売は前向きなコメントを得られなかった |
●その他、会場の風景
冒頭でも触れたとおり、NVISION08では多種多様な人々が集まり、さまざまなイベントが催された。そんな裾野の広さを感じさせる会場内の一部を写真でお伝えする。
□NVISION08のホームページ(英文)
http://www.nvision2008.com/
□NVISION08 レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/nvision.htm
(2008年8月29日)
[Reported by 多和田新也]