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Intel Developer Forum 2008

展示会場レポート
~SATAやUSBの次世代規格をデモ

西館の1階が展示会場

会期:8月19日~21日(現地時間)

会場:米San Francisco Moscone Center West



 IDFは、午前中に行なわれる基調講演(Keynote)と、午後に行われる技術説明会(Technical session)から構成されている。午後からは、Technology showcaseと呼ばれる展示会も行なわれ、基調講演や技術説明会で利用された製品や、今後登場する予定の製品が展示される。

 ここでは、展示会場で見つけた気になる製品についてレポートしよう。

●ゲストOSで3Dゲームが動く新Parallels Workstation

 Macintosh向けの仮想化ソフトで知られるParallelsは、PC用にも「Parallels Workstation」という仮想化ソフトを出しており、その次世代版を展示した。

 最大の特徴は、これまでゲストOSでは実現できていなかった、3Dアクセラレーションや動画のDXVAアクセラレーションなどが実現されていることだ。

 従来のゲストOSは仮想化ソフトウェアが作る仮想マシン(VMMなどと呼ばれる)を経由してハードウェアにアクセスするが、この仮想マシンが3DやDXVAアクセラレーションに対応していなかったり、対応していてもソフトウェアでのエミュレーションとなって、リアルタイム性が重視される3Dやビデオ再生に必要な性能を発揮することができなかったのだ。

 しかし、今回公開された次世代版のαバージョンでは、Intel 3シリーズ・チップセット以降でサポートされているI/Oポートの仮想化をアクセラレーションする「VT-d」という機能を利用することで、ゲストOSがVMMのエミュレーションをバイパスして直接ホストOS上のGPUのドライバにアクセスすることができるようになっている。

 この仕組みを利用して、ゲストOS側に専用のGPUドライバをインストールすることで、3DやDXVAのアクセラレーションを利用することができる。デモではホストOSとゲストOSの両方でDirect3DやOpenGLなどの3Dアプリケーションが同時に走っていることが確認できた。現時点では、サポートするGPUはNVIDIAのみで、今後ATIやIntelなどのGPUにも対応していきたいということだった。

Parallels Workstationの次期バージョンα版。左側がホストOSで、右側がゲストOS。ゲストOS側でも3D機能が動作しているのが確認できる Mac OS X用の「Parallels Server」。仮想マシン上でMac OS X Serverが動作している

 今回展示されたα版で、今年の終わりにかけてβテストが開始されるが、リリース予定は未定であるという。なお、製品の出荷形態はOEMのみになる予定で、ソフトウェア単体で販売する予定はないという。

 ゲストOSでWindows Vistaを利用する際にAeroが使えるだけでも、ニーズがありそうなだけに、ぜひパッケージ販売も検討して欲しいものだ。

●6Gbpsの次世代Serial ATAをデモ

右側と左側の基板がSATAのケーブルで接続され、6Gbps(理論値)を実現している

 Serial ATA SIGのブースでは、6Gbpsの転送速度を実現した次世代SATAのデモが行なわれていた。現行のSATA 2は3Gbpsなので、倍の転送速度となる。

 SATAの次世代規格は、年末に向けて策定の準備が進んでいるところだという。関係者によれば、物理層の定義はほぼ完了し、あとは追加機能(例えばSATA 2で追加されたポートマルチプライヤのような要素)や、プロトコルなどが議論されているのだという。

 もちろん、現時点のSATA 2でも1台のHDDで利用するには十分な帯域幅が確保されており、一般的な用途には充分な機能がある。しかし、ポートマルチプライヤを利用して複数のHDDをeSATAケーブル1本で接続していれば、帯域が足りない場合もあるので、ニーズはある。

 もっとも、規格が策定されても、チップセットに実装されるのは意外と先になる可能性が高い。例えば、Intelは2009年の第3四半期に次世代チップセットとなるIbexpeakを投入するが、そこでサポートされるかどうかは微妙のタイミングだろう。OEMメーカー筋の情報では、IbexpeakはSATA 2とされている。6Gbps規格が実際にPCで利用できるようになるのは再来年(2010年)以降と見てよいだろう。

●「Super Speed」と名付けられたUSB 3.0のライブデモ

 インターフェイス関連の高速化では、USB 3.0の動向も気になるところだ。USB 3.0はIntelなどを中心にしたUSB-IFで規格が策定されており、まもなく最終規格がまとまる予定という。今年中には規格が決定され、来年の半ば頃の製品投入を目指す予定だ。

