TDK、ドイツの電子部品大手EPCOSを買収
7月31日 発表 大手電子部品メーカーであるTDK株式会社とドイツの大手電子部品メーカーEPCOS AGは31日、東京で記者会見を開催し、EPCOS AGの全株式を公開買い付けによってTDKが買収すると共同発表した。 株式の公開買い付けが成立した後、TDKは同社の受動部品事業を分割し、新会社「TDK EP コンポーネンツ株式会社(仮称)」を設立する。分割の対象となる事業はコンデンサやインダクタ、フェライト、トランス、高周波部品、センサー、アクチュエータなど。2009年6月の株主総会による決議を経て、事業を分割する。そして新会社に、買収したEPCOSを統合する。この結果、売上高約5,600億円(約35億ユーロ)の多国籍電子部品メーカーが誕生する。 EPCOS AGは、'99年にドイツSimens AGと松下電器産業の合弁事業を母体として設立された。2007年9月期の売上高は14億4,000万ユーロ(約2,280億円)。従業員数は18,300名。主要な製品は表面弾性波(SAW)デバイス、圧電セラミック部品、コンデンサ、トランスなどである。 TDKは'35年に磁性材料「フェライト」の事業化を目的として設立された。2008年3月期の売上高は8,662億円。分割対象となる事業の売上高は3,000億円強である。従業員数は60,212名。主要な製品はHDD用磁気ヘッド、コンデンサ、フェライト、インダクタ、電源部品、高周波部品、センサー、記録メディアなどである。
事業統合を決めた大きな理由は、TDKの受動部品事業とEPCOSの事業が、ほぼ完全な補完関係にあることだとした。TDKの強みは汎用製品、材料技術、日本を含めたアジア市場、デジタル家電分野とPC分野にある。これに対してEPCOSの強みはカスタム製品、モジュール技術、欧州市場と南米市場およびインド市場、自動車/産業機器分野と通信分野にある。両社の強みが重ならない。言い換えれば、お互いの弱みを埋められる。このため、強力な補完関係を築ける。 製品別の売上高比率でみるとTDKの受動部品事業はセラミックコンデンサとインダクタ(コイル)の割合が大きく、EPCOSはセンサと高周波部品の割合が大きい。またEPCOSはコンデンサではアルミ電解コンデンサとフィルムコンデンサに強く、インダクタではトランスが主力製品となっており、いずれも得意とする製品が異なる。 地域別の売上高比率では、TDKの受動部品事業は日本とアジア市場の割合が圧倒的に高く、EPCOSは欧州市場の割合が大きい。このため両社の事業を統合すると世界の各地域をまんべんなくカバーできる。中期的には売上高が6,000億~7,000億円の大手受動部品メーカーになるとの見通しを示した。大手電子部品メーカーである村田製作所の2008年3月期連結売上高が約6,300億円なので、新会社は村田製作所とほぼ同じ規模の部品メーカーに育つことになる。 □TDKのホームページ (2008年8月1日) [Reported by 福田昭]
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