 USB 3.0が目指しているのは次の4点だ。

(1)USB 2.0との下位互換性の確保
(2)最低でも300MB/秒のスループット
(3)最大で3mのケーブル長
(4)USB 2.0のAタイプとミニBタイプとの互換性の実現

 高速化は、PCI ExpressやSATAなどの高速シリアルバスで採用している信号を流用して実現するという。

 このため、コネクタには追加のピンが必要になる。Aタイプでは、現行のコネクタの内側に新しいピンを配置し、USB 2.0までとの下位互換性が実現される。Bタイプに関しても新しい端子が追加されるが、下位互換性は確保される。

 ミニBコネクタに関しては互換性の実現が難しいので、USB 2.0とUSB 3.0のコネクタがそれぞれ別々に定義され、ケーブル側で2つのコネクタを装備することになりそうだ。ミニBは携帯電話のようなスペースに余裕がない機器で利用されることになるので、この点は若干問題になりそうだ。

 なお、USB 2.0では1.5Mbpsの転送モードを「Low Speed」、12Mbpsを「Full Speed」、480Mbpを「High Speed」と呼んで区別していたが、USB 3.0の高速モードは「Super Speed」と呼ばれることに決まったようだ。

 USBの普及促進をはかるUSB 3.0 Promoter Groupでは、ロゴなどを策定し今後「Super Speed USB」の名前の浸透を目指していくのだという。会場では、実際にケーブルを利用して高速転送をする様子が公開された。

 ミニBコネクタの問題はやや気になるが、HDDなどのストレージ用途に期待したい規格だ。

Super Speed USBのロゴ USB 3.0の規格化予定 新しいAコネクタのイラスト、中に新しいピンが追加される
新しいBコネクタ、上の部分に新しい端子が追加される ミニBコネクタにはピンが追加できないので、USB3.0の端子が追加される形になる ホストとデバイスを接続して、Super Speedモードで動かすデモ

●ノートPC用の内蔵用DisplayPortケーブルが登場

 DisplayPortは、現行のDVIに代わるPC用ディスプレイの接続規格として注目を集めている。すでに対応製品の出荷も始まっており、普及期に入りかけた段階と言って良いだろう。Intelは、新たにノートPC用の内蔵用DisplayPortの展示を行なって注目を集めた。

 現在のノートPCではLVDS(Low Voltage Differential Signaling)と呼ばれる信号を利用して、GPUのディスプレイ出力と液晶ディスプレイが接続されている。LVDSを利用すると、低価格な銅線を利用して高速に信号を送れるため、コストが重要視されるノートPCでは重宝されている。ただし、LVDSを利用した場合にはフレキケーブルと呼ばれる、銅線を中にもった面積が大きめのケーブルを利用する必要があり、取り回しは優れていなかった。

 しかし、シリアル転送のDisplayPortになれば、ケーブルが細くなり取り回しが良くなる。ちょうど、HDDのケーブルがIDEからSATAになって、取り回しがよくなったのと同じだ。ケーブルの取り回しがよくなると、デザイン上の自由度が増し、空気の流れも改善されるので、熱設計上でもメリットは小さくない。

 良いことずくめのように聞こえるかもしれないが、問題はコストだ。LVDS用のフレキケーブルは非常に安価に出回っており、これから普及するDisplayPortのケーブルは当初は若干のプレミアムは避けられない、つまり高い。当初は上位機種から採用され、徐々に普及していくという流れになるだろう。

左側が従来のLVDS用フレキケーブル、右側がDisplayPort用のケーブル ノートPC用のディスプレイをDisplayPortで接続しているところ

●LGA1366用のCPUクーラーが展示

 いくつかのベンダは「Core i7 Extreme」、「Core i7」、「Nehalem-EP」のCPUソケットであるLGA1366用CPUクーラーを展示していた。

 ベンダによれば、LGA1366用のCPUクーラーはLGA755用とは大きさや高さなどが若干異なっており、そのままでは流用できないという。Core i7 Extreme/Core i7のTDPは、従来のクアッドコア製品と同じ130Wなのだが、物理的な形状が異なっているのだ。サードパーティ製のCPUファンを流用する場合には注意が必要になるだろう。

AVCが製造しているIntelのLGA1366のリファレンスCPUクーラー
サーバー用のファン無し版
DYNATRONのLGA1366用CPUクーラー

□Intelのホームページ(英文)
http://www.intel.com/
□IDFのホームページ(英文)
http://www.intel.com/idf/
□IDF 2008 レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/idf.htm

(2008年8月23日)

[Reported by 笠原一輝]

【PC Watchホームページ】


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